第九話:二つの魔法
森は静だった。三人はまだ黙っていた。あれからはもう数分経っていた。
樹々の葉が揺れ風の存在を知らせていた。心地よい風。
「いつまで教えないつもりなんだ?フェンリル!」
フェンリルは一の方を見て『ハー』と深くため息をつき答えた。
『しかたない。ではすべて話す。ただし、ここでは話せぬ。もう少し行ったところに小さな滝がある、そこで休憩をかねて話しする。』
一はフェンリルははぐらかすつもりだろう。と思っていたが仕方なく承知した。しばらく歩いていると風の音小鳥達の囀りや葉っぱを踏んで歩く音、見上げれば枝と枝の淋しい枯れかかっている色している葉っぱ隙間の間から優しい光と青い空が見えた。
「着いた!ここだよね?!」
剛がうれしそうに言った。 着いたその場所はまるで冬から一気に春に替わったような場所だった。
数メートルある崖から小さな滝が流れ、滝壺もまたそう大きなものではないが透き水のおかげで底にある石や魚の姿ははっきりと見える。滝壺のまわりには青々とした芝生が一面と広がっていて、所々に大きめな石が転がっている。花々が咲き乱れていて、青空から暖かい日差しが一層春の到来を感じさせる。
フェンリルは滝壺の近くにある大きな石に腰を掛けた。一と剛はフェンリルの側に行き、芝生の上に座った。
『ここはいつでも春だ。神聖な場所だ。なぜだかわかるか?』
フェンリルは二人の方を向いて真剣な顔で話しはじめた。二人は初めてフェンリルが何か話してくれそうな雰囲気に圧倒され首を横に振ることしかできなかった。
『そうだな。それはここは魔法が生まれる場所だからなのだ。』
一は胡散臭そうにフェンリルの方を見ながら言った。
「魔法の生まれる場所?ブレスレットと僕達とどう関係あるの??」
「生まれるって今も?!」
興奮気味に剛が言った。フェンリルは静かに頷き滝の方をジッと見て手を伸ばした。 滝の間から光があふれキレイ蝶々が飛んできてフェンリルの指先に止まった。
『魔法が生まれる場所、魔法とはある意味夢や希望が集まり力を得手、魔法になると考えられている。つまり、この蝶々はたくさんの人々の夢や希望の欠片から生まれた。魔法には二種類ある。生きものとして生まれるものと力として得られるものがある。今の蝶々の形になっているのも魔法だ。育てなければならないが育てられる人は魔法使い又は魔法使いの血を引くもの達だけだ。』
間空きすぎですね……反省していますm(__)m 文才がどうもないようで考えがまとまらない(*_*) もっと勉強します。