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Run away! 2

バレンタインデー

作者: 貴幸

バレンタインデーですね










今日、はバレンタインデーだ。


チョコは朝に渡せば良いのだろうか、放課後に渡せば良いのだろうか。


二年の教室に行ってわざわざ渡すのも恥ずかしいので放課後に渡す事にした。


最近は時人と帰るようになった。

というか時人が待ってくれている。

嬉しい。


今日もいる、と思ってた。



「アレ?」



いない。



「ま、まぁ、一緒に帰ってるわけではないしね…」



一人浮かれてたような気がして恥ずかしくなった。

時人は誰かからチョコもらったりするんだろうか。

その中に本命のチョコがあったりするんだろうか。



「…待ってよ。」



今日は私が待とう。





少しして、時人が校舎の玄関から出てきた。

少し、安心する。

私の姿を確認すると突然走ってきた。



「雪ちゃん!」



「おはよ。」



「おはようじゃない!」



すごく驚いた顔をしてる。



「え、あの僕の事待っててくれたの…?」



「そ、そうだよ…。」



いちいち恥ずかしい事を言わせてくる。



「ごめんね、今日先生に髪の事で呼ばれててさ。先に帰ってても良かったのに。」



時人の髪は茶髪だ。

まぁ私とは違い地毛だが。



「私が時人と帰りたいの。」



自分で言って、恥ずかしくなった。

自分勝手だろうか。



「そう…?そうかなっ…。」



少し嬉しそうなその表情も好き。



「帰ろっ。」



「う、うん。」



歩き始めると自然と手をとられた。

握り返していいのか少し戸惑ったけど、握り返した。

恋人じゃないけど。






家につき、さっそうとコタツにはいる。

最近は時人の家に来るのがコタツ目当てになってきている。



「雪ちゃん、最近毎日来てない?」



「…ダメかな。」



「いや、良いけどさー…」



そう言って隣に座って来た。

近いなぁ。



「時人チョコ何個もらったの。」



「えっ!?」



いきなり聞かれたからか、びっくりした表情をする。



「ん〜と、あ、八個。」



「八個!?」



八個もあったら本命が一つくらいあるのでは。



「クラスの女子三人とカナちゃんとユウトくんとハルトさんだよ。」



「最後二人が明らかにおかしいよ!?!!??!?!?!?」



「えへへ、友チョコって奴かな。」



時人が何かに目覚めない事を願いたい。



「ユウトくんはともかく…ハルトがチョコ?」



「呼び捨てなんだね…ほら、ハルトさんってモテるでしょ?食べたくないからって僕に三個くれたんだ。」



ハルトとは気が合うため、年上なのに呼び捨てをしたりしている。

敵は女子三人か…



「あの…雪ちゃんからも欲しいな〜…なんて。」



「持ってきてるけど…」



他の女子のものが義理チョコだったとしても私よりクオリティの高い自信がある。



「え、本当に持ってきてくれたの!?」



「持ってこないと思ったの!?」



お互い少し照れる。

私はリュックから取り出し、チョコを渡した。



「その…可愛い形とか、全然そんなのじゃないけど…」



時人の顔を恐る恐るみようとすると、その前に抱きしめられていた。



「ひっ!!えっ、あのっ…」



身動きができない。



「嬉しい…。」



そう言うと抱きしめてくる手に力がこもった。私も反射的に時人の背中に手を回す。

すごい、密着してる…。

時人は案外こう、誰にでもすぐに抱きしめてきたりとかする人なのかもしれない、うん、きっとそうなんだ。



「ク、クラスの女の子とかにもこうやったの…?」



「え?」



「いや、だって時人すぐこうやってしてくるじゃん…」



抱きしめられてる時間が長い。

もうそろそろほどいてくれないと心臓がおかしくなりそうだ。



「…雪ちゃんだけなんですけど。」



空気が止まる。

私だけ?私だけなの?

それはどうゆう意味にとれば良いんだろう、そうゆう意味にとって良いのだろうか。

そう思うと、もっと心臓がばくばくと動き始めた。



「チョコ食べて良い?」



時人はそっと手をはなし優しく微笑んだ。



「ど、どうぞ。」



小包みを丁寧にあけ、箱をあけた。



「美味しそう…」



「あのさ、時人。」



「何?雪ちゃん。」



はやく食べたい、と時人がこっちを向く。



「口開けて。」



「…え?」



時人の顔がみるみる赤くなっていく、本当にわかりやすい。



「一回やってみたいの。」



「い、いいよ別に!!他の機会で!!ほ、ほら、はやく食べたいし!」



「うるさい口を開けろ。」



「すみません。」



恥ずかしがりながらも時人は目を閉じ口を開けた。

時人には恋人っぽいことをやりたいなんて言えないから。


チョコを一つとり、時人の口に持っていく。

唇に少し、触れる。

と思ったら時人はチョコを指ごと口にくわえた。



「えっ!?」



思いもよらぬ行動に焦る。

舌先が指をなぞってくるのがわかる。



「やっ、あっ、ちょっ。」



「…美味しいです。」



舌をだし、少し微笑んでみせた。

…やられた。



「もう一個ください。」



「あとは自分で食べてよ!」



生暖かい温度が指に残ってる。

ドキドキする。



「雪ちゃんが先に食べさせたいって言ってきたんじゃん。」



「指まで普通食べないから!」



「…恋人っぽいでしょ?」



その一言に、少しドキッとした。

時人は私の心の中が見えてるんだろうか。



「…そうだね。」



笑顔がこぼれた。


来年はハート形とか、可愛らしいものを作れるといいな。



「ホワイトデー、楽しみにしてるから!」



「大丈夫、クッキーなら作れるから!!もやし味僕作れるんだ!!」



「あ……う、うん…。」






ホワイトデーは胃腸薬を持って行こう、そう思った。








ホワイトデーは期待しないでください

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