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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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215/218

215.船の実力を遺憾なく発揮して

「センサー確認、オールグリーン」


「操舵システムオンライン。ローラさん、反応はどうですか?」


「最高のじゃじゃ馬ね、まるで私みたい」


「操舵システムパイロットへ完全移行、ノクティルカの接続解除します」


ハンガーに停泊していたノクティルカがゆっくりとハンガーから離れ、それと同時にたまっていた埃が下に落ちていく。


巨大な鯨がゆっくりと漆黒の海へと泳ぎ出す、それを歓迎するかのように離れた所を流れ星が通り過ぎて行った。


「オートパイロット停止、姿勢制御オンライン・・・ですが、あまり効果は無さそうですね」


「このぐらいなら問題ないわ、熟練飛行が終わるまではなんとも言えないけど白鯨と同じような感じで行けそうよ」


「こちらノクティルカ、アースフォージコンロトール応答願います」


「こちらアースフォージ、随分と大きな船みたいね。船歴は・・・え!大開拓時代!?」


「これよりハンガーを出て熟練飛行を行い寄港、荷受けの為に着艦を希望していますがどこに行けばいいですか?」


「それだけ大きな船となると・・・いいわ、1番ハンガーを開けておくから戻る前に連絡をちょいだい」


「ありがうございます」


ヨタヨタというかヨボヨボというか、高齢者がゆっくりと歩くかのようにコロニーから離れていく巨大な輸送船。


別にすぐ速度を出してもいいんだけど、他の船と違って姿勢制御などがまともに機能しないので加減を間違えればあっという間に天地がひっくり返る可能性がある。


もちろんローラさんがそんなへまをするとは思えないけれども、もしもという言葉があるように最低限迷惑のかからない場所まで移動する必要がある。


ソルアレスはコロニーで留守番、折角ならとノクティルカのコックピットには全員がスタンバっている。


「白鯨もデカかったが、こっちはもっとデカいな」


「大きいだけでなく出力もかなりのもの、エンジンスペックだけで言えばソルアレスを超えると言っても過言ではありません」


「マジか」


「だから言ったじゃない、じゃじゃ馬だって」


「今更だが大丈夫なんだよな?」


「何が?」


「いや、いきなり暴走とか・・・いや、何でもない」


下手な事を言うとそうなってしまう事があるので心で思っていても口に出すのはよろしくない。


しばらくして船を現すシグナル宙域マップに表示されていたコロニーの管理宙域から外れた音がした。


「近くに一般船舶無し、ローラさんやっちゃってください」


「オッケー!荷物の方も問題ないわね?」


「大丈夫です!」


「キャプテン、合図をお願い」


「ノクティルカ発進!」


「了解!」


合図と同時にエンジン音が一気に高まり、船の中が爆音で包まれる。


うーむ、最初に耳栓代わりのイヤホンを配られた時はどうしてかと思ったのだが、まさかここまでとは。


ノイズキャンセラーが入ってこのうるささ、もしつけてなかったらどうなってしまうのだろうか。


「アリス達は大丈夫なのか?」


「私達には鼓膜がありませんから、確かにうるさくは感じますが除去すれば問題ありません」


「そういう物なのか」


「心配してくれるのは嬉しいけど貴方達と一緒にしないで貰える?それよりもほら、来るわよ」


「ん?」


テネスの指摘と同時に体がキャプテンシートに押し付けられるような加速が始まり、見る見るうちに周りの星々が後方へと流れていく。


この巨体でこの加速、いくらエンジンがデカいとはいえいくら何でもやりすぎだろう。


「こちらコックピット、エンジンルーム応答願います。調子はいかがですか?」


「こちらエンジンルーム、特に異常はないで」


「この加速でも問題ないのか」


「当たり前やん一体誰がメンテしてると思ってるん?それに今日はイブさんがいるんやから、完璧に決まってるやんか」


「イブさんがいると完璧なのか」


「じゃあいなかったらどうなるんでしょう」


それは言わないお約束というやつだぞアリス。


まぁ本人がやる気になってくれているのなら何も言うまい。


ソルアレスと違ってある程度メンテナンスが必要になるだけに、イブさんがそれを覚えてくれればここを離れても安心して航行できる。


昨日、いきなり船に乗ってくれと言われて随分と驚いた彼女だったが、翌日には落ち着きを取り戻し自分から乗せてくれとお願いしてきた。


