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サンタ服撮影会開催。今回もオレは義父さんのデジカメを借りて結衣お姉ちゃんの家へ行った。今回も家人はいないそうだ。複雑。

ピーンポーンとチャイムを鳴らすと「今出ます」という結衣お姉ちゃんの声がして扉が開いた。

結衣お姉ちゃんは既にサンタコスしていた。ルティで見たのと同じアッシュブラウンのロングウェーブのウィッグに薄い茶色のカラコンをしている。衣装自体はルティで見たのと全く同じだが、写真を撮られるせいか今日は華やかに化粧をしている。カワイイ。胸元の谷間も白ニーハイの絶対領域も健在だ。

結衣お姉ちゃんは他の人に見られる前にと、素早くオレを中に入れて扉を閉めた。


「どうぞ、上がって。」

「ありがと。お邪魔します。」


丁寧に断って中に入る。


「今日はどこで写真撮る?」

「私の部屋でもいい?」


何その上目遣い…可愛いんですけど。

結衣お姉ちゃんの部屋に招きいれられてコーヒーと苺ロールケーキが運ばれてきた。


「美味しそう!だけど先に写真撮って良い?」

「うん。」

「じゃあまず普通に立って一枚。笑わなかったら擽り倒すからね?」


結衣お姉ちゃんは何とか自然な笑顔を作った。


「次は正座から足崩して上目遣いして。」

「こんな感じ?」

「…手でスカートの裾押さえる感じに。」

「うん。」


上目遣いで照れてる顔が滅茶苦茶可愛い。ぱしゃり。


「次はソファにうつぶせになって肘を立てて組んだ手に顎を乗せてみて?」

「こ、こう?」


うん、可愛い。ぱしゃり。


「次はベッドの上で枕を抱きしめて横向きになって。上からのアングルで取るから。」

「なんかちょっと恥ずかしいよ…」

「可愛いから大丈夫。」


照れてる様子が非常に面白い。ぱしゃり。


「次はねー…」



濃ゆい時間を過ごしました。


「二宗はその後どう?」

「まだ結果は分かんない。頃合いを見計らって直接聞いてみる。なんか二宗君私の事恋愛相談役として買ってくれてるみたいだし。」


二宗…自分の好きな相手を相談相手にするのはどうかと思うぞ。それが既に両想い間近な相手なら、より一層意識させる手管としてはあり得るかもしれないけど。


「恋愛相談役ね。自分は特に異性として意識されてないんじゃないかという考えは捨てなよ?」

「う、うん…ちゃんと…意識、してるよ…」


結衣お姉ちゃんが真っ赤になった。これは何か甘酸っぱい出来事を思い出しているな。


「どんな時意識したの?」

「えっ?えー…」

「結衣お姉ちゃん?」


にっこり笑って逃げ道を塞ぐ。


「……二人三脚の練習で失敗して膝擦りむいちゃった時お姫様抱っこされて、身体大きいなー…とか力あるなー…とか。」


イライラッ。

お姫様抱っこ?オレは無言で結衣お姉ちゃんをお姫様抱っこしてそのままソファに着席した。タッパは足りないけど力は強いからやって出来ない事は無い。結衣お姉ちゃんは今オレの膝の上に横座りしている格好だ。結衣お姉ちゃんは真っ赤になって膝の上で暴れている。


「ゆ、雪夜君っ、な、なんで!?なんで!?」

「二宗が良くてオレはダメなの?」


オレがにっこり微笑むと抵抗を止めた。


「それから?」

「も、もう無いよ!」


オレの勘が嘘だと断定した。


「オレに嘘つけると思ってる?」

「に、二宗君は悪くないんだよ?」


そこでなんで二宗が悪くない話になる?異性として認識した話しだろ?


「あのね…七夕にうちの学校では大きな笹飾り出すんだけど、それを倉庫に片付けてたら存在を認識されなくて倉庫に鍵かけられちゃったの。それで…天井近くにある窓から二宗君が出ると言う事になって、倉庫内の中の物で足場を作ったんだ。急作りだからがたがたで、足場が崩れて二宗君落っこちちゃったの。私の上に。そ、その時…その……」


結衣お姉ちゃんは真っ赤になって俯いた。


「その時?」


容赦なく続きを促す。


「色々接触しちゃって、手とか大きくて、ああ、やっぱり二宗君も男の子なんだな~と…」

「色々接触の内容を詳しく。」

「あう。」

「そんな顔してもダメ。」


真っ赤になって慌ててる様子は可愛いけどね。


「そ、その……落ちてきた所の具合が悪くて…私の胸掴んじゃったり…胸に顔埋まってたり…腿に手が…」


ブチ切れそうだ。不可抗力とは言え、二宗触りまくってんじゃん。流石にお姫様抱っこは許容されたけど、ここで二宗と同じ事するのは許可されないだろう。どん引きされること請け合いだ。イライラする。


「雪夜君。…怒ってる?」

「怒ってはいないよ。」


激しく妬いてむかついてるだけで。転落とか事故だし不可抗力なのは分かってるんだよ。大人になれないオレがいらつく。もっと触りたい。膝の上の結衣お姉ちゃんを抱きしめた。体がふにょふにょ柔らかい。良い匂いする。


「ゆ、雪夜君???」

「ケーキ。」

「え?」

「ロールケーキ食べさせて。」


結衣お姉ちゃんはローテーブルから皿を引き寄せると一口フォークでちぎってオレに差しだしてきた。

ぱくりと食べる。苺の甘酸っぱい味が美味しい。スポンジもふんわりしているし。


「雪夜君は甘えん坊さんだね?」

「結衣お姉ちゃんにだけね。」

「え?」


全く鈍いんだから。


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