八十五 ドミニカ、マリアちゃんと飛竜 編 5〈マリアちゃん側のお話〉
マリアちゃんの視点
えーっと…
良く分かんないけど、いつの間にか何処かのお部屋に放り込まれたマリアです。
ドミニカさんは、ここでしばらくの間大人しくしてる様に言ってました。
けど、いつまで待ってれば良いのかな…?
えっと…
このお部屋、窓が無いからお外の様子も見れないね
時計も無いし…時間の流れが全くわからない状態だぁ…。
とりあえず、言われた通りに大人しくしとこうっと…
お部屋にあるのは…ソファーとテーブル、ティーセットとお茶菓子。…これは、クッキーかな?
「マリアちゃんー。ぼく、なんの説明無しでいきなり放り込まれたー」
わたしに、いきなり抱き付くレイミィさん
「うーん…よしよし」
とりあえず、頭撫でとこ。
「ふへ…ふへへ…ドミニカ様が居ないから…絶対止められない…」
…うん?なんか…お顔怖い…?
「…大丈夫大丈夫…。…匂い嗅ぐだけだからー!…すんすん…」
…まぁいっか。ほどほどにしてねー
…とまぁ、そんな感じでお部屋の中でしばらくの間は大人しくしてました。
わたしはレイミィさんに抱き付かれたままの状態で、なんとかお茶の準備とかもしたりと…大変だったけど
レイミィさんの方は、わたしに抱き付いたままずっと匂いを嗅いでました。…全く離れてくれないです…
たまに、嗅ぐ場所変えるからくすぐったいし…
「うん!マリアちゃんの匂いも十分堪能したし、満足満足。」
やっと…レイミィさんが、わたしを解放してくれました。
「気がかりなのは、直接嗅げなかった事かなー」
「…流石に、直接は恥ずかしいよぅ」
レイミィさん、何回か服の中に頭を入れようとしてきた。流石に、それは駄目だよ。恥ずかしいもん
「以前ドミニカ様に同じ事やったら、ズタボロの半殺しされたよー。次やったら殺すってー…」
「あはは…」
…うん。それ当たり前だよ…
わたしの隣に座るレイミィさんは、のんびりくつろぎながら紅茶を啜る
「うー…暇だねぇ…」
レイミィさん、すでに飽き始めてます。
たまに、隣に座るわたしの髪をツンツンしたり摘まんだり、首筋を指で撫でたり…もう飽きてますね、これ
「探検し」
「駄目だよ?」
…言うと思った。
「えー…マリアちゃん、真面目ぇ…」
いや…危険だって言ってたし…
「大人しく待ってようよ…」
「大丈夫だよー。やばめなのには近寄らないからー」
いやいや、ドミニカさんが駄目って…
「大丈夫大丈夫。見て回るだけだもん。ドミニカ様にはバレないよー。ほら行くよー!」
「あっ!?ま…」
えぇ…探検するの確定なのー!?
レイミィさんは、わたしの返事を聞かずに
わたしの手を握ると、扉の前までわたしを引きずって歩き扉をバーンっと豪快に開く。
ドミニカさん…
レイミィさんを…止められなかったです…。ごめんなさい…
お部屋から出ると長い廊下で、転々と部屋が沢山ある
「うひゃー…凄くひろーい」
「お部屋がいっぱい…」
これ…絶対迷子になるやつだよ…
本当に出て平気なの…?
「じゃあ、隣から見て行こー」
不安がるわたしを尻目に、レイミィさんは気にせず隣の部屋の扉を開く
「ほぇー…」
レイミィさんが、部屋の中に入ると動きを止める
「ど、どうしたの!?」
わたしも慌てて中に入る
…中には綺麗に装飾された剣が沢山、並び立て掛けられている
「これ…聖…剣?」
並べられている剣は、全て刀身が光輝いていて聖なる力を肌で感じる…
凄く…わたしが居るの、場違いな気がするよぅ…
「…あっ!そっか。これドミニカ様のコレクションか。ここは聖剣の保管場かぁ」
呆けてたレイミィさんが、思い出したー!と再び動き出す
そして、立て掛けられてる聖剣を手に取りマジマジと見始める
「だ、大丈夫なの?」
聖剣って持ち主を選ぶんでしょ?
そんなに気軽く触ったら…
「…うーん。残念…拒否られちゃった」
少し残念そうに聖剣を戻すレイミィさん
「…へ?」
「次、これー」
わたしが呆然とその様子を見てると、レイミィさんは隣の聖剣を手に取る
「えぇー…こっちは、すぐに拒否ったー!!ひどー」
手に持つ聖剣を雑に戻すレイミィさん
…あんまり雑に扱うと、ドミニカさんに怒られるよ…
って言うか、…いったい何してるの?
わたしの視線に、レイミィさんが振り向く
「んー、これ?ぼくの魔力通してみてるのー。もしかしたら、使い手として選んでくれるかなってー」
…うん、良く分かんない
「えっとねー。聖剣とかの神聖武器って要は、使用者の魔力と武器の相性で決まるんだよ。魔力は十人十色みんな違うから、それだけ聖剣とかも数があるんだよー。聖剣が使用者の魔力を認めたら使えるってことー」
つまり、魔力が適合したら選ばれたってこと?
