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朝クラスに行くと男子が一か所に集まってた。なんだ?逆に女子は嫌そうな顔で一団を見ている。


「お、雪夜、ちょっとこっち来いよ。」


言われるがままに近付く。中心では亮太がエロ本を広げていた。


「すげーだろ?おっぱいでけえの。ぷるんぷるん。やべー。」

「それより腰だろ!きゅっと締まってるのたまんねぇ。」


チラッと見たがそこまで興味引かれない。寧ろ結衣お姉ちゃんの水着姿とかの方がキたな。この本のモデルさんより数億倍カワイイし。亮太が成人指定の本を何故持ってるのかは気になる所だけど、大方お兄さんの本でも持ち出してきたんだろう。


「興味ない。」


あっさり言うと男子からブーイングが来た。


「スカしてんなよ。男なら興味あるだろ?それともお前ホモなの?」

「男が恋愛対象だった事は無い。オレは自分の好きな相手以外の裸体に興味はない。それより先生に見つかったらヤバいぞ?気をつけろよ。」


適当に忠告して席に戻った。女子からは「やっぱり七瀬君は違う~」「スマートで格好良い~」とか色々言われてるが全力でスルー。席で教科書を机の中にしまっていると正哉が来た。


「好きな相手以外ってことは好きな相手がいるわけだよな?誰よ?」

「教えない。」

「カワイイ?おっぱいでかい?」


しつこいな。


「カワイイし胸も…まあ。」


水着の時に確認したけど結構大きいよな。柔らかそうで触ってみたい…


「へ~もうヤッた?」


お前…小学生の分際で何を言ってるんだ。オレは呆気にとられた。それとも正哉の中でオレのイメージってすげー手が早いキャラなのか?


「してない。それ以前に付き合ってない。」

「マジか。お前モテるじゃん。告ればすぐ付き合えるんじゃね?」

「無理だね。」


当たって砕けろとか聞こえは良いけど当たって砕けてたんじゃ意味がない。好きな相手に告白するのに勝算上げないとかただのバカ。

今はまだ結衣お姉ちゃんはオレが桃姉一筋だと思ってるし、恋愛拒否モードを解けなきゃ恋人なんて望めない。


「ガード固いのか?」

「かなり。」

「ふうん?まあ、頑張れよ。童貞卒業したら教えろよ。」

「そんな報告義務はない。気持ちわりー事言うな。」


正哉はエロ本一団の方には戻らないようだ。オレの向かいに腰掛けてカードゲームのデッキ編成をし始めた。オレはオレで一昨日から読んでる推理小説の続きを読む。一団からは「すげー!」とか「やべー!」とか興奮した声が上がっている。煩い。

案の定先生に見つかってがっつり怒られている。本没収された上に亮太は親呼び出しだってさ。バカ…



放課後女子に呼び出された。同じクラスの望月杏奈って女子だ。男子の中じゃ可愛いって評判。本人も自分の容姿には結構自信がありそうだ。焦げ茶色の髪を編み込みにしていて服もいつもお洒落。ぱっちり二重で目はくりくり。この年にしては早熟で胸部がかなり発達している。ロリ巨乳ってやつだな。

呼び出されたのは校舎裏。


「望月、何か用?」


多分告白だと思うけど。

望月はちょっともじもじしていたが意を決して切りだした。


「七瀬君がだーいすき!」

「それはどうも。」

「だから付き合おう!」

「嫌。オレは望月のこと好きじゃないし。」


告白自体は結構よくされるのであまり驚きは無い。


「そんな、私…魅力ない?」


涙目の上目遣いだ。計算だな。


「少なくともオレにとっては無いね。」


望月は俯いた。


「もう用が無いならオレは帰るから。」

「待って!」


望月は何をトチ狂ったかいきなりキスしようとしてきた。慌てて望月を突き飛ばす。手加減はした。


「気持ち悪ぃ真似すんな。」


言い置いてその場を去る。かなりショックを受けた顔はしてたけど、好きになってもらえなくてショック、というよりは私に魅力ないって言われてショックという感じだった。

まあ居るだろうとは思ったけど案の定曲がり角を曲がった所に男子の集団がいた。覗いていたのだろう。


「雪夜もったいねぇ~望月超おっぱいでかいじゃん。なんで断ったんだよ。」

「好みじゃないから。」

「どんなのが好きなんだ?」

「秘密。」


身長162cm。推定体重47kg。黒髪おかっぱ。釣り目がちの大きな瞳に白磁の肌。長い睫毛にぷっくりした薄紅色の唇をした美少女。スタイルは出るとこは出て、引っ込む所は引っこんでる。性格は強がりで泣き虫で慎ましく優しい。ノリが良くてしっかり者。でも鈍い。お菓子作りが趣味。話し上手で囀るようなソプラノの声の持ち主が好みのタイプかな。教えないけど。


「あっそ。それにしても突き飛ばすとかアリなの?」

「いきなりキスしようとしてくる方が悪い。」


人のファーストキスをなんだと心得る。一応オレも理想とか夢見ちゃってる訳よ?いきなり強奪は酷いだろ。


「つめてーの。」

「案外好きな相手にだけ優しいんじゃないか?」


冴えてるとこ突いてきたのは正哉だ。


「……まあべたべたに甘やかす方かな。」

「「「「マジかよーーーーー!!!」」」」


男子集団が絶叫した。煩い。


「どんな風に甘やかすよ?」

「教えない。」

「マジ想像つかねー」


男子集団とわいわいやりながら帰った。


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