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ルティに来て結衣お姉ちゃんと他愛無いお喋りをする。結衣お姉ちゃんの友達…里穂子さんとか言ったかな?がコスプレをするらしく、見たいと言ったら自分もコスプレを要求されたらしい。友達のコスプレに興味はないが、結衣お姉ちゃんのコスプレは見てみたい。

今一つ乗り気ではないようなので見られる可能性は低そうだが。まあオレが好むコスプレはアニメとかのコスプレじゃないんだけど。どっちかって言うとリアルに沿ったコスプレが好みだ。制服系とか。


「雪夜君は夏どうするの?」

「うーん、花火大会に祭りかー。プールはイベント回避したいところ。海も行きたいけど子供だし、足が無いからねー。電車だと遠いし。」


大人になって車に乗れるようになったら海とか行きたいな。花火大会か…結衣お姉ちゃんと見られたら嬉しいけどこの手のイベントは色んな人に誘われるよね。結衣お姉ちゃん自身が人ゴミが苦手そうな所にうっすら勝ち目がありそうだけど。オレは内心で計画を練る。

プールは桃姉とイベントか。回避したいところ。でも桃姉がイベント発生条件揃えてくるんだよね。家庭内でのイベントも着々と消化中だし好感度も遺憾ながらも上がってる。プールは桃姉と一緒に勉強しなきゃ発生しないはずだけど、桃姉が一緒に勉強しようって言ってきそうな気がする。強く跳ねのけられないのはオレが桃姉に惚れてるからか。泣きそうな顔されるとつい条件を飲んでしまう。甘いな。プール代自腹を切っても良いから月姉を巻き込めないだろうか。


「七瀬さんの水着姿かー。見てみたいなあ。」

「桃姉の?なんで?」


そんなありがたいもん?寧ろオレは結衣お姉ちゃんの水着姿が見たいけど。


「だって可愛いじゃん。凄くスタイルいいし、髪もふわふわで、睫毛ばしばし。目なんてすっごい大きくて、色白で、指なんてこーんなに細くって…」


結衣お姉ちゃんが指でわっかを作る。流石にそんな細くないと思うけど。結衣お姉ちゃんは桃姉の容姿に憧れがあるらしい。結衣お姉ちゃんだって負けてないと思うけどな。派手さは無いけど確実に美人。


「結衣お姉ちゃんだって、スタイルいいし、髪の毛つやつやで睫毛長くって目も大きいし、色白で指細いじゃない。指なんてこんなに細くて折れちゃいそう…」


結衣お姉ちゃんの手を取ってじっくり眺める。白魚のような手って言うのかな。白くて柔らかくて細い。あんまりにも華奢で、少し力を入れただけでも折れてしまいそうなほどだ。

手を繋ぐ事は徐々に慣れてきたようだが、じっくりと観察されるのはまた別の恥ずかしさがあるのだろう。結衣お姉ちゃんは照れている。手を振り払われないだけましだけど。「あ、ごめんね?」と言って手を放した。嫌がられないうちに引く。


「コホン。宿題大丈夫?」


結衣お姉ちゃんは会話の転換を試みているようだ。夏休み遊び過ぎて最終日に泣くとか最悪だよね。


「七瀬家では7月中に終わらせることになってるよ。」


教育方針によって。


「7月中って観察日記とかはどうするの?」

「もうこの年では、さすがに観察日記は無いよ。」


苦笑する。

朝顔の観察日記とか低学年の頃はあったね。恐らく高校生になると4年前の事なんて覚えていないのだろう。4年の差は小さいようで大きい。


「低学年の頃は……まあ、想像力で?」


ねつ造した。案外ばれないもんだよ。個人的には想像力を豊かにするんじゃないかと思ってる。

結衣お姉ちゃんはきっちり計画を立てて余裕を持って実行する派らしい。

それから夏休みあれしたいこれしたいという話をした。結衣お姉ちゃんは積ん読を整理したいらしい。あとフローズン系のデザートを作るんだそうだ。食べてみたい。オレは格闘技の稽古とカードゲーム三昧。お勧めの本も聞いたから読んでみたいな。結衣お姉ちゃんが貸してくれるそうなので楽しみにしておこう。

急に客足が増えたので結衣お姉ちゃんは接客に出て行った。


「ねえ、坊や、結衣ちゃんのこと好きでしょう?」


発言内容にギョッとした。振り向くと春日さんが立っていた。


「こんにちはぁ。」

「こんにちは。脅かさないで下さいよ。」

「ごめんなさいねぇ。で?どうなのかしら?」


頬に手を当てこちらを見てくる。好奇心…じゃないな。結衣お姉ちゃんを案じてる顔だ。心から結衣お姉ちゃんを案じてくれる雇い主…良い店だ。もし春日さんの事を桃姉が好きになったとしたらお義兄さんか。それも悪くない。


「まだはっきりとそう言えるほど気持ちを固められません。」

「正直ね。結衣ちゃんをよく見て、よく話している貴方なら結衣ちゃんの心にしこりがある事気付いてるわね?」

「…ええ。」


春日さんの観察眼には舌を巻く。


「アタシはあなたがそれを何とかしてくれるんじゃないかと思っているのよ。」


そう出来たら良いけど。春日さんは随分とオレを買ってくれているらしい。


「出来る限りの事はするつもりです。」

「そう。頑張ってね。アタシはいつでもあなたを応援しているわ。」

「ありがとうございます。」


春日さんは微笑んで悠然と去って行った。

なんとなく大人の余裕を感じさせる。オレも真の意味で早く大人になりたいもんだ。図体だけ育った体は大人頭脳は子供な逆名探偵じゃなくて。

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