エピソード5 幻想機械の誘惑
<富士本ターン>
ふっと、目を覚ます。
…今日は何曜日だ!? 何で目覚まし鳴らなかった!??
富士本:「寝坊…、 あっ、 今日は良いのか。」
グレーのタンクトップに短パンという出立ち。
昨日は風呂に入ってない、歯も磨かないで寝てしまった。
寝相も良い方では無いから、何時の間にか髪はボサボサになってる。
私はもう一度、深くベッドに沈み込む、
二度寝は、嫌いじゃない… でも、
富士本:「お腹空いたな…」
私の役目は「加茂理夜」のお世話係 兼ボディガード、
だから大抵は 加茂理夜より早く起きて、加茂理夜より遅く床に就く。 でも今日は 北条一貴先輩、通称「お兄さん」が加茂理夜の面倒を見てくれているから、久しぶりの自由時間を貰ったのだった。
言ってみればタマの休日…みたいなモノだ。
ベッドの足下に転がったビール瓶を蹴っ飛ばす。
時計は11時過ぎを指していた。
目覚ましを兼ねてシャワーを浴びる。
ハーバルエッセンスのリンスインシャンプー、
実のところ私は無精者なので長い髪を持て余している。
せめてシャンプーくらいは一回で済ませたい。
富士本:「切りたいな。」
そうは言っても「巫女」という職業柄、長い髪はもて囃される。
自分の都合で髪型を変えられる程、自由な生き方は出来ていない。
ドライヤーもソコソコに調理場に立つ。
勿論…料理が得意な方では無い、いや…むしろ出来ないと言った方が正しい。
シンクの下の棚を漁って、「即席焼きそば」の袋を見つける。
富士本:「残ってたんだ、ラッキ!」
フライパンに水を220cc
コンロに火を掛けて暫し沸騰するのを待つ。
4つ位に手で割った即席麺を泡立つフライパンに浸し、菜箸でひっくり返しながらふやかす。
そこそこ水が飛んだら…袋入りの粉ソースを投入。かき混ぜる。
殆ど水気が無くなって来た処で…上から卵を投入、
投入、あれ、卵何処だっけ…
冷蔵庫の一番上の段で卵を発見する。
気を取り直して投入。
焼きそばを端に寄せて、暫し待つ。
卵が半熟な目玉焼きになったら…火を止めて後は余熱で固める。
それで、菜箸でフライパンのまま焼きそばを啜る。
富士本:「美味い…」
皿を洗うのは面倒だから、
…コンロの前に立ったまま、立ち食い焼きそばする。
富士本:「何か飲むモノ無いかな…」
再び冷蔵庫を漁る。
加茂理夜が買っておいた、何だかラベルの読めない外国のビールを見つける。
富士本:「Tripel Karmeliet???」
まあ、休暇だから…
未だ眠たい瞼に半分視界を邪魔されながら、再びベッドに座る。
そうして…ビールを瓶口に流し込む。
ちょっとフルーツっぽい爽やかな酸味が口内に広がって行く…
ランビックよりも全然飲み易い。
思わず「ゲホオ」とゲップが漏れる。
結構…いい気分になる。
アルコール…8.4%?
