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結衣お姉ちゃんはノートを使って実験をしてきたようだ。

“後からノートに書き足した事は反映されるのかどうか”結果反映されたらしい。ただしシャーペンでは効果が無くボールペンでは効果があった事から“消せない”物で書く必要があるかもしれないとのこと。後からノートに書き足した事が反映されるのは良いな。訂正し放題じゃないか。


「このノートの雪夜君の欄に『桃花に惹かれていたが心変わりする』って書けば完璧だよ!」

「誰に心変わりするの?」

「それは限定しないでおけば“ノートに書かれていない部分は不確定要素”って法則が適応されると思う。」

「うん。いいかもしれない。でも今はまだ待って。まだ心変わりする候補が見つかってないんだよ。ある程度目星がついてからにしてほしい。」


全く好きじゃない女の子に突然心変わりするのもなんか気持ち悪いし。ノートの存在を知ってるから特に。

本当は結衣お姉ちゃんに…とも思うけど結衣お姉ちゃんってバリバリ恋愛拒否モードなんだよねえ。何が原因だかわからないけど。


「わかった。雪夜君が良い時期に言って。」

「りょーかい。でもオレはそれでいいとして残りの10人どうするの?全く同じ方法適用する?でもそんなに都合よく心変わりの相手なんているのかな?期間は来年の3月14日までなんでしょ?」


心変わりっていうのは相手がいないと出来ないもんだ。しかも来年の3月14日までという期限付き。『心変わりする』って書いたら全員適当な相手に心変わりするの?何か可哀想な気もするけど。そもそも心変わりした場合って、そこから再度心変わりする事は出来るの?それが出来ないとかなり辛いことになると思うんだけど。


「どうしよう。どうしたらいいかわからない。」

「もうちょっと考えた方が良さそうだね。そもそも桃姉の本命まで心変わりしちゃったら困るし。」


まだ桃姉の本命は割れてない。イケメンにちやほやされるだけされて全員心変わりするとか桃姉的にはバッドエンドだろうな。


「ね、もし桃花ちゃんの本命が雪夜君だったらどうする?」


その可能性からは目を背けていた。

オレは桃姉と家族として付き合っていくつもりだ。でも桃姉がオレじゃないとダメでオレが唯一だと言ってくれたら…揺らがない自信はない。長年積み重ねてきた『好き』にはそれくらい重みがある。


「……。」

「…やっぱりもうちょっと様子を見た方が良さそうだね。桃花ちゃんの本命探っておいてね」

「わかった。また何かあったら電話して。それと、実験はいいけどあんまり桃姉で遊ばないようにね」

「はあい。ごめんなさい。」


多分結衣お姉ちゃんは実験と称して桃姉でちょっと遊んでたと思う。

ついでに最近あったことなどを話し合ってしまった。オレの学校でも調理実習があってプレーンオムレツを作った。「美味しかった?」と聞かれたが、結衣お姉ちゃんのお菓子を食べた時ほどの感動は無かったな。ちょっと困って「普通」答えておいた。形も崩れてなかったし半熟だったしまあまあいい出来だったと思うけど。結衣お姉ちゃんがしきりに「食べてみたいな」と言っていた。機会があれば作ってみてもいいけど。



月姉が部屋に入ってきた。今日もカップアイス片手だ。月姉はアイス好きだよね。今日はチョコミントか。


「今日は電話しないの?」

「は?」

「最近毎晩電話してるじゃない。」

「あ、ああ。今日は学校終わってすぐ位の時間話したから。」

「毎晩毎晩きゃっきゃと…」


月姉は隣の部屋だったっけね。


「ゴメン、煩かった?」

「煩くないけど、彼女でしょ?彼女よね?彼女なんでしょ?誰?誰なの??どんな子!お姉様に紹介しなさい!」


月姉は鼻息が荒い。紹介?なんで?いびるの?


「彼女じゃないし。友達。」


最近そう言い聞かせるのもちょっと辛くなってきたな。だって凄い会話合うし話していて楽しい、素直で可愛くて良い子だし。


「でも女の子なんでしょ。」

「まあね。」

「『友達』とか言い訳してるうちに良い女にはどんどん逃げられるわよ。」

「だよね。」


でもオレの心がまだどっちつかず。小さい頃から桃姉の事が好きで好きでたまらなかった。必死に抑えつけてた恋心。

結衣お姉ちゃんはおかしい。顔見る度にどんどん好きになって行く。自分の心に思考が追いつかない。

桃姉は家族だから論外だけど、結衣お姉ちゃんは結衣お姉ちゃんで4つ年上でオレにはちょっと遠い存在。たかが4つとも思うけど小学生と高校生って言いかえると差がでかいよね。しかも恋愛拒否モード。何が悲しくて茨の道を選ぶんだ。でも美少女だし性格いいしモテるんだろうな…と思うと胸が痛い。


「なんで好きになる相手って自分じゃ選べないのかな。」


女の子なんて沢山いる。オレのこと好きな女の子だって沢山いる。その中の1人を好きになれれば簡単だったのに。ノートに指定すればそれは簡単に叶うだろうけど、それはオレの本心とは違う。


「そうねぇ。恋って天災みたいなものよ。いつ起こるかもわからないし、どこで起こるかもわからない。だから夢中になるのかもしれないけどね。」

「月姉は恋してる?」

「してないのよねー。ここ数年ご無沙汰。ヤバいかも。」


ここ数年って…最後に恋したのいつよ。


「まさに干物だね。保存食女と呼んであげたら良いかな?」

「保存食ゆーな。」


スプーンでびっと指さす。アイス垂れるからやめろ。


「月姉はさばさばしすぎだと思うよ。どこまでも友達!って感じ。」

「あ、やっぱり?今更スイートな女子にはなれないのよねえ。」

「難儀だねえ。」

「まーねえ。あんたはどうなのよ?気になる子の前で生意気小僧やってるわけじゃないんでしょ?」

「かわい子ぶりっこしてるよ。本性はお墓の中までもっていきます。」

結衣お姉ちゃんには適度に頼りになる可愛い子供を装ってる。月姉や桃姉に対するみたいな態度をとることはないと思う。

「実現できそうだから嫌な男よね。」

「それは褒め言葉かな?」

「褒めてないわよ。」


月姉はカップアイス一個食べて部屋に戻って行った。


結衣ちゃんへの気持ちは急成長中。でも桃花ちゃんとの間でどっちつかず。


月絵先輩と桃花ちゃんの前ではふてぶてしく、生意気。

結衣ちゃんの前ではあざといくらいにかわい子ぶりっこしてます。

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