七十七 リザードマンの村
おじさんは私が捕まっても、木々の間から動く様子は無い
まぁ…リザードマン達に一人で立ち向かっても、間違いなく勝てないだろうし…それでいいんだけどね
私に構わずに、石化花を採取して帰ってくれればそれでいいよ。
無駄に勇気だして死ぬ様な事するのは、冒険者に向いてないらしいし
まして、おじさんは一人で冒険者やってるみたいだし自分の力量わかってるはず。なら、私を助けるような無茶をする事は無い…と思う
…ん?私は優先で人助けやってるって?…私はいいの!
っと、リザードマンさん達が私を囲ったまま歩き始めた
…割りと扱いが丁寧だね。捕虜みたいに雑に扱われると思ってたよ
時折、リザードマンの隊長さんが私をチラチラって様子を確認してくれてるっぽいし
腕を拘束してる以外、別になにもされてない
割りと紳士なのかな?
けど、腕拘束されてると…ラエルさんとお話もできないのは不便だね
肌に聖杖剣が触れてれば良いって言っても、流石に…
…しばらく歩いて、集落らしき場所に着いた
私を囲んでるリザードマンさん達の姿が見えると、門前に沢山のリザードマンさん達が歓声を上げてる
まぁ…コカトリスの胴体を引きずって戻ってきたら、勝ったって分かるもんね
真ん中の私は、小さいし見えてないんだろうけど…
んー…とりあえず、様子見てから逃げるか決めようっと
門前で、待ってたリザードマンさん達が帰って来た者達と抱き合ってる。居る大半が雌だね。…雌はリザードマンなの?リザードウーマンなの?
あ…泣いてる子もいる…。戦闘で亡くなったリザードマンを待ってた子みたいだね…
…で、私はしばらく放置ですか。そうですか
「すまない。待たせた」
あっ、リザードマンの隊長さん
隣に、若い?雌二匹。両手に花だね
「こっちだ、ついてこい」
はーい。大人しくついていきますよー
大人しく後ろについて歩いてるけど、コイツら終始いちゃいちゃしてるのなぁっ!?…爆発しろぉ!!
小さな建物…の中に入る。牢屋かな?
「少しの間、ここで待っててくれ」
…あれ?普通のお家だ。牢屋じゃないの?
私の言葉が伝わるなら、聞きたいけど…
分かんないし、大人しくしてよ
どの道、腕拘束されたままだし
逃げたくても逃げれないよ
…村はお祭り騒ぎだね。
コカトリスが、村の脅威だったらしいし
あの討伐隊のリザードマンさん達は英雄だろうね
この部屋のちっちゃな窓から外を見てるけど、皆楽しそうにしてるなぁ…
「入るぞ!!」
扉がバンっ!!と急に開く
ふぇっ!?…ビックリしたよ…もぅ…
…って、誰?
厳ついお顔のリザードマンさん…。…あの討伐隊のメンバーじゃ無いよね?知らないお顔
「こいつか?ふーん…」
な…なに?なんか、ジロジロ見られてんだけど…
「おい、リリュー勝手に…」
あっ、今度は隊長さんだ
「これ、本当に使えるのか?ザザー」
おう!?失礼だな、この蜥蜴。後、隊長さんはザザーって名前なのね
「大丈夫だろう。この眼でしっかり見た。」
えーっと…何の話です?
私だけ、置いてけぼりですか?
なんなのー?ほんとー
「まあ、試してみれば良いだろっ!…よっと」
…へっ?あっ…ちょ…
いきなり、私を担ぎ上げる厳ついリザードマンさん。
ちょっとー!!私は荷物と違うー!!
「…すまん。」
隣の隊長さんが小さく謝ってる…。むぅ…
そして、そのまま村の中を歩かれる…
すっごく見られてる…。そりゃあ、村のリザードマンに担がれる人族の娘って凄い光景だよね。わかる…
子供のリザードマンさんも、わらわら集まってくるよ
ちっちゃいリザードマン可愛い…。でも、なにそれーはまだ良い。けど…食べるのー?は止めて…私を食べないで…
そんなこんな、見世物にされた…けど
しばらく…私を担いだまま歩いて、他のより大きい建物の前に到着する。
多分、族長的な…村長的な…人が住む場所だと思う
…てか、リザードマンってなんかもう魔物じゃないよね?どっちかって言うと、魔族寄りの亜人だよね。これ
そして…私を抱えたまま、中へ進む。厳ついリザードマンさん
私に拒否権はなしですか…。とりあえず、もう少し静かに扉を開けてね?
毎回バンッ!!って開くと、うるさいって…
…なんか、大きな部屋にリザードマンが四人ほど居る。杖使ってるから、全員お年寄りっぽい?
鱗のせいで分かんないや…
一斉にこっちをみる。私恥ずかしいんだけど…
所で、なんで私連れてこられたの?
「なぜ、人族の娘なぞ連れてきた!!」
「そんな物、役に立たんぞ!!」
「そうじゃ!そうじゃ!!」
「…」
いきなり、三人から罵声を浴びせられる私…。なんなの…
…ん?お爺さんの一人は黙って目を閉じてる…?
「どけっ!!役に立たん爺どもが居ても意味ねえ!!」
私を担いだまま、二人のリザードマンはお爺さんリザードマン達を押し退けて間を抜ける
奥には…
一人の女性が寝かされてる…。やけに人族に近い形してるけど…。あっ違う!肌に鱗がある。
けど…表情が悪い。
「族長だ。族長は竜人に進化してる。我々とは少し体の作りが違うのだ。」
あー…どっちかって言うと、亜人の中でも人族よりな見た目してるもんね…
蜥蜴人族がリザードマン。進化した、竜人族がドラゴニュートって事なのかな?