小瓶だが…侮れない。
富士本:「はあ、一人で飲んでも空しいだけだな、」
誰か愚痴を聞くのに付き合ってくれる人間が居れば良いのだが、そういう友達は居ない。 勿論、加茂理夜の前ではこんなハシタナイ格好は見せられない。
彼女は、私が護るべき「陰陽師」であると同時に、私の「密かな想い人」でもある。
加茂理夜の前では、常に清楚可憐な女で居たい訳だ…が、たまには誰かに気を許してダラダラしたくなる事もある。
富士本:「どっかに、居ないかな。…そう言う飲み友達。」
そう言って、瓶に残った黄金色の液体を舌の上に垂らす 。
軽く「酔い」も回ってきて、いい気分に浸り始めた頃、
…携帯のバイブレーションが震えた。
富士本:「文華先輩?」
「応答」ボタンを押す…
文華:「何してた?」
富士本:「別に、何もしてないですよ。」
文華:「悪いんだけど、一寸お遣い頼まれてくんないかな。」
富士本:「はい、構いませんよ。」
面倒くせえなあ…とは、思ってても絶対に口では言わない。
文華:「例のスペインに連れて行ってもらった春日夜クンなんだけど。」
富士本:「はい、直人クンですね。」
文華:「そうそう、昨日 小田原でちょっとゴタゴタが有ってさ、カレ、今 七沢の病院に入院してるのよ。」
富士本:「加茂の病院ですね。話は聞いてます。 …催眠暗示を掛けられて、文華先輩を襲って来たとか。」
文華:「そう、悪いんだけどさ、…昨日渡せなかった請求書持って行って欲しいのよ。 後、例の「反逆陰陽師」の「土蜘蛛」が何か仕掛けて来るかもしれないから、今日一日付き添ってあげてくれるかな。」
富士本:「それは構いませんが、加茂理夜はそちらにお邪魔しっ放しで大丈夫なんですか?」
加茂理夜は北条文華の旦那に好意を抱いている。 高校からの縁で、私達が「加茂・萬祓いモノ相談室」を立ち上げた時に誘ったのも 実は北条一貴先輩=お兄さんの方が先だった。 文華先輩は、加茂理夜のお兄さんへの誘惑を心配して後から付いて来た訳だ…、
文華:「仕方ないわ、相手も相当強力な「土蜘蛛」らしいから、暫くは「一貴」に加茂理夜の面倒見させた方が良いでしょうね。」
確かに、…先日相模大野の事務所を襲って来た「土蜘蛛」にも 私は単独では歯が立たなかった。 最近悶々している主な原因はこの私の戦闘力不足だったりする。
富士本:「了解です。請書を送ってもらえますか。」
文華:「今、送った。…プリントアウトして、適当にサイン入れといて。」
スマホにメールが届く。
文華:「後、あの子、まだ全部の暗示が取りきれてないのよ。
…何かの拍子にトリガー引いちゃうと 又自爆テロっぽい事始めるから一応気を付けてね。」
やれやれ、一日ダラダラしようと思ったが、そうも行かないらしい。
富士本:「あの坊やか…」
クローゼットを開ける。
似た様な服ばかり並んでいるが、一応一つずつ意味が有って微妙に違っている。
実は全部 加茂理夜が選んで買ってくれたモノばかりだったりする。
正直な所、私には女子力とか言うモノが欠如していた。
ガーターベルトと太もものバンドで内腿にトンファーを格納する。
Eカップの下乳に、ベンチメイド製のバリソン(青クラス)を仕込ませる。
それから背中の大きく空いた緩目の紺のワンピースで覆い隠す。
丹沢の東山麓、パワースポットとボタン鍋で有名な山間の森林公園の近くに、そのヒッソリとした療養施設は建っていた。
2009年型 黒のS550、ナチュラルアスピレーションのV8-5.5Lが 2t超の車体をドライバーの意のままに傅かせる。
静かに、ゆっくりと、それは 砂利の駐車場に侵入する。
5月だと言うのに、湿気を伴った冷気が辺りを包み込んでいて、思いの外涼しい。
富士本:「寒…」
モデル体型の長髪美女が高級車から降り立った。
5階建ての白い建物。
表向きは金持ち向けの療養施設、
その実態は「加茂家」の息のかかった医療施設の一つである。
待合所の自動販売機で見覚えのある「小さな女の子」がジュースを買っていた。
富士本:「直子さん。」
直子:「あっ、と…富士本さん。…こんにちは、」
少女は振り返って、にっこりと笑顔を見せる。
富士本:「直人さんはオヤスミ中かな?」
直子:「何だか、突然暴れ出すとイケナイからってベッドに縛られてます。
…ちょっと可哀想だけど、仕方ないですね。」
少女の両手には厳重に包帯が巻かれていた…
富士本:「大丈夫なの? 手の傷は、」
直子:「お陰さまで、それ程深くは無いみたいです。
…お兄ちゃん、直ぐにナイフを離してくれたから、」
この少女には、特別な能力がある。
もしも彼女がその力を使いこなせる様になったら、一体何が起きるのだろうか。
その力を「解放」するべきか「封印」するべきかで「陰陽師組合」の中では未だに意見が分かれているらしい。
5年前、加茂理夜は「組合」の指示に基づいて「その力」を「封印」した。
先々週、北条文華は「組合」にお伺いを立てる事無く「その力」の「解放」を選択した。
今回の処置が、今後何かしらの論議を引き起こすであろう事は必至だった。
しかし、この子自身には 何の罪もないのだ。
富士本:「ちょっと良いかな。」
私は朝比奈直子に報告書と請求書が入った封筒を手渡す。
富士本:「これ、今回の費用明細、2週間以内に指定の口座に振り込んで下さい。」
渡航費 100万円?