こっちがお願いする立場なので二つ返事で了承して今に至るわけだが・・・、なんだろうドンドンと遠慮が無くなってきている気がする。


それはまるで始めてソルアレスに来た時のよう、別にイブさんが嫌がっていないのならば問題ないけれどあまりにもひどいようだったら注意しないとなぁ。


そんな感じで加速が続き、一定速度に到達したら今度は旋回を開始。


流石にソルアレスのような急旋回はできないけれどこの速度でこれだけ曲がれれば十分だろう。


もちろんそれに合わせて俺達の体も傾いていくし、なんなら船そのものも傾いて・・・。


「ローラさん!?」


「大丈夫大丈夫、このぐらい許容範囲よ」


「傾斜角30度、まだ大丈夫です」


「因みに駄目になるのは?」


「35度を超えてくると厳しいかと」


「ギリギリじゃねぇか!」


相変わらずナチュラルに無茶をするよなぁこの人は。


大丈夫だという自信があるから出来るんだろうけど、一応船の中にはそれなりの物資も積まれているのでそれが倒れるとなかなかの大惨事になる。


もちろんそれを理解はしているだろうけど・・・いや、理解してる・・・のか?


その後も急旋回急加速を繰り返しながら熟練飛行は続けられ、最後の最後にアースフォージへの接岸という大仕事が待っている。


「こちらアースフォージコントロール、ねぇオートパイロットなしで本当に大丈夫?」


「これぐらい問題ないわ。それに、仮にぶつかっても輸送用保険があるでしょ?」


「え、なんで知ってるの!?」


「いいからちょっと黙ってて、マジでぶつけるわよ」


口では大丈夫と言いながらもやはりこの規模となるとなかなか大変、しかもそれが後部ハッチの身の接岸ともなればかなりの神経を使うんだろう。


ノクティルカの唯一の問題点は後部ハッチしかないところ、特にこれだけデカいとなると普通のハンガーに横付けというわけにもいかず、結果として後ろのみで接岸する必要がある。


これが超大型輸送船の欠点、一応それ専用のハンガーを確保してもらっているとはいえサイズはギリギリだ。


ローラさんだけの力でやらなければならないので、アリスもテネスも静かにそれを見守るのみ。


集中すること五分、小さな振動と共にノクティルカは無事接岸に成功した。


「接岸を確認、すごいこの短時間にぴったりつけるなんて」


「あぁぁぁ疲れた。搬出作業はそっちに任せるわよ」


「お任せください」


「搬出ドローン起動、いっきにいくわよ!」


開放された後部ハッチに無数のドローンが突入、固定されたコンテナを掴むとあっという間に外に運び出していく。


いままでだと手前から順に出していかなければならなかったが、このサイズと高さがあると飛行系のドローンを使って奥からの搬出も可能。


アリス達が無数のドローンを操り、見る見るうちにハンガーにコンテナが積みあがっていく。


これ全部が買い付けた品、面白いことに同一コロニー内にもかかわらず同じ物資の売買がされていて、アリスが安く買付けた物を一度ノクティルカに積みこんでから一度外に出し、再びコロニーに戻って搬入する事で名目上は納品という形がとれるようになる。


これがコロニー内の移動だと売買が成立しないのがよくわからないが、テネス曰くコロニー内で売るのとコロニー外で売るのとでは売上にかかる税金が違うらしく外に出した方が儲かるんだとか。


じゃあ俺達みたいに一度出してから戻せばいいじゃないかという話になるのだが、少量を出し入れするコストを考えるとやるだけ無駄、なんなら赤字になるらしい。


大量に動かすからこそ利益が出る。


まぁ俺達も熟練飛行という目的があったのでコロニーを出入りしたけれど、そうでなければわざわざ着艦料のかかる場所に出入りする理由がない。


何にせよ、これで最初の航海は無事終了。


動かし方も癖もある程度マスターしたので、今まで以上に荷物を運べることだろう。


請け負う荷物の量は儲けに直結する、船を買ったことで蓄えのほとんどを使ってしまっただけにこれからビシバシと稼いでいかなければ。


「目標は一億ヴェイル、ガッツリ稼ぐぞ!」


「おー!」


俺の発声に反応してくれたのはローラさんだけ。


はぁ、これだからうちのヒューマノイドは。

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「目標は一億ヴェイル、ガッツリ稼ぐぞ!」 「おー!」 俺の発声に反応してくれたのはローラさんだけ。 はぁ、これだからうちのヒューマノイドは。 キャプテントウマの求心力の無さか、一億が無理と思っている…
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