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トリプルアウトロー  作者: 夢物語
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No.1 不幸の女神

とある建物の屋上に二人の男と頭から触手が伸びた男に捕まった女性がいた。



「ちょこまかと逃げやがって」



「だから俺はさっきの分かれ道を曲がらせるなと言ったんだ」



「ああ!? あの距離でどうやってコントロールさせんだよ!」



「銃でも自慢の怪力でも使えばいいだろ」



「だったらてめぇの足使えば良いだろうが!」



「疲れる」



眼鏡を直しながら呟く男。



「てめぇ…毎度毎度、言い訳ばっかで肉体労働は俺任せじゃねぇか!」



「俺は頭を使う方が得意なんだよ」



「じゃあ…自慢の頭で弾防いでみろよ!」



赤髪の男が眼鏡の男に銃を向ける。



「頭を使う意味が違うと分からないとはな」



「お前らさっきから無視してんじゃねぇぞ!」



女性の首に回した腕に力を入れる男。



「今はこっちが優先なんだよ。

タコ星人は黙ってろ」



「タコ星人だと!? この女がどうなってもいいのか!」



「好きにしろよ」



「俺達の目的はあんたの捕獲だ。

他はどうでもいい」



「(な、なんだこいつら!? 頭イカれてやがる)」



「た、助けて…ください!」



「知るかボケ!」



「人生に不運は付き物だよお嬢さん」



「お、お前らいくらなら見逃してくれる?」



「は? 依頼主分かってて言ってんだよな?

お前についたって損しかねぇんだよ」



「わ、私が…お金払います!

だから…助けて…」



「どうするよフェイス?」



「お嬢さんはお金持ちかな?」



「は…はい…」



「なるほど…こき使われるのもうんざりしてたからね。

ロキはどうする?」



「決まってんだろ…てめぇを先に殺す!」



ロキが引き金を引くと、女性を捕まえていた男の眉間に穴が空く。



「え?」



男は頭から血を流しながら倒れた。



「やっちまったなぁ」



「ロキ、また銃を改造しただろ?

おかげで腕が痛くて仕方ない」



「もっと体鍛えればいいんだよ!

姉ちゃん、早速契約の話がしたいだがな」



呆然と立ち尽くす女性。



「今回の依頼料と依頼主への損害賠償、俺達の借金分を上乗せすると…全部で五千万ガルだな」



「頼むぜ姉ちゃん!」



「な、何が起こったか分からないけどありがとうございます!

あと…ごめんなさい!」



「あ?」



「まさか…」



「私、無一文です…てへっ」



一気に血の気が引くロキとフェイス。



「てへっ、じゃねぇよ!

どうしてくれんだよ!

俺達ババアに殺されるだろうが!?」



「ロキ!?」



「ババア? それはマザーの事を言っているのかな?」



いつの間にかロキとフェイスの間に執事服の男がいた。



「げっ! ゼロス!」



頭が地面にめり込む程の一撃を食らうロキ。



「ゼロス、これには訳」



腹に蹴りを受け吹き飛ぶフェイス。



「お嬢さん、一緒に来てもらえますか?」



「は…はいぃぃぃぃ!」



あとから来た大男に担がれロキとフェイスは連れていかれた。



「う…うぅん…頭…いてぇ…。

ゼロスの糞野郎…ぐおっ!」



縛られ床に転がるロキを踏むゼロス。



「糞野郎?」



「じ…冗談…です…」



「冗談でも許さないよ?」



「ゼロス、その位にしな」



「はい、マザー」



キセルを吹かしながら太った女性が部屋に入ってくる。



「よっこいしょっと。

で? お前達はこんな小娘の言葉を信じて私を裏切ろうとしたのかい?」



意識を失いかけながら何とか耐える女性が部屋の隅に座っていた。



「すみませんでした!

ロキが乗り気で」



「ああ!? てめぇも乗り気だっただろうが!」



「マリアにはいつもお世話になっているのに、そんな事を考えられるはずがないだろ」



「てめぇ!」



「お黙りっ!

私が何であんな小者を探させたか分かってないようだね」



「あの男はマザーの店の一つを任されていた男で、売上げをくすねていたんだよ。

しかも預けた場所が銀河銀行。

この意味が分かるね?」



「銀河銀行は本人以外は決して引き出せない。

変装や擬態すら通じない最高ランクのセキュリティ」



「そうだよ。

お前達があいつを殺したからもう金は戻らない。

そこで、お前達には肩代わりしてもらう。

これで私への借金は一億ガルだよ」



「い、一億!?」



「マリア、さすがにそれは…」



「逆らうのかい?」



肩を落とすロキとフェイス。



「それとこの小娘もお前達の所で働かせな」



「いやマリア、すぐ死んじまうって」



「絶対に死なすんじゃないよ。

いいね! 話はこれで終わり。

次の仕事はきっちりこなしな」



マリアはそう言って部屋を出ていく。



「面倒な事になった」



「一生自由になれねぇ」



「頑張りなさい。

お嬢さんも」



「は、はい! メルティ・カルベリアです!

よ、よろしくお願いします!」



こうして奇妙な三人組が誕生した。





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