事前調査費用 500万円?
コンサルタント料 60万円?
派遣料 200万円?
その他 7万円?
直子:「思いの他 高額ですね、それによく分からない…」
富士本:「払える?」
直子:「多分、」
富士本:「ところで直子さん、その後「幻覚」の方はどう? まだ…見えるかしら。」
直子:「ええ、見えます。」
富士本:「最近のお兄さんは、どんな風に見えていたの?」
小柄な少女は怪訝そうな表情を私に向けた。
直子:「蛇、が 巻き付いて見えました。」
直子:「それも、いっぱい、体中に絡み付いて見えました。」
直子:「後、変な蟲もいっぱい、お兄ちゃんの身体から、涌き出して来るっていうのかな…アレって、「黒い蝗」と同じ、憑依の一種なんですか?」
彼女自身もまた、その力の事に気付き始め、
…もっと知りたいと思っている。
富士本:「別の人格に身体を乗っ取られるという意味では同じかも知れないね。」
文華:「北条先生は、お兄ちゃんが誰かに操られているって言ってました。 どうしてお兄ちゃんはこんな目に遭わないといけなかったんですか? 」
富士本:「多分、直人クンはウチの争い事に巻き込まれたんだと思う。 たまたま、ウチと知り合いだったから、巻き込まれた。」
直子:「何時になったら、退院できるんでしょうか。」
富士本:「全ての催眠暗示が解けて、安全が確認出来れば帰れるわ。」
直子:「私は、何か出来ないでしょうか。 お兄ちゃんが私を助けてくれたみたいに、私もお兄ちゃんを助けたい。」
富士本:「そうね、考えてみましょう。」
富士本:「病室に戻るの?」
直子:「はい、お兄ちゃんが喉が渇いたって言うから、」
少女は、買ったばかりの炭酸飲料を手の中で揺らしてみせた。
富士本:「私もお見舞いに行って良いかな。」
直子:「有り難うございます。」
富士本:「それじゃ先に面会受付を済ませてくるわ、チョット待っててくれる?」
403号室
部屋の前で立ち止まり、スライドドアに手を掛けた朝比奈直子を制止する。
富士本:「直子さん、先刻お兄さんを元に戻す為に手伝いたいって言ったわよね。」
直子:「はい、私に出来る事なら何でもします。」
富士本:「貴方にしか出来ない事よ、
…多分、お兄さんは 私の姿を見たら、また正気を失って暴れ出す。 その時に、お兄さんの身に何が起きるのか よく見て、教えて欲しいの。」
直子:「見てって、…幻覚の事ですか。」
富士本:「そう、」
富士本:「貴方には、ヒトの心と身体の変化が見える。
…変化が見えれば、どう対処すべきかも判断出来る。」
直子:「分かりました。」
開いたドアの向こうに、
その少年は、ベッドに拘束された姿で横たわり、
ヒト成らざる呻きを震わせている、…その瞳には 既に正気はなかった。
全身の筋肉が興っている。
安物の拘束具は、金属の繋部分が歪み始めていた。
富士本:「どうかな?」
直子:「お兄ちゃんの身体が、煤けて見えます。
…まるで、生き物の影が、お兄ちゃんに被さってるみたい。」
直子:「黒い、狐?」
次第に 泣声とも叫び声ともつかぬ妖しい発声は勢いを増し、病棟内に谺する。
私の目にも、その青白い炎の様な気勢が見えそうな気がした。
富士本:「そう…、」
私はベッドの傍ら 手を伸ばせば直ぐに触れられそうな距離迄近づいて、少年を見下ろす。
改めて、その身動きを封じられて身を攀じる少年の容姿を観察する。
身長は160cm位だろうか。コレ迄に特に身体を鍛えたり、武術を学んだ形跡は無さそうだ。
だからこれは、普通の人間が持っている 動物としての「素の力」
普段は抑えられているが、疑いを持たなければ、誰にでも使える100%の筋力
次の瞬間!
