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エピソード9.5 おまけ?

<一貴ターン>


七沢にある加茂の医療施設。


蟷螂かまきりとの戦いの後、ソコソコ負傷していた俺達は、そのまま 加茂の医療施設の最上階にあるVIPルームで暫しの休息を取る事にした。


熱めのシャワーを浴びて、毛髪にこびり付いた加茂理夜のゲロの匂いを洗い流す。

当然、7.62mm弾に削り取られた頭皮から、したたか出血する…、



一貴:「イチっ…、」


みるみるシャワールームの床が 血の色に染まって行く。



一貴:「あちゃー、掃除しないと駄目かな…」


洗面台の下から掃除用のブラシを引っ張り出してみたモノの…

先に出血を止めないと、掃除してるんだか、汚してるんだか怪しくなってしまう。



一貴:「ううっ…」


抗生物質入りの傷薬をシコタマ盛って、ガーゼ付きの絆創膏でふたをする。



一貴:「これで良し。」


大体、これしきの傷でミイラ男みたいなグルグル巻きの包帯はやり過ぎなのだ…。




20分後、

シャワールームをピカピカにしたついでに身体も洗った俺は 身も心も晴れ晴れした気分でベッドルームに戻って来た。




文華が、じとーっと…、いや じっと俺の事を見つめている。



一貴:「ヤレヤレ、一段落だね。」


此処んところ ずっと加茂理夜の護衛に付きっきりだったから、

こうして文華と2人きりなるのは とても久しぶりな気がする。



文華:「カズキ、貴方 私に言わないといけない事あるんじゃないの?」


ホオジロザメの様な文華の目が、俺の喉元に突き刺さる…。



一貴:「あっ…そ、うだね、」


思い当たる事が有り過ぎて…

…取り敢えず、



一貴:「ごめんなさい!」


文華、どうしようもないモノをあわれむ様な眼で、深い溜息…



文華:「アンタ… 一体、何に謝ってるのかしら?

取り敢えず謝っとけば 済むとか、思ってるんじゃないの? 」



一貴:見透かされてる??

一貴:何か、久しぶりに本気で怒ってる???

一貴:そんなに、悪い事は…ここ暫くはしてない筈!

一貴:大丈夫だ! カマカケられてるだけに違いない!!!

(作者注:「」無しは心の声、)




