七十四 屋敷から脱出するよ
っと、そんな事より
恵は大丈夫なの?
赤青ツインテールさんが抱っこしたままだけど
凄く器用にバランス取って、右手だけ自由に使ってるんだよね
仰向けだと恵の様子が全く見えないんだよぅ
私も体が痛いし…って、あれ?もうあんまり痛くないや。少し体動かしてみよっと
うぅ…ん。…よし、体は大分よくなってたみたい
後は、治癒魔法でもかけとけば大丈夫そうだね
「んっと…〈ヒール〉」
えーっと、翼は…うん、大丈夫そうだ
余りに痛かったから、体中の骨でも折れたかと思ったよ
「おっ?起きたんだ。んじゃー、お姉ーさん後はよろしくぅー」
ツインテールさん、私が起き上がるとすぐに恵を渡してくる
まぁ、受け取るけどね。
「…すぅ…すぅ…」
恵寝てる…
それにしても、なんで恵は下着姿なの?
傷は…鞭打ちでもされたのかな?赤くなってるし、所々血が滲んでる
とりあえず、治療はしとこうっと
「〈ヒール〉」
…よし、傷は癒えたね。
問題は…首輪。二人が外さなかった、いや外せないのは魔力妨害の首輪だから…か。
むろん、私も触れない。だって触っても力入らないし、私の魔力も拡散しちゃうからずっとは触ってられない。
魔力で体を動かしてる天使とか悪魔とかの唯一の弱点だよね
「よっしー、アタシっちは仕事終わりー。帰ろっとー」
「おい待て」
ツインテールさんは、くるっと回り来た道を帰ろうと進み出す
けど、エヴァさんに首根っこを捕まれてすぐに止められる
「ぐえっ!?なにするのーエヴァっちー」
少し涙目で振り向くツインテールさん
「あれ、巣に帰してから帰れ。」
牢に囚われてる飛竜を指差して、言うエヴァさん
あのまんま放置は良くないよね。
「うえー…でも、アタシっちは…」
「や・れ・!」
「ういー…」
渋々、飛竜の囚われてる牢に近付いて行くツインテールさん
「お前らー巣に帰してやるから付いてこいよー」
と、牢を開けながら言うツインテール
それで、言うこと聞くの…?無理でしょ?
「…はぁ、アイツ馬鹿だった…。ヒカリ、あのワイバーンと目合わせて話して…」
エヴァさんの指差してるのは、他より少し小さい薄赤い飛竜。他の飛竜が茶色いのに対して少し目立つ
でも、なんで私なの?別に良いけど…意味あるの?
まぁいいや、言われた通りにしよっと
「んー。おぅ!?近くだと結構…おっきい。」
成体化してる時のきゅうより、小さいけど。飛竜もそれなりに大きいね
…おや?私が近付くと薄赤い飛竜が怯えてる?なんで?
「ねぇ巣に帰してあげるから、大人しくあの人に付いて行ってくれる?」
「ぎゃう…る…」
おん?よく分かんないけど分かってくれたっぽい?
なんか、私を見て涙目になってるけど…私が怖いの?いや、なんで?悲しくなるんだけど…
所で…この飛竜達はどうやってお外に出すの?
ここ地下牢…地下通路?だよ
ツインテールさん達が来た道だと狭そうだし、そこからは出せないよね?
「おー。予想よりーでっかいわぁー。一旦、アタシっちの空間に入れとこーっと」
へ?…えぇ…なにそれぇー!?!?
ツインテールは牢から出した飛竜を指を鳴らして消していく
「入れっぱなしだけはするなよ?」
エヴァさんは、ツインテールさんのしてる事わかってるっぽい…
〈スキルの異空間ですか。悪魔も使えるんですねぇ〉
なにそれー。私知らないんだけどー。
〈一定のレベルになれば使えるようになりますよ?簡単に説明すると、小規模の自分の異空間を得られます。ちなみに、空間内には自分も入れますし、出し入れだけの倉庫としても使えます。〉
つまり、自分だけの場所を貰えるってこと?
〈概ね、そんな感じです。空気や土、川はあるので、畑で野菜や果物なんかを作ってた天使なんかもいましたね。私はほぼ倉庫でしたけど…〉
へぇー…私もほとんど倉庫になりそう…
〈解放条件は、確か…20です。…覚えられれば、ですけど…〉
じゃあ私達は、まだまだ先なんだね。…ん?覚えられれば?
〈覚えない天使も居たので…〉
そっかー…。私達はまだLvも低いし覚えるか、まだ分かんないけど
知らない事も、まだまだ沢山ありそうだね
〈あはは…私も知らなかった事ありましたから…〉
でも、ラエルさんは私より博識だもん。
「よっしー、回収かんりょーアタシっちは帰るねー。ばいばーい」
飛竜を全て回収したツインテールさん、今度こそ来た道を手を振りながら戻って行った
「やっと煩い奴が帰った…。」
エヴァさんお疲れ様です。私は温かい目で眺める
「半分、お前のせいだからな?」
エヴァさん、そんな私を睨む
うへっ!?ごめんなさい
「もう大丈夫そうですか?」
「多…分…」
「大丈夫よ。それに早く逃げないと不味いわよ」
おや?ラヴィさんとメアだ。後、リーナさんもいる
「おぅ、リーナ」
「あら?エヴァどうしてここに?」
エヴァさん、私をチラッと見る。悪魔関連は言うなって事ですね
「裏から入って手伝ってた」
「そうだったの?…でも、ほんとーにそれだけ?」
リーナさん、エヴァさんに近寄ってじーっと顔を見てる
冷や汗たらたらエヴァさん。目を背けたら負けだよ、エヴァさん。がんばれー
…あっそうだ!