少年は、信じられない力で鎖を引き千切った。
私は、半歩下がって掴み掛かる少年の手を躱す。
さっきナースセンターで確認した事を反芻する。
少年の身体からは 合計21個の神経毒のカプセルと、6個の爆発物、3個の通信装置が摘出された。 他にインプラントされている人工物は見つかっていない。
…残る武器は、少年自身。
富士本:「これが…噂の「人間兵器」って訳ね、 」
直人は、自由になった手で残りの拘束具を外して行く。
決して、獣に成り下がってしまった訳ではない。
人間としての知識と頭脳を残したまま、運動能力は身体構造の限界を遥かに超える、そして埋め込まれた意思が身体を操っている。 操縦者の思いの侭に戦い、自爆する事すら厭わない…
富士本:「直子さん、危険だから暫く離れて居て。
…そうして、何が起きるのかよく見ていて。」
直子:「はい。」
少女は部屋の隅に退いた。
私は、全身の筋肉を弛緩させて少年と対峙する。
富士本:「さあ、直人クン。 お姉さんと遊びましょう。」
裸足の少年が、スプリントのメダリストを遥かに凌ぐ加速度で襲いかかった。
<教授ターン>
伊豆箱根鉄道「大雄山駅」から車で20分?
山間の材木工房の裏手に、倉庫の様な建物があった。
中は思いの外クリーンで精密機械が所狭しと置かれている。
壁に沿って周囲を取り囲む棚には何やら怪しげな道具が陳列されていた。
私は、勧められたパイプ椅子に腰掛けて、高いテーブルの上に漸く顔を覗かせる。
波多が、無言のまま…膝の上に座るかと指で合図する。
教授:「いい、」
そんな恥ずかしい事、出来る訳が無いだろう。
やがて、「香坂竜二」と名乗った派手な出立ちの男が緑茶を給仕して来た。
竜二:「どうぞ、姉さん。」
文華:「ありがとう。 悪いけど、加茂理夜 連れて来てくれる?」
竜二:「はい。」
不良の様な身なりにも関わらず、北条文華には絶対服従の姿勢らしい…。
教授:「あの男は?」
文華:「同業者よ、ウチの旦那の「舎弟」だから身内と言っても良いかな、 そして、陰陽師が使う魔法のタネを作ってる張本人。 今日はカレが主役。」
教授:「ところで、此処が新しい事務所なのか?」
文華:「まさか、此処は竜二の工房よ。
…新しい事務所が準備出来る迄 ちょっと間借りしてるだけ。」
やがて、ヘビメタ男に連れられて金髪ショートのメイド服が現れる。
加茂理夜:「昨日行ってみたのです。 沢山下駄が置いてあったのです。」
竜二:「道了尊って言うんだ。 結構由緒有るお寺だぜ。」
なんだかコミケのナンパ現場を目撃している気分だ…
教授:「「最乗寺」の事かい?
…そう言えば昔 彼処で「V3」のロケをやった事があったっけかな。」
竜二:「「V3」ってなんですか?」
いきなり割り込んで来たおじさん(見た目が小学一年生)の発言に…
…コスプレな二人はキョトン顔。
…北条文華は興味の無い事には知らん顔。
…波多が「コホン」と小さく咳払いする。
教授:「いや、良いんだ。 …本題に入ろうか。」
波多が、携えて来た小型ファクシミリ程の大きさの機械と、カチューシャに似た首輪をテーブルに載せる。
教授:「多摩川の施設から回収したゲーム機だ、調査の結果、オランダに在る「Emmer=エマ」と言うエンジニアリング会社から持ち出されたモノに間違いないそうだ。」
文華:「オランダ…」
加茂理夜:「風車とチューリップで有名です。」
教授:「「SHARE-WC=シェア-WC」と言うのがこの機械の正式名称らしい。 未だ一般には販売されていない、試作段階のゲーム機だ。」
文華:「ゲーム…なの?」
教授:「ああ、それも一般家庭で使うモノではなく、遊園地のアトラクションを想定した機械らしい。」
教授:「従来の遊園地は、広大な敷地と遊具、それにメンテナンスに掛かる費用を必要とする。 その割には経営が難しいくて、彼方此方廃墟を晒しているらしいが。」
