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都市伝説〈神隠し〉

作者: 神名代洸
掲載日:2016/06/17

これは僕が関わった謎の事件だ。

目撃者は多いのに誰も本当のことは知らない。

そんな不気味な物語。


その物語の始まりはこうだ。

ある町に不思議なことが立て続けに起こった。そう、神隠しだ。

何人もの人間が行方不明となり、捜索は難航していると聞く。

一年経っても手がかり1つ見つからない。

そこでベテラン刑事が捜査を買って出た。


「何だ?お前ついてくる気か?」「ええ、上司の命令ですから。」「けっ、勝手にしやがれ。」

そう言いながらも顔はほころんでいた。

嬉しいのだ。

これから向かう場所は行方不明者が続出する場所。自分自身が行方不明となりうるかもしれない。そうなった時に仲間がいれば手がかりでも残せるかもしれない。そうふんでいた。


「にしてもなーんにもない場所ですね〜。」「あったりまえだろ?なんかあったらすぐに見つかってる。見つからないから皆必死になって探しているんだぞ!」「はい、そうでした。すみません。」ぺこりと頭を下げ敬礼し直すと若い刑事は後からついていった。

捜査本部でも手がかりはつかめていないが、刑事の感というやつがベテラン刑事にはあった。どこかにきっと見落としがあるに違いないと…。


そして見つけた。


それは本当に小さなものだった。

ピアスの片割れが落ちていたのだ。草に埋もれていたが、光の反射で気づく事ができた。

「やったー!やりましたね〜。ここからDNAを採取して行方不明者と照会をかけます。」「おうよ。それは頼むは。俺はまだ探したいんだ。まだ何かありそうでな。そんな気がしてならないんだ。」「でも、…ここら辺は一応鑑識が調べているはずですが…。」「それでも出てきたんだ。まだあるかもしれない。」ベテラン刑事は諦めてはいなかった。

「わかりました。それでは鑑識から戻り次第僕も手伝います。」若い刑事は足早にその場から走って行った。

それから三時間が経っただろうか…鑑識から戻ってきた若い刑事がベテラン刑事を探した。情報は自分の口から伝えたかった為、時間を食ってしまった。

しかし、現場には誰1人としていなかった。

残されたのはベテラン刑事が着ていたジャケットのみ。

嫌な予感がした。

ベテラン刑事がいなくなるという事を。

直ぐに携帯を出し、ベテラン刑事の携帯に電話をかけてみた。

しかし、コール音はなるがただそれだけだ。ここら辺では聞こえないからどこか違う場所なのだろう。

不安が若い刑事の心を支配した。

この事は直ぐに捜査本部に知らされ、1人での行動は厳しく制限された。

どうやら1人の時に何かあったようだ。

そう取らざるを得なかった。

若い刑事は他の2人と行動を共にし、ベテラン刑事の行方を追った。

ここら辺は人通りは少ない。なのでなかなか有力な情報は期待できなかった。けれども、誰1人として諦めるものはいなかった。同僚の刑事の行方…そしていなくなった人たちの居場所も探さないといけない。

きっと何かを掴んだに違いない。若い刑事はそう思った。

地道な捜査が続いた。

何度もなんども同じ場所を探し回り、ようやくたどり着いたのはある物件の倉庫だった。今では使われてはいない。ただ、壁にはスプレーで落書きがされていた。不良達の溜まり場だったようだ。