文華:「心配…」


…文華の、深い眼差しが歪んで、



文華:「…したんだからね!」


…ポロポロと、せきを切った様に… 大粒の涙が零れ出す。



俺は、…僕は、上手に言葉がつむげなくなって

…途端に無口になる。



一貴:「…ゴメン、」

文華:「すっごく心配したんだからね!!」


一貴:「…ゴメン。」

文華:「カズキに…もしもの事があったら、 」



一貴:「…僕は、大丈夫だよ。」

文華:「判ってない! いつもいつも、…私の事 判ってない癖に!」


一貴:「…判ってるよ。」

文華:「私どうなっちゃうか …分からないよ!」


一貴:「判ってるよ。」


俺は、文華の華奢な肩を抱きしめる。



文華:「ずるい、

…そんな事されたら… 怒れなくなっちゃう…じゃない…」


僕の腕の中で、震える様な かすれる様な か弱い声で、文華が囁く。



一貴:「僕も、心配した。」

文華:「私は、…大丈夫に…決まってるでしょ、」


泣き吃逆しゃっくりな声で、文華が鼻をすする…



一貴:「判ってる。 でも…心配した。」


思わず愛おしくなって、もう一度 文華をぎゅっと抱きしめる。



一貴:「僕のお姫様、顔を見せて。」

文華:「いや、…恥ずかしいもん。 泣いてるし…」


文華が僕の胸にギュッと顔を埋める、



一貴:「可愛いよ。」

文華:「嘘! 加茂理夜にばっかり… 優しくするし…」



それから急に! 文華が涙眼で僕を凝視する…



文華:「…もしかしてフミの事 飽きちゃった? …嫌いになっちゃった?」


何だか、妙なモードに入ってしまった…



一貴:「そんな訳…無いだろ。」


潤んだ目の美少女??(27歳)が、すがる様に 僕を抱きしめる。



文華:「フミのこと、嫌いになっちゃヤダ。」


こんな風にされたら、そんな怯えた眼で見つめられたら、

…どうしたって、苛めたくなってしまうじゃないか。




僕は、ゆっくりと その唇に触れて行く。

柔らかな舌で、お互いを確かめあう。


そのまま、文華をベッドの上に運ぶ。



文華:「やぁ、何するの?」


真っ赤に照れた 僕だけの女神に…僕は意地悪く微笑む。



一貴:「文華の匂いを嗅がせて、」

文華:「やだぁ、フミ お風呂入って無いよぉ…」


僕は、人形の様に無抵抗な女のブラウスをボタンを外し…



一貴:「その方が良い、…文華の匂い 好きなんだ。」


内側から匂い立って来る 文華の匂いを呼吸する、



文華:「カズキのエッチ!変態!」


今や文華は恥ずかしさの絶頂で、ぎゅっと目をつむって顔を隠す…



文華:「これって、…命令なの?」

一貴:「ああ、…命令だ。」


僕と文華は「主隷マスタースレブの契約」を交わしている。

僕が「主人」で、文華が「奴隷」、

どんな時も、「奴隷」は「主人」の「命令」には絶対服従しなければならない。




瑠璃色の髪の美女は、その一言で観念し、

幼い少女の頃のままのはかなさで、されるがままに耐えている。


文華:「…恥ずかしいよ、」



この女、不思議な匂いがする。


ヒトを惹き付ける匂い…

幼少の頃から、巫女として身につけて来た、…ヒトを惑わせる匂い


それが、今は僕だけの所有物。



そうして、今度はパンプスを脱がせて…

その蒸れた爪先をもてあそぶ、


少しずつふくはぎさかのぼり…

やがて、絶対領域へと達する、



文華の爪先が緊張する。


甘い、そしてかすかに酸味を帯びた ぬるやかで上質な発酵臭が、…僕の鼻腔を癒して行く、



文華:「あっ…、駄目…」


無論、

囚われのお姫様の言葉に耳を貸すつもり等、…毛頭ない、

















ドアをノックする音:「ドン!ドン!ドン!」



一貴:「うっ、なんだよぉ〜」

文華:「かじゅきぃ…放っとこうよぉ…」


俺は、暗殺工作員らしからぬ 鈍重さで自分の状況を確認する。

見ると、時計は朝の8時過ぎを指していた。



一貴:「そう言う訳にも行かないだろ。」


ちょっと仮眠するつもりが…2時間近く爆睡してしまったらしい、

…疲れてたから、…色々




身支度を整えて、部屋の扉を開け 廊下へ…



加茂理夜:「お兄ちゃん、ズボンのチャックくらい閉めて来て欲しいのです。 それとも、わざとですか? 私に「何かしろ」と言う合図なのですか?」


其処には、見慣れた金髪の「妹キャラ」が立っていた。



一貴:「それで、どうした?」

加茂理夜:「蟋蟀こうろぎとか言う「男の娘」が脱走したのです。」


文華:「あの子は全裸にして 絶対に解けない縛り方で拘束してあった筈よ、他に仲間が居たって事なのかしら?」


文華が、素肌にブラウスを羽織はおっただけの 半裸の姿で現れる。



加茂理夜:「先輩、明らかに見せつけてますよね! 無駄にうらやましがらせようとしてますよね!」


加茂理夜、半泣きになる。



文華:「別にぃ、いつもこんな感じだけど… 何か問題でも?」


文華、勝ち誇った様に…ほくそ笑む。






一階、治療(手術)室

痩せこけた身体の女アサシンが全身包帯だらけで施術台の上に拘束されている。


竜二:「この女、コードネームは「蟷螂かまきり」と言う様です。 乳房と、子宮の中に爆発物がインプラントされていました。 いずれも摘出済みです。 先日「春日夜直人」から摘出したのとは違うタイプのものですが、機能は同様だと思われます。 心拍数と連動していて、心臓が止まったら爆発する様に細工がされていました。」


一貴:「人間爆弾だな…まるで、」


竜二がレントゲン写真とCTスキャンの映像をモニターに映し出す。



竜二:「脳の直ぐ下にも 何かインプラントされています。 こちらは電子部品で、爆発物では無さそうですが 脳に後遺症を残す可能性がある為、簡単には摘出できそうにないです。」


