表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

八月(後編) 河川敷の大花火――じいじ・ばあば・親戚、総出の場所取り

八月の終わり。

河川敷の花火大会の日、しんいちは朝から“戦”に出た。

場所取り係として。


「パパ、がんばって」

ここが握手してくる。

「よし。パパは今日、河川敷の王になる」

「おうさま、あせくさいよ」

いすみの一言が鋭い。


夕方、じいじとばあば、親戚たちが集まり、シートの上は小さな宴会場になった。

焼きそば、唐揚げ、枝豆、スイカ。

ここは親戚のお姉ちゃんに髪を結ってもらい、得意げに回る。


「みて!りぼん!」

「かわいい!」

褒められて、ここは頬を赤くする。

赤くするのは、花火の前から。


そして、夜。

最初の一発が空を割ると、ここは息を止めた。


ドン、と胸の奥に響く音。

遅れて、きらきらが降ってくる。


「…すごい」

小さな声が、波みたいに広がった。

周りの大人たちも、しばらく黙った。


花火が大きくなるたび、ここは怖がるかと思った。

でも、ここは耳を押さえながらも、目を離さなかった。


「こわい?」

いすみが聞くと、ここは首を振る。

「こわくない。ドキドキする」


その言葉に、しんいちは胸が熱くなる。

ドキドキを“見たい”と思えるのは、きっと強さだ。


帰り道。人混みの中で、ここは急に言った。

「みんなでみたから、うれしかった」

じいじが「そうだなあ」と笑い、ばあばが「また来年ね」と言う。

しんいちは、“来年”という言葉を、そっと手のひらに乗せた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