教授:「これは、そんな遊園地の経営を画期的に変える代物として開発されている…売り込み文句によれば、だが。」
文華:「そんな健全そうなモノが、どうして今回の事件と関係するの?」
教授:「つまりこれは、人間に思い通りの幻覚を見せる為の機械なんだ。 完成すれば、大掛かりな遊園地の遊具は不要になり、ちょっと大きめのゲームセンター位の建屋で、アマゾンクルーズも、宇宙旅行も、深海探検も思いの侭体験出来る様になる、…って言う訳だ。」
教授:「でも、違った目的に流用出来ない訳でもない。」
教授:「ちょっと、試してみよう。 誰か、手伝ってくれるか?」
文華:「加茂理夜、あなたやりなさい。」
加茂理夜:「了解です。」
波多が、 加茂理夜の首に装置を装着し。
それから…テーブルの上の装置のスイッチを入れる。
加茂理夜:「ちょっと、くらってします。 乗り物酔いみたいな感じかな。」
首輪についたLEDが起動状況に合わせて明滅する。
教授:「それでは、試験用のプログラムの一つを実行させてみる。」
それで、加茂理夜が、いきなり 二三歩後退いた。
加茂理夜:「おお、目の前に女の人が現れたのです。」
文華:「どんな風に見えるの? ゲームのCGみたいな感じ?」
加茂理夜:「いえ、普通の…本当の人間なのです。」
教授:「おそらく、実際に視覚情報としてではなく、見えているという暗示が与えられていて、脳内で見えたという記憶=既成事実にすり替えられているのだろう。 だから、実際に見えるイメージは装着者によって微妙に異なるらしい。 私が試した時に現れたのは痩せた男だった。」
加茂理夜:「なんか凄い、触れそうです。」
金髪美少女が宙に向けて手を差し伸ばす…
加茂理夜:「怖い顔したおばさんが、こっちを見て睨んでます。」
文華:「なんで、私の方見て言うのよ。」
教授:「そして、これが第二段階の試作プログラムだ。」
私は、テーブルの上の本体でプログラムを切り替える。
加茂理夜:「おおお、怪物が現れました!」
思わず金髪メイドがしゃがみ込む…
加茂理夜:「なんか襲ってきます。」
加茂理夜:「ちょっと怖いかも…」
教授:「掌を敵に向けて、「ヤー」とかけ声をあげて念じてみるんだ。」
加茂理夜:「や、や〜。」
ちょっとイラッとする…
教授:「何か、苛められて泣かされてるみたいだな、…もっと景気良く出来ないか?」
加茂理夜:「ヤー!!」
加茂理夜がいきなり立ち上がる!
加茂理夜:「おおおおおお、…わ、私の掌から、ビームが! 凄い、怪物をやっつけてます。 面白い…」
空中に向けて掌を差し伸ばし続けている。
端から見ていると、滑稽だ、
加茂理夜:「ヤー! ヤー! ヤー!」
文華:「楽しそうね…」
加茂理夜:「魔女っ子に成った気分です。 ヤー! 危ない…ヤー!ヤー!」
教授:「そして、幻覚を見せると言う事は、ヒトを「変性意識状態」に導くと言う事に他ならない。 そしてヒトは「変性意識状態」下に於いては、やすやすと意識をコントロールされてしまう。 つまり「催眠暗示」だ。」
私は、再度プログラムを切り替える。
加茂理夜:「あれ、消えちゃった。」
教授:「加茂さん、スカート捲ってみて。」
加茂理夜:「何を急に? 言うんです??」
と言いながらも、…加茂理夜は 言われた通りメイド服のスカートを捲りあげる。
熊のアップリケの付いたパンティが衆目に晒される…
文華:「なに、それ…、あんたまさか…又!」
加茂理夜:「違います! 違います! 私は無実なのです〜」
何だか、突然 慌てふためく加茂理夜、
文華:「良いわ、嘘付いてないか調べてあげる…服を脱ぎなさい。 全部!」
加茂理夜:「わ、私、服脱いじゃうんですか?」
言いながら服のボタンを外す加茂理夜…
文華:「キスマークの一つでも見つけたら…殺す。」
加茂理夜:「えっ、えっ、えっ、嘘! 付いてない…筈だよ、だって…」
北条文華の顔が、何時の間にか女の貌になっている…
