七十六 リザードマンとコカトリス
と、言う訳で
おじさん冒険者と一緒に蜥蜴の沼地へ向かってる
私達が居た所から、少し先がすでに湿地林になってたんだねぇ
少しジメジメしてる…
〈本当に知りませんよ…。〉
ラエルさん、気にしすぎー。
私が、自分勝手にしてるのはいつもの事だよー
多少の事なら平気平気ー。
って、おじさんが先に行っちゃうね。早く行こう
「足元、気を付けろやー。おっと…」
おじさん…言ってる側から、よろけないで…。
おおぅ…地面がすっごい柔らかい。踏むと水が出るよ
所々、水溜まりが出来てるし
〈不用意に水溜まりに足突っ込まないように。底無し沼だったら終わりですよ?〉
あっ、もう蜥蜴の沼地に入ってるんだね?
底無し沼かぁ…怖いねぇ…
…ねぇ、あの沼…何か居ない…?何か丸いのがこっち向いてる様な…
〈えっーと…ジャイアントフロッグですね。ランクEの魔物です。近付かなければ、襲われません。〉
そっかー…問題はないんだね。けど、めっちゃ沢山いる…いったい何匹いるのか、ぶっちゃけ分かんないよ。分かる事は…丸いのがびっしりで…気持ち悪いって事…。
「ジャイアントフロッグだな。…迂回するかね」
流石に、あの量には近付きたくないよね
その後、毒大蛇…ポイズンコブラやら死蜘蛛…デッドスパイダーやら…とにかく危険な魔物ばっかり見つけた
まぁ、見つけただけで気付かれてないから問題ないけど。
後、木に変な色のでっかい芋虫が…紫色ってやばいよねぇ…
他にも、でっかい変な虫がちらほら…
ぶっちゃけ、一人でついてきたの後悔してたりする…。
だってー…虫…苦手…
「…止まれ」
…んー?どしたの?
「なに?んっ…」
おじさん、私の口に指を当てて喋らないようにする
その後、指でちょいちょいっと前を指差す
私が指の先を見ると…
リザードマン達が巨大な鳥の様な魔物と戦ってる
〈えぇ!?コカトリスですかぁ!?〉
ラエルさん、コカトリスって?
〈コカトリス、雄鶏の様な体に尾羽代わりに蛇が生えてる巨大な魔物です。ランクはA++の特殊個体。まず、危険なのが眼です!石化の魔眼で石化させてきます。そして、尻尾の蛇。こちらは猛毒を持ってます。咬まれると数分で毒が回り死に至ります〉
うわぁ…厄介な魔物だねぇ…
「うーん…まさか、コカトリスがいるなんてなぁ…。リザードマン達も苦戦してる様だし…。石化花は、この先なんだがなぁ…」
おじさんも、流石に悩んでるね
リザードマン達、さっきまで二十体ほどいたのにすでに一桁まで数が減ってるもん
石化と猛毒も厄介だけど、なにより巨体だから嘴やら爪やらを受けるだけで致命傷なんだろうね
私が参加すれば、勝つことは簡単そうだけど…
リザードマン達がどんな連中か分かんないと、共闘はまず無理
だって、リザードマン達が戦闘中に私を攻撃しないって分かんないし
背後から不意討ちなんてされたら怖いもんね
そんなこんな、様子見してるとリザードマン達のこり三体まで数が減っちゃてる
「もう無理です!撤退しましょう!!」
「この数では、無理です!」
…おや?リザードマン達の会話が聞こえてきた…?
「だが、このまま奴がここに住み着くと村が壊滅する…。」
「ですから、今は一旦引き体制を建て直しましょう!」
「三人では、絶対に無理ですから」
リザードマン達、割りと普通に会話してるね
〈私達は、この世界の言語全てを理解できますから。多分、人族とかには理解できないはずです〉
そうなの?…ちらっと横にいるおじさんを見る
険しい顔でコカトリスを見てる…
リザードマン達の会話を聞いてるって事は無さそうだね。
で、なんかさ…会話聞いてると、そんなに悪い感じしないんだよねぇ…
ラエルさんはどう思う?
