極小と極大の狭間に在るが故の井戸の内側
見上げる空に星々が瞬いていた頃には皆知っていた。
見下ろす大地を蟻たちが行きかう様に学んでいた。
気づけば空は夜も明るく、大地にはアスファルトの瘡蓋
誰も気づかないうちに、世界は大きく変化している。
二極化を求めるものはまだ幼子で
世界はそれほどに単純にはならず
かといって複雑かと問うて
苦い笑いしか浮かんでは来ない
常に誰かにとっての善は、誰かにとっての悪である
数が多いか少ないかくらいしか、そこに違いなど見当たりもしない。
極大を見上げ、極小を感じる
それほど小さくない相手を見下し
大したことのない己を大きく見せたがる
単純といえば正にその通りで
そうした単純さで世の中はできている
単純に築かれた人の世の中
組み合わさればその単純さも複雑味が出るものらしい
そうして大人たちは、その様を見てため息を漏らし
世間は複雑だからと思考することを止め
誰かがそうだと言ったからと他人の言葉に縋る
子はそれを見て
恐らくこの世の中で一番複雑な
思いを巡らせていく
大人という言葉が、いつ頃からただ年齢を重ねた人を指すようになったのだろう
小人という言葉が、いつの間にか子供のことに成り代わったように
小さな井戸の中でただ歳を重ねただけの小人がいて
自分よりも幼く拙い子供たちを見下し
そう言いだしたのかもしれない
子供は子供であって、小人ではない
子はいずれ親となり、そうして爺婆となり
そうした成り代わりの中で、大きな心持ちの人を
大人と呼んで頼りにするのだ
極々小さな世の中しか知らず
極大の世界を手に入れたいと求め
そんな者が世界を手にしたらその時
何が起きるかを私達は知っている
そうならないために、何をどう選べばいいのか
知らないのはその辺りのことだ
知らないから選べもせず
ただ小人が気炎挙げながら 大きな声で采配を振るう
いう通りにしなければ居場所がなくなるからと
親が従い、爺婆も何も言わず
子は不機嫌になり 家を出ていく
そろそろこの話も終わりごろかね
幾千億の命でできた 生き物の不思議については
またの機会に綴るとしよう
疲れたら休む
そうしてまた、歩き出す
向かうは遥か
幾億年の星霜の果て
弛まず進む
意味は分からずとも