恐らく、鼻の穴から挿入移植インプラントされたと思われるチップ状の影が 海馬の真下辺りに映っている…



一貴:「それで、もう一人が逃げたって?」

竜二:「監禁場所の工房地下室に仕掛けたカメラでの確認ですけど、恐らく間違いないと思います。」


一貴:「実際に行って、調べてみるか。」

文華:「襲撃時の状況については、私が付いて行って説明するわ。」


一貴、ちょっと不安そうな顔…



一貴:「女アサシンの仲間が、この病院に攻撃仕掛けて来る可能性はゼロでは無いよな。 …富士本さんはどうしてる? 留守を任せられるかな?」


加茂理夜:「富士本は直人クンを学校に送って行ったのです。」

一貴:「そういえば 彼の洗脳は解けたの?」


加茂理夜、お手上げポーズで首を横に振る、



加茂理夜:「残念ながら まだ、完全では無いみたいなのです。」

加茂理夜:「でも、ここに居る方が危険なのです。 だから「教授」の処に避難させる事にしたのです。」


一貴:「ふーん、じゃあ 何で学校なの?」

加茂理夜:「途中で学校によって「直子ちゃん」に会わせる為です。」


一貴、キョトン顔…



文華:「直子ちゃんに催眠暗示の状態をチェックしてもらう為なの、」

文華:「あの子、「催眠暗示」が見えるのよ。」


一貴:「見える?…例のシャーマン体質って奴?」

一貴:「あれって、右脳の二分人格化現象の事じゃなかったの? それで何で本人の脳の外の事が判るの?」



文華:「もともと、人間には予知能力とか精神感応能力があるのよ。」


文華:「言語を使った会話もそうだけど、人間は聞こえた音が意味する内容を脳が解読する以前に返答できるって事が判っているわ。 つまり、相手が何を話そうとしているのか、伝えようとしているのかを予め知る事が出来るのよ。 まあ、当てずっぽうで解釈してるって言う事だけど。」


文華:「頭の中にインプットされた会話パターンに それ迄の会話の内容やら、仕草やら、表情やら、を当てはめて洞察していると言えば、もう少し聞こえは良いかもね。 それに会話の最初や途中は十分に脳が意味を解読する時間があるから、実際に洞察しているのは会話の最期の方だけだけしね。 かく、そうしないとスムースな会話なんて成立しないのよ。」


一貴:「人の話を聞かないってメカニズムはそうして生まれるのか…、」


一貴、思い当たる節に苦虫噛み潰し…



文華:「要するに、人間は、相手が何を喋ろうとしているのか予知して、反応しているのよ。 別の言い方をすると、言語以外の何らかの情報から相手の言おうとしている事を推測している訳。」


文華:「右脳の二分人格化では 事象をアナロジー化(比喩化・記号化・シンプル化)した言語情報なんかより何倍も情報量の多い生(=RAW)の視覚情報を処理している訳だけど、其処には人間が言語脳では意識できない情報が埋もれている可能性があるの。 電磁波なのか、可視光なのか、全く別な何かなのかは解ってないけど、あの子は「それ」をイメージとして増幅・強調して解釈できるのよ。 それで「心の機微」だとか「不協和」だとかを知覚できると言う訳、」


文華:「だから「催眠暗示」も見える。」


加茂理夜:「大概は魑魅魍魎ちみもうりょうっぽい幻覚らしいですけど…、」


文華:「でもこの前「神隠しの電波」を見たのには正直驚いたわ。 無生物の電波を見たのよ! 携帯の電波は見えないのかな、多分 極普通に有るものには反応しないんだわ。 危険度の高いと思われる情報から感知すると言う訳ね…」


一貴:「俺には文華が何でそんなに興味津々なのかって事の方が驚きだよ…。」


加茂理夜:軽く欠伸あくび



文華:「そう言えば、一貴が飛んで来る弾丸を避けたって言うのも 似た様な原理かもね。  意識してないけど 感知して人間の行動に影響を与えている 別の情報処理機能があるって言う事。 …例えば「殺気」とか呼ばれているモノ。」


一貴:「それってもしかして、飛躍して考えれば、相手を思い通りに操る事も可能になるって事じゃないの?」


文華:「おそらくね、

…実は私、彼女が直人君と一緒に暮らし始めてから、「直人君の行動は直子ちゃんに支配されていた可能性がある」と考えているの。 それに、小学校時代のクラスメイトもそう、直子ちゃんの事を異常に恐れて、延べ26人が登校拒否に陥っているのよ。」


文華:「もしかすると、…5年前に陰陽師組合が「封印」しようとしていたのは その力(精神支配能力)の発現かも知れないわね。」


一貴:「文華は知ってて 直子ちゃんの封印を解いたのか?」


文華、何だか急に大人しくなる…



文華:「まさか? 知ってたら、もう少し躊躇ちゅうちょしたわよ。 …そんな力、あの子が人として生活するのに有益な訳ないもの。」


…多少責任を感じているらしい。




竜二:「まあ、この施設は緊急時用のシェルターが充実してるから、いざとなったら其処に隠れてますよ。」


加茂理夜:「私達の事は心配しなくても大丈夫なのです。」



一貴:「解った、出来るだけ早く戻って来るよ。」




加茂理夜が、何故だか悪戯そうにニヤニヤしている…

こう言う時は、何か良からぬ事を企んでいるに決まっているのだが、


まあ、深くは気に留めない事にする。




登場人物のおさらい

北条一貴:草食系男子

北条文華:一貴の奴隷

加茂理夜:一貴の愛人

香坂竜二:一貴の舎弟

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