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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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181.おもわぬ船がやってきて

アリスの読み通り、ルスク・ヴェガス周辺には今までと違う宙賊が姿を現しはじめている。


流石にコロニーを襲撃するつもりはないようだけど、ある程度離れた所で群れを成して機が熟すのを待っているようだ。


もちろん宇宙軍もそれに対応するように出動しているものの、蜘蛛の子を散らすように逃げていく宙賊相手に手を焼いている様子、そうとなれば必然的に傭兵たちに仕事が回ってくるので傭兵ギルドはいつにもない熱気に包まれていた。


「聞いたか、今回の傭兵は懸賞金が今までの倍だってよ」


「倍どころじゃねぇ三倍だ、一機鎮めるだけで100万ヴェイルは余裕だぜ」


「そりゃいいや、それを元手に増やしていけばあっという間に大金持ちだな!」


「違いねぇ!」


宇宙軍が追加の懸賞金をかけたこともあり、彼らのやる気はさらに増している。


もっとも、その動機は非常に不純ではあるけれど理由はどうであれ宙賊を退治してくれるのならば文句はない。


「お待たせしました、こちらが現在判明している宙賊の出現ポイントになります」


「ありがとう、悪いな手間を取らせて」


「そんな!キャプテントウマ程腕のある傭兵が来てくださるだけでもありがたい限りです。でも懸賞金が高いということは相手の実力も今までよりかは上になりますのでくれぐれも気を付けてくださいね」


「忠告感謝する、それじゃあまた」


「ご武運を」


傭兵ギルドの受付嬢も他所よりも派手な服装で仕事してるんだなぁ、ここは。


露出が多いというかなんというか、男どもからすれば目の保養になるんだろうけどそれ目当てに仕事を頑張ってくれるなら彼女達からしても安いわけか。


「アリス、最新情報だ」


「ありがとうございます。なんでわざわざ最新情報をオフラインにするんでしょう」


「お前みたいなのにハッキングされない為だろ?」


「それはまぁそうですが・・・、おや?場所が移動していますね」


「そうなのか?」


「昨日まではコロニーに比較的近い場所でしたけど、一気に距離を取っている?違いますね、半分ほどが別宙域に向かって移動しているようです」


わざわざ目の前に獲物がいるのにそれを捨てて別の獲物を狙いに行ったと考えるべきか、はたまた傭兵にビビってとんずらしたか。


なんにせよ獲物が少なくなったのは由々しき事態だ。


折角出航禁止が解除されたってのにこれじゃ獲物の奪い合いになってしまう。


「テネス」


「いま原因を捜索中よ、少しぐらい待ってよね」


「お前の腕前ならすぐ調べられるだろ?」


「当たり前じゃない!私の手にかかればあんな奴よりも・・・」


「マスター、それらしい可能性を発見しました」


「お?」


「あーちょっと待って!ダメダメ!私が言うから!これ!これが原因よ!」


耳元でテネスが叫び、腕時計型のデバイスにそれらしい情報が送られてくる。


そこに書かれていたのは・・・。


「嘘だろ?」


「それが本当なんですよね」


「これで三度目だぞ?っていうかどう考えても宙賊に狙われてるじゃねぇか」


「彼らからすればいつ出て来るかもわからない相手よりも、確実に狙える獲物の方が魅力的だったのでしょう。この間の相手よりも実力は上、とはいえ数は知れていますので我々だけでも十分対処可能かと」


