序章
薄暗い書物が溢れる書物室の床に、幼児が二人床に座り込んでいた。その子達の前には豪華な装飾が施された絵本が開かれ、お姫様と騎士が描かれている。
それを仲良く覗き込んでいるのは、鏡のように瓜二つの幼児。
奇麗に巻かれた髪の毛は肩迄かかり、窓から差し込む光で頭部には天使の輪が広がっている。ヘーゼルの瞳はキラキラと輝き宝石のようだった。
二人は、貴族の子供が着る男女兼用の子供服に身を包んでいる、お揃いのクリーム色の服をまとい、双子のピクスドールの様に可愛らしい姿だ。
二人は騎士やお姫様が出て来るお話が大好きだった。特に、騎士がお姫様を助けるこの絵本は一等好きな物で、読みすぎてページの端がくすむ程だ。
『ぼくはあなたのナイト』
『わたしはあなたのプリンセス』
絵本に書かれている台詞を言い合えば、二人は同時に笑った。
そして流れるように、一人がもう一人の手を掴み。絵本の騎士のように跪き、手の甲に口づけて言った。
「ぼくのいのちがもえつづけるかぎり、プリンセスをまもります。」
その言葉に、もう一人は泣きそうな顔をしながら頷いた。
「チャーリーずっといっしょだよ」
「うん。ずっといっしょだ。ぼくのチャーリー」
そう言って二人は抱きしめ合った。
まるで怯えるように、暖め合うように。
「「ずっといっしょ」」
そうしている時だけが、二人にとって幸せな時間。
永遠だと思えるような牢獄。
信用出来るのはお互いだけだった。