刑事達は全方位から出入口のチェックをかけて慎重に中へ入っていった。

ガランとした建物内は広く中には固まった人たちが座らされていた。ベテラン刑事もそこにいた。

だが、様子がおかしい。

ビクビクしていたのだ。

「どうしたんですか?大丈夫ですか?」両肩を掴んで揺すっても頭をくらくらさせるだけだ。

薬でも使われたのかもと皆それぞれがそこに座っている人たちに聞いてみたが、皆同じ反応をするばかりだ。

よく見るとイアホンと機械のメガネのようなものが取り付けられている。

直ぐに皆外したが震えは止まっていない。

試しに仲間の1人が装着してみてみると「うわっ⁉︎」とビックリして尻餅をついた。

「どうした?」「これ、ちょっとみてください。」

そう言いながら差し出すと、同僚も装着してみた。ビックリするほどに怖い恐怖映像が流れている。

それはまるで実際に起こったかのようだ。

建物はここと同じ。

ただ違うのは何かわからないが腐敗した死人が襲ってくるというもの。

掴まれそうになり何度も逃げる。

逃げなければ追いかけてはこない。

ゲームにしてはよくできている。

それで皆ここに連れてこられたのか?1年も?全部で7人。ベテラン刑事を入れてだ。

ヘッドホンはすべて取り払われたが、まだ放心状態。

腕を見ると何か注射が打たれた跡があった。

若い刑事はベテラン刑事を揺すって意識を覚醒させようと試みた。

「な、なに、し、やがる。」

意識が戻りつつあるようだ。

「大丈夫ですか?一体なにがあったんです?」

「ああ、お前がいなくなって直ぐにな、真っ黒なマントを羽織った人間が2人やってきてな、俺を襲ったんだ。俺は何度も攻撃をかわしていたが、挟み撃ちにあってな、後頭部をゴンと叩かれたわけだ。」そう言いながら叩かれた場所を触るとヌルッとした感触があった。出血していたようだ。

「イテテテ。」

「大丈夫ですか?」「大丈夫なものか。犯人はまだどこかにいるはずだ。」

「探すぞ!」「はい!」

しかし、犯人の手掛かりは全くなかった。

指紋すらも残していない。

建物内には被害者の靴跡しかなかった。まるで神隠しにでもあったかのようだ。


それでも皆必死になって探した。

被害者は全て病院へ送られ治療が施されていた。丸1年行方不明だったものもいたのだ。どうやって生活していたのかしれない。後で事情聴取をとり行うことになっている。

忽然と姿を消した犯人である2人の人間。男か女かもわからないが、情報は帳場には上がってこない。それだけ目撃情報が少ないということだ。

だが、ある日事件が起こった。

2人の男女がいざこざから互いを殺しあったのだ。

2人の手にはそれぞれ武器が握られていた。

男はナイフ。

女はスタンガン。

2人はボロボロになっていた。

そこに刑事が現れたのだ。

だが2人にはお互いしか見ていなかった。

「お前さえいなければ…。」「それはこちらのセリフ。あんたさえいなければこいつらもこなかったのよ。」「なんだと〜!」

「2人ともやめなさい。危ないものは置いて。」


「「うるさい!!」」


2人は刑事達にも攻撃を仕掛けてきた。

2人は慣れた手つきで襲う。

刑事達は避けるので必死だ。

「やめなさい。」1人の刑事が言った。

「やめろと言われてはいそうですかと止めるバカがどこにいる。」「そうよ、そしてまた実験を始めるのよ。」「ちょ、バカ何言ってんだよ!」「実験?もしかして行方不明だった彼らを連れ去ったのは…。」

「クスッ。」「お前らなぁ〜!」

刑事達の怒りに火がついた。

動きも俊敏になりまずは女をとらえた。

暴れまわる女の手からスタンガンを取り上げ手錠をかける。男はまだ抵抗を試みていたが、多勢に無勢諦めてナイフを置いて投降した。


その後それぞれが取り調べを受け、ちょっとした実験だったと2人は話していた。

恐怖映像が精神的にどのような影響を与えるのか長きにわたって実験してきたらしい。

その結果を踏まえ新しいアトラクションを遊園地に作る予定だったと話している。

ホントか嘘かはわからないが、そんな事の為に無作為に選ばれた人たちはたまったものではない。

当然この話は流れた。

そんな方法で作ってもいい結果は得られないだろう。今はそう言えるが、彼等は彼等なりに真剣だったようだ。

後で書類を渡して同意書を書いてもらうつもりだったという。


この事件、なんだか訳がわからない事件だったなぁ〜とベテラン刑事はいう。


しかしまた同じ事件が起こった。

今度は子供達が行方不明だ。

だが数日後皆いなくなった場所で見つかった。いなくなったのは3日間。

皆声を揃えていう。


「「「怖かったぁ〜〜。」」」


犯人は2人のようだ。


だが、犯行の手口といい行方不明になることといい一致している点は模倣犯と呼ばれても仕方がない。だが、警察も報道に知らせていない事実があった。犯人は逮捕したが、2人とも留置所で首を吊って自殺したという事。

だから彼等から情報が漏れるとは言えない。

じゃあ一体誰が?

犯人は捕まっていない。

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