〈そうですね…。確かに、村の為にって感じですよね…。〉
だよねぇ…
「…うわぁ!?た…たいちょ」
あっ!?コカトリスに、また一体石化されたみたい
「「ドドュー!?」」
「くそっ!よくも!!」
「おい!?待てっ!!」
隊長リザードマンさんの制止を振り切り、もう一体のリザードマンは槍をコカトリス向ける
けど、コカトリスはそのリザードマンの槍を避けると同時に尻尾の蛇をけしかける。あれじゃ尻尾の蛇に咬まれるわぁ…
…あー、もう…見てらんない
ラエルさん…私、乱入するよ
〈すると思ってました。支援は任せてください。〉
「おじさんは、そこで待ってて。コカトリス狩ってくる」
私、飛び出すと同時におじさんに言う
「…へ?」
おじさん、間抜けなお顔してるけど
私が飛び出してから、慌ててももう遅いよー?
さて、コカトリスの尻尾の蛇が狙ってるリザードマンさんを助けようね
ちょっと、間合いが遠いから聖杖剣での剣撃だと間に合わない
魔法で牽制しよう。
「まずは牽制!〈ライトアロー〉」
聖杖剣を鞘のまま杖で使う。別に蛇に当たらなくてもいいや
コカトリス、私が魔法を放ったのを感じてリザードマンさんからすぐに離れる
こいつ…私の魔法が危険だと判断が早いっ!?
私の光矢を蛇が当たってたら多分、蛇は殺れてた…と思う
威嚇のつもりだったけど、予想外にすぐ反応するね…
そして、すぐ距離を取るコカトリス。私に警戒してる…?
「誰だ!?…人族だとぉ!?!?」
「隊長!不味いですよ!?コカトリスと戦ってる上に人族まで…」
…おいぃ!助けたのに、なにその反応はぁ!!
…ん?コカトリスの眼が光った…?
って、うお!?危な…。コカトリス、不意討ち止めろぉ!!
石化の魔眼って使う時、光るんだね…危うく当たるところだったぁ
〈いや、当たってますからね?《キュアストーン》〉
…ふえっ!?うそぉ!?!?
あっ…右足が軽くなった…。あぁ…右足に当たってたのかぁ
〈後、そのリザードマンはまだ助けられますね。《キュアストーン》〉
さっき石化させられたリザードマンさんに、聖杖剣から治癒魔法の解石化が発動する
「…はれ?生きてる?」
石化が治ったリザードマンさん、間抜けなお顔してる。
とりあえず、まだ戦闘中だから気を抜かないでね?
ラエルさん、石化してるリザードマンさん達は何体ほど治せる?
〈何体かはいけます。けど、大半は欠けてるか砕けてるので治すのは無理ですね…〉
そっか…とりあえず、治せる奴は治しとこうね
私は戦闘に集中するから、ラエルさんは近くの治せる奴から治してあげて
〈了解です《キュアストーン》〉
私が駆け出すと、同時に聖杖剣が解石化を発動する
で、こっちは…
私が動くと同時に、コカトリスは尻尾の蛇で迎撃するつもりらしく蛇を向けてくる
うへぇ、牙から毒々しい液体が垂れてる…
絶対、咬まれたくないなぁ
コカトリスの尻尾の蛇は、近くに私が寄ると襲ってくる
この調子だと、剣による戦闘は厳しいな…
でも、魔法はコカトリスの反応が早くて当たんないし…
じり貧だねぇ…無茶して咬まれるとか嫌だし
どうしよっかー。
じっと、間合い開けて睨み合いなんてしてらんないし
石化の魔眼の間合いだからねぇ…この距離
ほら、また魔眼使ったぁ!?うぉ…危な…
魔眼使う時、目が光るからまだ対処出来てるけど…
不意討ちなら避けようないねーこれ
〈ヒカリさん、石化してたリザードマン達はだいたい治しました。〉
お?どれどれー
ふむ…五体か…でも、治せただけマシだよね
石化から治ったリザードマンさん達は、リザードマンの隊長さんの下に集まってる
これで、少しは私にも余裕出来るかな?