「ラヴィさん。恵の首輪外してくれる?」
私が声をかけると、ラヴィがすぐに駆け寄ってくる
「…あぁ魔力妨害の首輪ですね。ちょっと失礼します…はい。取れました」
恵の首輪をラヴィさんは器用に外す。てっきり、短剣かなんかで切るのかと思ったよ?
「あっそうそう。メグちゃんとラヴィさんの没収されたものは回収しといたわ。特にメグちゃんの服は…」
リーナさんがこっちにくる。エヴァさん…解放されたんだね。って、凄い汗かいてぐったりしてるし!?…見なかった事にしとこ…
とりあえず、恵にワンピースを着せて…私がまたお姫様抱っこする
恵はまだ寝てるし、起こす必要はないよね。大分疲労してるみたいだし
休ませてあげようね
さて、これでこの屋敷には用が無くなったね
さっさと退避しよう
「ここの貴族は死んだ。ここにいると、面倒に巻き込まれる」
…うん。エヴァさんが殺ったんだね
私、ジト目でエヴァさんを見る
「遅かれ早かれ、どの道ヒカリに殺られてた」
…うぐぅ。確かに生きてたら、ぶち殺してたと思う…
で…でも、私なら…あっ駄目だ。冷静に考えてもボコボコにして殺ってる。蘇生もしない
「そろそろ、脱出するわよ。エヴァ、この先行けば出られるんでしょ?」
リーナさんは、エヴァさんに確認する。
「出れる。精霊の泉がある森の古い小屋に出る」
エヴァさんは頷き、答える
さっき、ツインテールさんが戻ってった先、森の中の小屋に続いてるみたい
じゃあさっさと行こうかー
狭い通路を抜けて…
古びた小屋の中に出る…
うぇ…埃っぽい…
ふぃー…外だー…あれ?…真っ暗だ…
あれぇ、まだ真夜中なの?あんまり時間経ってない…?
「きゅぃぃぃぃぃぃぃん」
おん?なにこの…
…おっふっっ!?お腹にめり込んで…おふっ…恵落と…す…誰か…
「…キャッ…チ」
メアありがと…
お腹…しかもめっちゃ勢いよくお腹にめり込んだのは一体…
「きゅ!!きゅー!!!!」
きゅうお前か!…って、あれ?きゅうちゃん?なんで怒ってるの?
待って…私のお腹にめり込んだまま、更に奥に向かってグリグリしないでー。私のお腹に穴が空いちゃうよー
「きゅー…がるる!!」
激怒です。きゅうちゃん
お腹から引っこ抜いたら、今度は私の頭をかじかじ噛んでる
「あっ…お店に忘れてた。悪い」
エヴァさん…
それで、きゅうが起きたら誰も居ない…放置されたと…思ったのね
怒るの無理ないやん…っで、私に八つ当たりしてる感じかぁ
まぁ、きゅうの気が済むまでやらせとこう
私に八つ当たりしてる分には、好きにやらせとけば良いや
満足したら大人しくなるでしょ
「きゅん…」
あれっ?すぐ噛むの止めたね。…頭にぴったり引っ付いてる。寂しかったのかな…
「きゅ…すぴー…」
って、寝るんかい!?もぅ…
「そうね…。ヒカリ様達はこのまま、街には入らずに逃げた方が良さそうね」
「騒ぎが大きくなりすぎた。それこそ、本当に捕まる」
リーナさんとエヴァさんは同じ考えみたい
まぁ私もこんな状態じゃ街には入りたくないかな…
でも、西門まで外壁を回るのは大変だよぅ
「じゃあ私達はお店に戻るわ。またね」
リーナさんとエヴァさんが私達の横を通る
『…面倒なら、飛んで行け。』
ぼそっとエヴァさんは耳打ちしてから去っていった…
飛んで行けかぁ…
確かに、ラヴィさんとメアだけだし。恵はメアに任せて私がラヴィさん抱えればいけるねぇ…
今…夜中…暗闇に紛れる…
「メア、飛んでいこう。」
「…え…?」
そりゃあ、メアは困惑するよね
でも、多分大丈夫だから
私は人化を解除し、天使の姿になる
「…。」
メアは渋々、天使の姿に…
よっし、ラヴィさんぽかーんってしてるけど失礼するね
「ラヴィさん暴れないでねー。」
私がラヴィさんをひょいっと抱える。
「…え?…へ?な?え?…」
ラヴィさん、大丈夫だから壊れないで…
よし、あとは…
翼に魔力を送る。すると…私の体がふわりと宙に浮き、さらに木々より高く上昇する
高く飛ぶの初めてだけど、大丈夫だよね?
「ちょ…高ぃ…きゃあぁぁぁぁ!?!?」
あっ!ラヴィさん下を見な…あっ…ちょ…ラヴィさん暴れないで…
もぅ、暴れると強めに抑えるよ?えいっ
「あぅ…」
ラヴィさんぎゅっと抱き締めたら、ぐったりしちゃった
まぁ良いや。大人しくなったし
「…鬼畜」
メアにジト目されてるけど…仕方ないじゃん
落とす訳にはいかないんだし
それじゃ、行くよー
っと、私とメアじゃ速度もかなり差があるね
ゆっくり夜の空の旅を楽しもっかー…




