朝
朝だ、、、
今日も朝が来てしまった、、、。
季節は真冬。
布団がもっとも愛しい時期だ。
時刻は6:23。 起きるには少し早い、
俺は再びまどろみの中に身を投じる、、、。
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朝だ、、、
今日二度目の起床だ。時計を見ると時刻は6:34、そろそろ奴がくるはずだ。
俺は布団にくるまりながら体勢を整える。
そして、、、
「朝だよー」という母の声と同時に部屋の扉が開く。
と同時に黒い物体が俺の布団に向かって高速で近づいてくる。
そして(それ)はそのまま俺の顔へと突進し、すかさず鼻やら耳やらを舐めまわす。
これが俺の毎朝の儀式。
俺は顔を舐めまわしてくるカカオ{チワワ}を一通り愛でた後、顔を洗いに洗面所へ向かう。
寒い、冬は嫌いだ。
なぜなら、、、寒いから。
嫌いなのに、この国は1年の半分が冬という、、、。
最近は朝おきると毎日こんなことを考えている。
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毎日が、つまらない。
変わらない通学路。
変わらないクラスメイト。
変わらない 俺。
かといって、変化を望んでいるわけじゃない。
今の生活は充実している。友達もいる。体も健康。そしてなにより、楽だ。
適当に授業を受けて、放課後友達とダラダラ遊んで、帰宅したら飯食って、ゲームして、寝る。
俺はなにが不満なのだろう、、、
「恋人か、、、」
俺は恋人がいたことがない、別に欲しいと思ったこともない。
ただ、高校生として足りないものを考えてパッと頭に浮かんだだけだ。
そういえばクラスの女子を(そういう)目で見たことがないことに気付いた。
と、なんだかんだ考えている内に学校に着いていた。
駐輪場でチャリを止めていると、不意に尻に衝撃が走った
「よぉ、良いケツしてんじゃねぇか」
振り向くとクラスメイトの高井 卓{たかい すぐる}がビニール傘を手に
立っていた。
どうやら、ビニール傘の先端で俺の肛門を突いたらしい。
自称、音速のタカ。学内では親しみを込めて"デブ"と呼ばれている。
一応、友人といえる存在だ。
デブと他愛のない会話をしながらクラスへ向かう。俺の教室は2-6。
1つのクラスの人数は大体60人、それが1学年につき9クラスある。
ちなみにクラスは成績によって分けられており、1に近い組ほど優秀な者が集められている。
1・2組は特進クラス、8・9組はスポーツ推薦クラスになっている。
俺の所属する6組は比較的成績は悪いが、生活面ではそれほど問題のないという微妙なクラスである。
そして成績が悪く、かつ生活面で問題のある生徒は7組に集まっている。
教室に着き、自分の席に座る。
ここで、今朝恋人のことを考えていたことを思い出し、クラス内を見回してみた。
よーく見ると名前と顔が一致しない人がちらほらいる。
2年生になって約半年、クラスメイトに知らない人がいるのはどうなんだろうか、、、。
だんだん自分が薄情な人間に思えてきた。
女子の群れをボーっと眺めていると、あることに気付いた。
女子の恋人どころか、友達もいない・・・ッ!