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八月(前編) 夏休みグアム旅行――プールの波と、ママの財布の波

夏休みの旅行はグアム。

空港で、ここはパスポートを握りしめて言った。


「これ、ここ、の?」

「そう。ここは国際派だな」

「こくさいって、こくさい?」

「……世界ってこと」

「せかい、いく!」


グアムのホテルは広くて、プールはまるで別世界。

ここは朝から水着で、ベッドの上を跳ねた。

いすみは「転ぶ!」と言い、しんいちは「転ぶ前に写真!」と言う。

夫婦の優先順位が、ここで露呈する。


海では、砂でケーキを作った。

ここが貝殻を飾って、宣言する。

「ママのたんじょうび、けーき!」

「まだ先だよ」

「じゃあ、いま、れんしゅう」


買い物では、ここがぬいぐるみコーナーから動かない。

いすみは財布と相談し、しんいちはここを説得しようとして、なぜか自分が欲しくなる。


「パパも欲しい顔してるよ」

「してない。してないけど、これは…触り心地が…」

「パパ、だめ」

ここが腕を組んで言うので、しんいちは負けた。


夜、部屋に戻ると、ここは日焼けした鼻を押さえて言った。

「ここ、ちょっと、あかい」

「海の思い出だな」

「…いたい」

「思い出、強めだな」


いすみが冷たいタオルを当てながら、ここにささやく。

「大丈夫。明日には良くなるよ」

ここは小さくうなずいて、眠りに落ちた。


しんいちは窓の外の夜景を見ながら思う。

この子の一年は、いろんな“初めて”でできている。

初めての海、初めての遠い空、初めての痛い日焼け。

全部、家族で受け止めていく。

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