文華:「付いてなくても…殺す。」
加茂理夜は、アワアワの台詞とミスマッチにテキパキ服を脱ぎ続ける。
文華:「加茂理夜、アンタには羞恥心と言うモノは無いミタイネ、何の躊躇いも無く全裸に成るなんて…。」
竜二:「お前って、思った通り悲しい体型だったんだな。」
加茂理夜:「ちょっと、竜二は見ないでよ!」
竜二:「自分で見せてんじゃん。」
加茂理夜はソックス迄きちんと脱ぎ終えた後、掌で必死に胸を隠す、
薄い股間は剥き出したまま…。
文華:「良いわ、…罰として、そのちっちゃい胸を晒して自分で先っぽ摘みなさい。」
加茂理夜:「ええっ、摘んじゃうんですかぁ、私、摘むんですか??」
顔を真っ赤にしながら、発展途上の真っ新な肌の頂を自らの指で愛撫する…
加茂理夜:「なんだか恥ずかしくなって来た、なのに摘むの止められない。 どうしてですかあ??」
そのまま、…暫し放置。
文華:「これって、ヒトを思い通りに操る機械なの?」
教授:「どうやら今の処、幾つかジャンルが限定されているらしいが、そう言う類いのモノの様だ。」
加茂理夜は、床にアヒル座りしながら…ずっと自分で弄り続けている。
文華:「……、」
教授:「……、」
文華:「加茂理夜、もう良いわ、止めて服を着なさい。」
加茂理夜:「駄目ですぅ、今止めないで…、もう一寸だから…、お願い…」
教授:「例の裏風俗店で使っていたのはこの機械をコピーしたものらしい。」
文華:「何が目的? 新手のエロ商売で活動資金を集めようって魂胆なのかしら?」
教授:「いや、コンピュータプログラムの事は余り詳しく無いが、このフローチャートはどうやらバグ抜き的な何かをやっていた様だな。 あの如何わしい風俗店で人体実験して、催眠暗示のワザを磨いていたって言うところか。」
加茂理夜:「うっ…くぅん!」
文華:「……、」
教授:「……、」
加茂理夜は床に崩れ落ち
一人果てた後の余韻に浸りつつ、 ぼそりと呟く
加茂理夜:「…あの、もう、服きていいですか、」
文華:「好きにすれば、
…て言うか、加茂理夜、あんた 言われた事に逆らえなかったの?」
加茂理夜:「逆らう理由が見つからないというか、むしろやらせろ…的な。」
文華:「こんなに簡単に暗示にかかる「陰陽師」ってどうなのよ、」
加茂理夜:「面目ないのです。」
竜二:「珍しいもん見せてもらったよ。」
加茂理夜:「竜二には、後でけじめ付けさせてもらうのです。」
教授:「勿論、こんなに簡単に暗示にかかってしまったのはシステムだけの効果ではなくて、指示を出す人間にも依存している。 おそらく、私に対しては医師としての信頼、北条さんに対しては…絶対服従? が既に洗脳されている。」
文華:「でも、途中で私が「止めろ」って命令したのに、加茂理夜は言う事聞かなかったわよ。 あれはどう言う事?」
教授:「恐らく、性欲を軸にしているのだろう、それに外部の指示をのっけて言う事を聞かせる。 しかしあくまでも性欲を満たす事がメインなので、それと反する命令には従えない場合もある、とか…」
文華:「使えないわね、肝心な所で信頼性に欠ける。」
教授:「まだまだ試作品なんだろうが、使い方に依っては脅威に成る。」
文華:「その前に、あの浮気男の身体にも脅威を沁み込ませ無いとイケナイみたいね。 教授、これ借りても良いかしら…。」
教授:「あ、ああ。」
何だか、…此処其処に不穏な空気が流れ始める、
登場人物のおさらい
富士本佳枝:「加茂・萬祓いモノ相談所」の巫女、結構強い
朝比奈直子:人類が失ってしまったシャーマン能力を持つ少女
春日夜直人:主人公、だけど 最近丸っきり良いとこなし
教授:47歳、見た目は小学一年生、「洗脳」の権威
波多めぐみ:教授の助手
藤塚文華:「加茂・萬祓いモノ相談所」の敏腕コンサルタント
加茂理夜:「加茂・萬祓いモノ相談所」の陰陽師、兼金髪メイド
香坂竜二:陰陽師の使う呪術のタネを作る人、通称「結界屋」