「これ、俺達が宙賊に情報売ってるとか言われないよな?」


「それはないと思いますよ。今回の乗客は前とは別、目的地もルスク・ヴェガスですから向こうが勝手に追いかけてきただけです」


デバイスに表示されたのは見慣れた豪華客船、その名もアトランティス。


どうやら船長は彼のままらしいので間違いなく例の男も乗船していることだろう。


この前の一件があるから大人しくしているだろうけど、どうしたもんか。


なんにせよ彼らが襲われるのは間違いないので急ぎ現地に向かうことにした。


「こちらソルアレス、ルスク・ヴェガスコントロール出航許可を求む」


「こちらルスク・ヴェガスコントロール、宙賊退治ですか?」


「そんな所だ」


「出港許可を確認、どうぞよろしくお願いします」


「了解」


てっきり宇宙軍が妨害してくるかと思ったのだが、目の前に敵がいる状態でわざわざ邪魔をしてくることはないようだ。


一応監視は続けているようだけど、アリス曰く俺達への嫌疑は晴れつつあるらしい。


後は実績を積んで宙賊の仲間じゃないことを証明すれば無罪放免、なんにせよまずはアトランティスの近くまで急ごう。


コロニーの安全飛行圏外に出ると同時に加速、一気にアトランティスへと向かう。


今の所は大丈夫だろうけど、戦闘になるのは時間の問題だろう。


「マスター、緊急通信が入りました」


「緊急通信?」


「例の豪華客船からのご指名みたいよ、早く出てあげたら?」


「早速か、アリスつなげてくれ」


予定じゃもう少したってから襲撃されると思っていたのだが、思っている以上に宙賊がせっかちだったようだ。


メインモニターに映し出されたのはロック船長、てっきり動揺しているのかと思ったがそうではないらしい。


「こちらソルアレス、ロック船長久しぶりだな」


「久しぶりっていう感じでもないんだが、今どこにいる?」


「ルスク・ヴェガスでのんびりしていたところだが?」


「ちょうどよかった!緊急依頼だ、俺達の船を宙賊が狙っている。一応護衛は雇ってるがどうも分が悪いらしい、急ぎ助けに来てくれないか?」


今向かっていると言うと襲われるのがわかっているみたいになってしまうので、あえて何も知らなかった体で話を進める。


どうやらまだ襲われてはいないみたいだ」


「それは構わないが、また彼が何か言いだすんじゃないか?」


「その心配はありません。これは保険会社を通じての正式な依頼です、貴方なら確実に助けてくれると信じています。まさかすぐ近くにいるとは思いませんでしたが、どうか助けてください」


「そういう事ならお安い御用だ。報酬は?」


「緊急援助依頼第三条と第三条四項を適用します」


「ギルドを介さない指名依頼です、そちらも適用されますが」


「もちろんです。出し渋って命まで失いたくありませんからね、できるだけ早く頼みます」


「俺達の見立てじゃ後二時間もすれば宙賊の一団と戦闘になる。三時間以内に来れるか?」


「それはやってみないとわからない、善処する。どうしても無理なら前みたいに受け入れるふりして時間を稼いでくれ」


「そうするよ」


これにて通信終了、メインモニターが切り替わり宙域MAPが表示される。


見た感じそこまで距離は離れていない、もしこの通信をルスク・ヴェガスで受信していたら確実に間に合わなかっただろうけど、事前準備は大事だな。。


「私達の位置はここ、アトランティスの現在位置がここですので、相対しながら近づくと二時間弱で合流出来ます」


「ということは戦闘間もないタイミングで助けに入れるわけか、良い感じだな」


「問題は敵の戦力です。当初想定していました数よりも多いようで、アトランティスの雇った護衛がまともに機能するかはなんとも言えません」


「尻尾まいて逃げそうな感じの話もしてるのよねぇ」


まぁ負けるとわかってる戦いをしないのも生き残るには大事な事、もちろん契約義務違反にはなるけれども違約金で命が買えるならと考えている奴もそれなりにいる。


生きてさえいれば何とかなる、わざわざ死にに行くやつはどこにもいないだろう。


「その時はその時だ。俺達だけでも十分に勝てる、そうだよな?」


「もちろんです!任せといてください!」


「久々の戦闘だもの、腕が鳴るわ」


「前はあまり活躍できなかったし、今回は負けないんだから!」


「ということで目標アトランティス、最大船速!宙賊共をぶっ倒すぞ!」


「「「了解!」」」


さぁ、久しぶりの狩りの時間だ。

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