「武器側が、使用者を選ぶ事もあるけどねー。その場合は…」
“こっちに…”
「ふぇ!?」
えっ!?なに…?なにか聞こえた…!?
「呼ば……ん?マリアちゃんどうしたの?」
キョロキョロと周りを見回しるわたしをレイミィさんが心配して話を止める
“きて…”
まただ…。レイミィさんには、今の声は聞こえなかったみたい…
ふらふらと部屋を出て、わたしは声の聞こえる方へ歩き出す
「あっ!まっ…マリアちゃんどこ行くのー!?」
慌ててレイミィさんが、わたしの後を追う
しばらく、廊下を真っ直ぐ進み
他の部屋を見向きもせず、一つの部屋の前で止まる
「マリアちゃん…本当にどうしたの?」
黙ってついてきていたレイミィさんが、わたしが止まると同時に声をかける
わたしは、レイミィさんに気も止めず扉を開ける
部屋の中は…中央に一本の杖が立て掛けられてある
無言のまま、わたしは部屋に入り杖の前に…
真っ白い杖…その杖は蛇が巻き付いた様な装飾に、その先端の部分には青い玉が埋め込まれてあり、そのすぐ下に翼の様な装飾がされてある。
…青い玉は中で静かに光を放ってる…。
「…杖?でも、なんでこの杖だけ…まるで隔離されてるみたい…?」
レイミィさんが、隣で首を傾げる
「…あなたがよんだの?」
わたしは、そっと青い玉に手を乗せる
“どうやら、王の…が………私も……”
…うん?途中聞き取れない
“ま……駄…み……”
……なにも聞こえなくなっちゃった。
わたしは、立て掛けられてるその杖を手に取る。
青い玉の中の光は、すでに収まってる…
まるで、わたしを呼ぶのに力を使い切ったみたいに…
「ま…マリアちゃん!?」
ずっと放置してたレイミィさんが、隣で驚いてる
「もしかして…選ばれたの!?」
レイミィさん目を見開いて、わたしと杖を交互に見てる
もしかして、この杖も神聖武器なの?
確かに、呼ばれたけど…
「ふむ…聖龍杖ハクリに認められた様じゃな。…全く…勝手に出歩いて」
あれ…後ろから聞き覚えある声が…
「げぇ!?ドミニカ様!?!?」
隣に居るレイミィさんが変な声を出す
「ふむぅ?儂が居ると不都合な事でもあるんじゃな?」
ドミニカさんが、黒い笑みを浮かべながらレイミィさんの近くに来る
「まっ…」
レイミィさん、青いお顔で三歩後ずさる
でも、下がるとドミニカさんもその分進む
「…勝手に、儂のコレクションに触れるな!っと何度も言っとるじゃろうがぁ!!」
ドミニカさんは、レイミィさんのお腹にドスッっと拳を打ち込む
「げぷっ!?」
膝から崩れ落ちるレイミィさん。
「しかも、毎回毎回…なぜ雑に扱うんじゃ!!」
さらに、ドミニカさんは追撃で脳天にゴスッっと重いチョップをぶちこむ
「あぎゃ!?!?……頭がぁ…頭がぁ…」
…レイミィさん、体を丸くしながらプルプル震えてる
うわぁ…怒りがスゴォイ…ドミニカさんのお顔が般若になってるよぅ
「…で、マリアも止められなかったんじゃな。」
ドミニカさんが、わたしの方に振り向く
おわっ!?こっちに来た!?!?あわわ…
…震えるわたしに、近寄るドミニカさん
「まぁ…どっちにしろ同罪じゃな。」
すっと、わたしの前に手を向けるドミニカさん
わたしは、咄嗟に目を瞑る
…ベシンっとおでこに衝撃が走る
痛っ…デコピン?
わたしは、おでこを擦りながら目を開ける
「うごご…ドミニ…カ様…マリアちゃん…とぼく…の扱い…が全然…違う…ずる…い」
涙目のレイミィさんが丸くなりながらも顔を上げて、ドミニカさんを睨んでる
「当たり前じゃ馬鹿犬!!少なからず、マリアは自分から悪さをするはずがないじゃろ!!」
「うぐぅ…」
ドミニカさんが逆に睨み返すと、レイミィさんがっくりと顔を伏せる…
…わたしは止めたよ?止めたもん
「…で、魔銀鉱山に着いた。レイミィ仕事じゃ」
ドミニカさん、真剣なお顔になる
「りょうかいです。」
さっきまで、苦しんでたはずのレイミィさんがすっと起き上がり真剣なお顔で答える
そして、ドミニカさんはレイミィさんの手に触れる
すると、レイミィさんがその場から消える。
「マリアは、まだしばらくお留守番じゃ」
笑顔で言うと、すっ…とドミニカさんも消える
えぇ…わたしだけ、このまま放置なの…
そんなぁ…




