第五話:救世主
展望台からの景色が朝変わらず穏やかな風が流れ、ポカポカした陽気の中一だけが再び暗くって寒い真冬に戻された感じがしていた。
先程の痛みが和らぎ、そして消えたとほぼ同時に放心状態だった剛が叫んだ。
「刻印が消えた!!!?」
「きっと痛むと現れるんだな、じゃあどうしたらまた現れるんだろう?」
冷静に状況を受けとめている兄を見て剛も落ち着きを取り戻した。
「本は?なんて書いてあるの?続きは?」
「書いてないんだよ。消えて…。あっ!あの日記!」
言い終わらないうちに一カバンから朝買ったあの本を取り出した。
一が本を開こうとした時凄まじい痛みとともに激しい風と光に思わずに目を閉じた。
剛もまた飛ばされそうになり近くにあった木に捕まりなんとか耐えた。一の背中は一気に痛み熱くなりそしてやがてそれが優しい感覚に変わった。
まるで暖かいフワフワのタオルを背中に掛けてくれているようだった。
一はパッと本を見た。
そこには今まで白紙だった最初のページに文字が青く光浮かび上がってきたのだった。
「それにしてもすごい風だったね!お兄ちゃん!」
いつのまにか隣まで来ていた剛が言った。
「あっ!剛!これ見ろよ。文字が青く光浮かび上がってるぞ。」
「ん?んん?あっ!本当だー何何なんて書いてあるの?」
「あぁ。読むよ。『かつて大国リースディローズ王国破滅へ追い込まれた時、偉大な魔法使いの救世主があらわれ王国の危機を救うためにこの日記を作り国王へ託し、リースディローズ王国を復活させ、災いから王国を守り人々を救う運命を与えた。だが世代交代がすすむにつれ日記の使い方を誤り自分のために使い王国の状況をまた悪化させた者がでてきたのだ。そして日記は偉大な魔法使いにより王国とともに封印された。未来へと希望を託してリースディローズ王族の末裔が日記の封印を解き明日への扉を開くその日まで。』…はぁ?なにこれ?俺たちは王族?!ありえない!父さん母さんはどう見ても普通の人だし第一そんな話聞いたこともないんだぜ?」
一は今読んだことが信じられず戸惑っていたが背中の刻印リースディローズ王国の刻印がはっきりとその存在をアピールしている。
「それが本当なら日記の使い方とか知らないとどうにもならないねお兄ちゃん。しかも王国ごと封印されたのなら、今お兄ちゃんが日記の解いた時に王国も現れるはずじゃない?」
「そうだな…。」
「…どうする?」
「日記は完全に目覚めていないとしたら??なんか呪文とかと唱えるとか?」
笑いながら一は言った。
「目覚めよ!我が封印を解き目覚めるときが来た。…なーんて……え?!」
再び日記が薄い青く光り髪の長い青年が現れた。
『お呼びてすか?新しいリースディローズ王国の若き救世主。』
こんにちは!作者甲斐です。いつも購読ありがとうございます!とうとう五話が完成しました!執筆がおそいのですが見捨てないでくださいm(__)m頑張りますのでo(^-^)o なるべく早く書く予定でいますので(^O^)/ では次回またお会いしましょう!