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126.告白

なかなか更新できずに、すみませんでした。本業があまりにも忙しくなりすぎてしまいましたが、コツコツぼちぼちと更新していきます。引き続きよろしくお願いしますm(_ _)m

 私はカップを置いて、タミアさんに笑いかけた。

 なぜか分からないけど、タミアさんの姿に前世の自分の姿を重ねていた。

 

 タミアさんは、前世の私にそっくりだわ……。


 なぜそう思ったのかは、分からない。姿かたちは全然違うのに、直感で、そう思った。


 タミアさんは、私の顔をじっと見てから言った。


「ところで、ウンディーネは元気かい? もう随分長い間会ってないが……」


「はい、とても元気にしていますよ。でも、ここからだと、かなり遠い場所ですから、私も次はいつ会えるか分からないです」


「そうか」


 やっぱりタミアさんは寂しそうだ。そして、私のことも寂しい人間だと思っているようだ。


 もう、私は前世の私とは違う!


「タミアさん! でも、私はもう寂しくないんですよ。ウンディーネ様は離れていても、いつも私のことを見守ってくださっていますし、ローラン王子殿下だって1年間かけて私のことをもう一度婚約者として迎え入れられるために、頑張ってくださろうとしてくださっているんです」


「ほう」


 私の言葉に、タミアさんは身を乗り出した。


「ローランは何を頑張るというのだ?」


 ああ、そう聞かれると……分からないなぁ。


 私は正直に答えた。


「……わかりません。ローラン王子殿下と国王陛下の間でのお話ですし、国王陛下が認めてくださる条件は私には分からないです……」


「そうか」


 タミアさんは、クククと笑った。


「あの国王は、嫌な奴だからね。自分のことしか考えない肝の小さい男だよ。ククク」


 国王陛下が肝が小さい?!


「そうなんですか?」


 私はタミアさんの言葉に驚いてしまった。

 タミアさんは続けた。


「そうだよ。本当に肝が小さい。そのくせ、世界は自分が動かしているような気になってる。魔法もろくに使えないくせに……」


 へーーー。


 私がタミアさんの言葉に驚いて、何も言葉を返さないでいると、タミアさんは畳み掛けた。


「あいつは、国王は、私を何度も殺そうとしてきた。私が何をしたというんだ? 最初は理由もなく殺そうとしてきたんだよ! ああ、忌々しい!!」


 タミアさんは、かわいそうな人なのかもしれないな……。


 私は国王陛下に怒っているタミアさんを見ながら、タミアさんをウンディーネ様のところへ連れて行ったらいいのでは、と考えていた。


 私が領地で気分転換できたのと同じように、国王陛下のこんな近くにいるのではなく、すっかり離れてしまえば気分転換できるんじゃないだろうか。


 私がそのことを話そうと口を開く前に、タミアさんが言った。


「イヤな国王のことは、いまはまぁ良い。それより、リジー、あんたのことさ。あんた、こことは違う別の世界からやってきたね?」


「!?」


 あまりにも急な話の転換と、質問の内容に驚きすぎて声が出なかった。


 ……。

 魔女ってそんなことも分かるの?! まぁ、魔女だから分かるのか。


 じっと私の目を見ているタミアさんに向かって、私は腹を括って言った。


「……はい。あの、このことは今まで誰にも話したことはなかったんですけど……、この世界よりずっと文明が進んでいる世界からきたんだと思います。その時の記憶がものすごく鮮明に残っています」


 それを聞いたタミアさんは、にやりと微笑んで、自分のあごを右手でなで回した。


 私はタミアさんをじっと見ながら、タミアさんの言葉を待った。


 タミアさんは私の顔を見て、ニヤニヤしながら言った。


「あんた、そんなに怯えなくてもいいよ。私は、誰にも言いやしないさ。だって、私もあんたと同じだからだよ」


「え?! 私と同じ?」


 タミアさんは、いったい何を言ってるんだろう……。


 私が返事に困っていると、タミアさんはクククと笑い出した。


「あんた、私の言ったことが分かんないのかい? もう一度言ってやるよ。だから、私はあんたと同じ転生者だよ。ここよりもっと文化が進んだところから、やって来たのさ。ただ、あんたよりも100年くらい前にね」


「……100年……」


 ああ、頭が回らない……。

 100年前に、あの時代からここに転生してきたというの?


 うーん。


 数字が大きくて、イマイチよく分からない。


 でも、タミアさんは、はっきりと転生者だと言った!


「ククク。あんたは本当に頭が悪いようだね……。ククク」


 タミアさんはそう言うと、笑い出した。


「だって……100年前とか言われても、よく分からないに決まってますよ……」


 私はムッとしながら、タミアさんに反論する。


 タミアさんは、私の言葉にはおかまいなしで、言った。


「それで、あんたが迎えにきたヴィオラだけどね、アレは私が育てたんだよ」


「へ?」


 話が急に変わったから、思わず変な声が出てしまった。


「アハハ。あんた面白いね。変な声出すんじゃないよ」


 タミアさんはさっきまでの押し殺したような笑い方じゃなく、今度は大きな口を開けて笑い出した。


 私は変な声を出したことが恥ずかしくなり、少しもじもじしながら聞いた。


「あの、それで、タミアさん。ヴィオラ様を育てたって、どういうことですか?」


 タミアさんは笑うのを止めて、私の質問に答えてくれた。


「ヴィオラは私の屋敷の前に捨てられていたんだよ。それで育ててやったのさ」


「タミアさんって、優しいんですね」


「優しい? 私がかい? ひねくれ者とはよく言われるけど、優しいなんて言われたのは初めてさ」


 タミアさんは、また笑った。


 タミアさんって、笑顔がかわいいな。


 そう思いながら、私も一緒になって笑っているうちに、ふとローランの話を思い出した。


「あれ? 待ってください。……タミアさんが、王族の目の前でヴィオラ様を無理やり連れ去ったと聞いたんですけど、タミアさんが母親なら、そんなことする必要ないじゃないですか?」


「ああ、あんたは私が国王にかけた呪いのことは知っているな? あの呪いは誰にも解くことはできないが、ただし、ヴィオラが側にいると普段の痛みは和らぐんじゃ。だから、国王はずっとヴィオラを傍においていたんだが、私が連れ去ったから、今頃は国王も、相当痛みに悩まされているだろう」

ありがとうございました。

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