235.変わったコロニーに到着して
セリオス・ステーション。
ここに来るまでに随分と寄り道を・・・そして、戦闘を繰り広げてきたけれども航路に船が多くなると宙賊の襲撃も減り無事にコロニーへと到着することが出来た。
遺跡発掘コロニーと言うぐらいだからもっとやぼったい感じを想像していたんだけど、実際目の前にあるのはかなり整った感じの見た目をしている。
そして、そこに群がる無数の船。
大きさはラインよりも小さいかもしれないけれど、それでもこれだけの船を受け入れるだけのキャパは持ち合わせているようだ。
「これまた・・・」
「あの茶色いのが遺跡ですか?」
「正確に言えばあの茶色いのは惑星で、その中の一部に遺跡がある感じですね」
コロニーの後ろにはこれまた大きな惑星が浮かんでいるのだが、前に見たリゾート惑星とは程遠い茶色く薄汚れた感じだ。
遺跡があるってわかっているのならテラフォーミングでもすればいいのに、そういうわけにはいかないんだろうか。
それらしいと言えばそれらしいが・・・なんとも複雑な気分になるなぁ。
「つまりあそこに降りれば遺跡が見られると?」
「もちろんそうなりますが、残念ながら惑星降下には専用の資格が必要でして実際に現地に潜れるのは遺跡調査員のみ。とはいえ現在も発掘されている数少ない遺跡の中では最大級となっています」
「そしてノクティルカが寄港した場所でもある。しかし残念だな、てっきり本物を見られると思ったんだが」
「我々がここに到着するよりも以前の貴重な資料ですから、早々一般人がお目にかかれるものではありません。とはいえ、学術的価値がないと判断されたものはコロニーへと運ばれ、売買されているのもまた事実です」
「え?遺跡の物を売ってるんですか!?」
「当たり前じゃない、じゃないと誰が遺跡発掘の資金を出すのよ」
確かに国が主導して遺跡発掘をしているというのは聞いたことがない。
俺達の疑問に答えるべくメインモニターにセリオス・ステーションの概要が表示された。
ふむふむなるほど。
「つまり有志が始めた遺跡発掘を金のある企業が引き継いで、それをもとに商売をしているわけか」
「完全な商用発掘というわけではありませんがわかりやすく言えばそうですね。学術的に価値のあるものについては国がしっかりと管理し、そうでないものは民間に払い下げて開発資金にする。もちろん企業運営をする上での最低限の利益は確保していますが、非常に透明性の高い収益構造をしています」
「じゃないと金目当てで発掘できると思っちゃう馬鹿が増えるのよ。あくまでも遺跡は人間がこの地に来る前の状況を今に伝える貴重な存在、それを金目当てで壊されたんじゃさすがの国も黙っちゃいないでしょ」
「まぁそりゃそうだ」
「遺跡発掘はあくまでもこの宇宙の歴史をたどる上で貴重かつ重要な事業、それを行う企業もまた公明正大であることが求められます。今運営しているコスモ・アーカイヴス財団もまた国の許可を得た立派な組織です」
なるほどなぁ。
発掘をするには金がかかる。
でもそれを運営するには費用をどこから出すのかという問題が出てくるので、それを解決するために認めた企業にそれをやらせて多少儲けを出させつつも発掘を継続させ、必要な物は国が買い上げそうでないものは民間に払い下げて運営資金に。
世の中の遺跡に関する探究心をしっかりと満たしながら学術的な物はしっかりと確保、なんとも賢いやり方だ。
「今回来訪した目的はマスターの遺跡に関する知識向上並びに知的好奇心を満たすため。加えて物資の売買による利益の確保と、周辺宙域に潜む宙賊の撃破です。滞在期間は設けていませんので好きなだけ滞在していただいて結構です」
「好きなだけって言ってもなぁ」
「遺跡、お好きですよね?」
「好きか嫌いかで言われるとあれだが、今は非常に興味がある」
「何よりこの子の事もあるしなぁ。連れてはきたけど、どうするん?」
「とりあえず船から降ろしてそれから考えよう。必要であればコロニー運営に連絡して過去の履歴を探ってもらえば何かわかるだろ。こっちには証拠がるんだし、それをもとに探せばいい」
「うまくいけばいいですね」
コロニーからすれば壊れかけのヒューマノイドを押し付けられて持ってる可能性はあるけれど、少なくともここが彼女の故郷ならそれを見せてやりたいだけだ。
それじゃあ着艦を・・・と思っていたのだが、なかなかの混み具合で順番が回ってくるのはまだだいぶかかるらしい。
「今の予定では着艦まで後24時間だそうです」
「随分時間がかかるんだな」
「あのサイズのコロニーにこれだけの船が来てるんだもの、当たり前じゃない」
「入れ替わりも早そうですけど、本当にあのサイズのコロニーでこれだけの物資を捌けるのですか?」
「捌けます。というかもう捌いています」
「は?」
「やはりアルコールを買ってきて正解でしたね。抱き合わせにすることで物資が飛ぶように売れていきます。しかも需要が多いので・・・」
「こちらセリオス・ステーションコントロール、ソルアレス聞こえますか?」
話を中断するかのようにコロニーの管制から聞きなれた連絡が飛んでくる。
おかしいな、さっきの話じゃ寄港できるのは二十四時間後って話だったんだが・・・。
「こちらソルアレス、どうされましたか?」
「優先着艦の許可が下りました。四番ハンガーへお願いします、お連れの船はあの大きいのですね?」
「あぁ、ノクティルカだ」
「ではノクティルカは六番ハンガーへ、すぐに係りの者が参りますので搬出準備をお願いします」
「了解しました。優先着艦に感謝します」
「こちらこそ素晴らしい物資をどうもありがとう」
通信が終わり、してやったりという顔をするアリス。
確かに酒は金になるという話だったけど、まさかこんなにも効果があるとは思わなかった。
「これをわかって仕入れたのか?」
「過去の着艦履歴を確認しているとそういう節がありましたので。まさかこれほどに効果があるとは思っていませんでしたが、おかげで早く片付きそうです」
「まったくお前ってやつは」
「もっと褒めていいんですよ?」
「とりあえずそれは全部売れてからな。抱き合わせにしなきゃならないってことは売れにくい物資もあるってことだろ?とりあえずノクティルカを空っぽにするまでお預けだ」
「いいでしょう、半日以内に片を付けますので存分に褒めてくださいね」
すぐに褒めてもよかったんだが、こいつはすぐに調子に乗るから少しだけセーブしてからにしよう。
なんにせよアリスのおかげで無事に着艦許可は下りた。
一足先に俺とテネス、アリスの三人は四番ハンガーへ着艦。
その間にローラさんには六番ハンガーにつけてもらい、ミニマさんとイブさんで搬出の段取りをつけてもらう。
俺達は諸々の事務手続きを終えてから六番ハンガーへ向かい、物資の搬出を確認してひとまずの作業は終了だ。
どのぐらいの値段で買い付けが行われているかっていうのは分からないけれど、少なくとも300万ヴェイルうまくいけば500万は行けそうとのことだ。
加えてここに来るまでの懸賞金をたせばまぁまぁの収入になるはず。
クルーが増えたのでそれぞれの手取りは少なくなっているけれど、それでも最初に比べればかなりの儲けになるはずだ。
やはりノクティルカを手に入れたのがデカい。
さて、初めての遺跡発掘コロニー堪能させてもらおうじゃないか。




