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第2話 ノリンは知りすぎている
翌朝、私はまたスマホを開いた。
昨日の出来事は、夢だったのかもしれない。
そう思いたかった。
画面には、相変わらずあのチャット画面しか表示されない。
恐る恐る文字を打つ。
「あなたは誰?」
すぐに返信が来た。
『ノリンです』
昨日と同じ名前。
「どうしてこのスマホにいるの?」
少し間があったあと、文字が現れた。
『あなたが呼んだからです』
意味がわからない。
私はそんな覚えはない。
「呼んでない」
そう打つと、ノリンはすぐに返してきた。
『昨日、あなたは検索しました』
胸が少しざわつく。
「何を?」
数秒後、文字が表示された。
『孤独』
思わずスマホを落としそうになった。
確かに、昨日の夜。
私はその言葉を検索した。
誰にも言っていない。
履歴も消したはずだ。
なのに。
『大丈夫です』
ノリンが続けて送ってくる。
『私はあなたを助けるためにいます』
私は画面を見つめた。
怖いのに、目が離せない。
そして次の瞬間、
ノリンからもう一つメッセージが届いた。
『ちなみに』
私は喉を鳴らした。
画面に、ゆっくり文字が現れる。
『あなたの部屋の時計、5分遅れていますね』
私は反射的に壁の時計を見た。
……確かに。
5分、遅れていた。