魔物よりな、亜人だから進化するのか?竜に近いから進化できるのか…うん、私には分かんない
って、それより
この人、体の半分石化してるよ!?
言葉が通じるか分かんないけど…聞いてみよう
「…この人どうしたの?」
…え?あっ!?…ちょっ…いきなり、はなっ
厳ついリザードマンさんの手が緩んで、ドスンって落下する私
「…痛ったい…よ。もう…」
急に…落とさないでよ…
ん?あれ?皆…固まってる?
「我らの言葉…」
「ばかな…」
「なぜじゃ…」
「お前は…」
「ふむ…やはりな…」
リザードマンさん達が呆然としてる。…隊長さん、貴方は薄々気付いてたんでしょ?
私を良く見て話してたもんねぇ
まぁ別に、良いけど…
…所で、私の質問の答えは…?
「…可愛らしい…お嬢さん…ねぇ…」
族長さん、目だけでこちらを見てる
うそぉ!?族長さん、意識あるの!?
体半分近く、石になってるんだよ!?!?
「これ…コカトリスにやられたの…。妾が…ミスッ…う…ぐぅ…」
…コカトリスの討伐は族長が真っ先に対応したみたいだね
そして、失敗した…と
「…はぁ…はぁ…妾は…」
族長さんの顔色がすでに…限界みたいだね
ふむ…ちょっと、私の腕の拘束…これ邪魔。ふんっ!
ぶちっと強引に拘束を引きちぎる。
リザードマン達はまた呆然としてる。って、もういいよ
さて…ラエルさん。これどう思う?
〈…そう…ですね…。風化が酷いのと…痛みや苦しみで多少動いた際に欠けたんですかね…〉
んー…。やっぱり石化治せない?
〈強引に治すと…崩れた場所が欠損や損傷になります。多分…治すと、同時に欠損の痛みが一気に来るので耐えられず絶命してしまいますね…〉
なるほど…。つまり、痛みが来る前に欠損を治せれば何とかなるのか…
〈後、私ではこの石化は治せないです。魔力足りません〉
そうなの?
〈石化は時間がかかるほど、硬化します。石化されて、すぐなら私でも治せるんですが、これは…十日以上放置されてます。〉
ふうん…。あれ…?石化花で治せるのに…?なんでリザードマンさん達は薬作んなかったのかな?
〈多分、調合法知らないんだと思います。〉
あっ!そう言うことかー
とりあえず、別った事は
ラエルさんには治せないって事。石化だけ治すと死んじゃうって事。
うーん…
両手で別々の魔法使うって事は出来ないのかな…?
〈試してみた事は無いですね…。普通は魔力媒体使いますから。杖とか…〉
ラエルさんも試してみた事ないと…。杖とか使うと片手塞がるもんね
…試してみよう。ぶっつけ本番だけどやってみるしかないよね。
よし、まずは…
ちょっと、この人のステータス観るね。…瞳が光るから、ステータス観るの控えてたんだよね。
リルュー
竜人族 450歳 ♀
蜥蜴人族の族長
双槍術士 戦職
Lv65 瀕死 半石化
ステータス
HP 4500 MP 2600
力 1540 魔力 1300
素早さ 800 知力 780
運 80
スキル
リザードマンの統率者 双槍術の継承者 魔力操作 肉体強化 竜化 竜種の縄張り
魔法
火魔法Lv5 風魔法Lv4
武器スキル
双槍術Lv10 剣術Lv8 槍術Lv10
残りHP150
…ふうん。名前リルューって言うのか。あの厳ついリリューさんと名前近いけど…兄弟とか?
まぁ、良いか。とりあえず、ステータスはこんな感じか…
竜化したら、多分さらに上がるよねこれ。
石化さえなかったら、リルューさんコカトリスに負けなかったんじゃないかな?
多分、竜化も含めて本来なら間違いなく勝てる相手だったんだと思う
慢心して、石化の魔眼を食らったのかな…?
うーん…。よし、他にやばそうな感じも無かったし
本格的にやりますか!
〈もしかして…〉
もちろん、天使の姿に戻るよ?
〈やっぱり…。〉
んじゃー。天使の姿に戻りまーす
魔力の放出はなるべく抑えて…っと。
次は…右手で天使の治癒…。左手で…
…ん?両手に…なんか魔力集まってる…?
って、おう!?いきなり、神の手が発動した!?
…ん?ちょ!?えっ…なにこれー!?両手の魔法が混ざって…変わっ…
…一つの魔法になっちゃった…。
えー…っと…とりあえず、確認…天使の癒し?
なになに…肉体の損傷、欠損、病、状態異常などほぼ全てを癒す事ができる。天使の治癒との違いは…状態異常や病を治せる代わりに、蘇生ができない。
この魔法は天使の姿じゃないと使うことが出来ない。
消費MP800
…天使用の魔法が増えた。
まぁ、今使いたい魔法だし。結果的にいいか
よーし、試してみよっと。
「この者の生命を癒す息吹きを…〈エンジェルヒーリング〉」
…おっ!?これ治癒と少し違う!!
普通の治癒は傷に直接癒す様にかけるんだけど、こっちは体全体に満たす様に魔力を送り続ける必要ある
結果的に、こっちの方が魔力を沢山使う
しかも、結構集中してやらないと魔力が消失しちゃうわぁ…
っと、余計な事考えてないで集中しないとね