リザードマンさん達が戦闘に参加したら、コカトリスに隙を作る事が出来るもんねぇ
…でも、私も敵として見てないよね?
「隊長!あの人族はどうします?」
「コカトリスと殺り合ってるみたいですけど…」
「ふむ…だが、今はコカトリスだ!!放って置け」
「「「「「了解です。」」」」」
…うん、大丈夫そうだね。
私まで攻撃対象になったらどうしようと思ったけど
目標を、コカトリスに絞ってくれた
これで、背後を気にしなくても大丈夫だ
さて、私を警戒してるコカトリスは…っと
左右から囲む様に展開するリザードマンさん達をチラッと見て、すぐに私の警戒に戻る
ふむ…リザードマンさん達を敵として認識してない…?
いや、尻尾の蛇が左側を睨んでるな
でも…蛇が私を見てないなら、私も動くよ?
私が駆け出すと、コカトリスの顔と尻尾の蛇が両方私に向く
やっぱり、狙いは私が優先か…
けど、私だけ見てて良いの?
「グギャァァァァァァ!?」
私に敵意が向いた瞬間、左右に展開したリザードマンさん達が槍で一斉にコカトリスを貫く
…まぁそうなるよね
じゃあ、次はリザードマンさん達に敵意が向くよね
想定通り…コカトリスがリザードマン達に狙いを変え、私にお尻を向ける。
「なら、蛇は斬り落とすねー。」
私は即座に、尻尾の蛇の頭を斬り落とす
「シャァァァァ…」
私にお尻向けたら、そりゃあ蛇を狙うよ
しかも、蛇もリザードマンさん達の方を向いてたし…狙ってくださいって言ってるみたいだったもん
さて…蛇を斬り落としたけど、まだコカトリスの危険性は残ってるよね。勿論、石化の魔眼
やるなら、首を落とすか目を潰すのどっちか…だね
リザードマンさん達はコカトリスの視界に入らないように動きながら戦ってる
んーっと…リザードマンさん達に、止めは任せようかなって思ってたんだけど…
石化の事考えたら、さっさと終わらした方がいいのかな…?
蛇を斬り落とした際はすぐに、私に敵意向いたんだけど
すぐに、リザードマンさん達が槍でコカトリスの胴体を貫いたから
今…私は完全に放置されてるんだよねぇ
これ、コカトリスの首もいけちゃうよねぇ…
私に、またお尻向けてるし…。これ殺れちゃうねぇ…
そっと、私は駆け出す
そして、コカトリスの体の上に飛び乗る
「グァ?」
流石に、乗ったら私に気が付くよね。もう…遅いけど
「てやぁ!!」
そのまま、コカトリスの首に、剣を叩き込みながら飛び落ちる
体重を利用して、そのまま一気に振り抜く
「グケェ…」
ドパッと、コカトリスの嘴から血が溢れると、首がゴトンっと地面に落ちる。よし、討伐完了!っと…
「ふぅ…」
聖杖剣を鞘に戻して、息を吐く
あー、疲れた。…コカトリスの首は貰っとこ
恵へのお土産になるよね
あっ、おじさん終わった事報告しなきゃ。
「おじさーん終わったよー!!」
私は、おじさん冒険者の居る方向に手をブンブン振る
…ん?おじさん、なにか手で合図してる…。ふむ…周り見ろ?
周りに危険なんて…
…んん?リザードマンさん達、なんで私に槍向けて囲んでんの?
「抵抗はするなよ」
「大人しくしていれば、痛い思いはしない」
あっ…はい。槍向けられてたら抵抗なんて出来ないです
抵抗する気が無いのを確認したリザードマンの隊長さんに、皮か何かで出来てる縄で私の腕をガッチリ拘束する
あー…私警戒しなさすぎたのかなぁ…
強制連行されるのかぁ…そっかぁ…




