七十三 勘違い
恵を助ける為、地下通路を進んでる私達…
この地下通路って非常用の脱出通路だよね?なんで、ここ地下牢と繋がってるの?おかしいよね?
でも、そんな事より早く進まないとね
さっき、探索魔法で確認した赤い3つの点と青い点…
今は、青い点だけ点滅してる
赤い点は敵対、青い点は味方、黄色は中立、灰色は亡骸
じゃあ点滅は…瀕死?
それならやばいじゃん。青い点は間違いなく恵だし
…えっ?
な…なに…?もの凄い魔力を一瞬感じて、体がぞわっとした
しかも、この先…恵がいる場所…
ちらっと後ろの二人を見る
ラヴィさんは…気付いてなさそう
でも、メアは…不安そうな表情で私と目が合う。メアも魔力を感じたみたい
…うん。決めた。私一人で行こう
「二人は待ってて。」
「え?」
「…っ!?…一人は…駄目!!」
ラヴィさんは驚き、メアは…引き止めるよね
メアの言いたい事はわかるよ?でも、流石にね
「多分、二人を護りきれない。」
あの魔力、私と同等かそれ以上だよ?
流石にそれ相手にしたら護る余裕ないよ
「…。」
メアは言い返せず黙る
心配してくれてるんだもん、勿論うれしいよ?
私はメアの頭を撫でる
「メアはラヴィさんをお願いね」
私が笑顔で言うと、渋々メアは頷く
「無茶だけはしないでくださいね。」
「…メグミ…お姉ちゃん…優先…」
うん。二人共わかってるよ
…さて、この先に誰がいるのか…
地下通路を抜けると、広い部屋にでる
周りの牢の中…魔物?
何匹も囚われてる…これ、飛竜?
これは…盗賊の時と同じ?魔物は大人しくしてるっぽいけど…
そして、私は真っ直ぐ進み、奥の部屋に入る…うわぁ色々と物騒な物が沢山あるよ…ここ、拷問部屋?
「エヴァっちーこれどうすんのー?」
「あたしに聞くな。どうしようもないだろ」
…見覚えがある人がいる。もう一人は知らないけど…凄い髪してるね。赤と青のツインテール…
恵は…えーっと…赤青ツインテールさんが抱っこして…る?…
「おん?おー、お姉ーさんがきたよー」
「あ…」
エヴァさん、顔色が青くなる
…ねぇ?なんで恵が下着姿なの?なんで傷だらけなの?
どうして?ねえなんで?
なんで恵そんなに弱ってるの?
すーっと心が冷たくなってるのが分かる。多分、無表情で二人を見てる…と思う
落ち着け…冷静に…なれ…ぶちギレるには…まだ早い…
「え、エヴァっち…な…なんか怒ってるよー」
「やばい…アイツら殺したの早まったか…?」
魔力を解放…人化解除…天使の姿…
むろん、私の怒りの矛先は二人に向かう
とりあえず、二人共死なない程度にはボコス!話を聞くのはその後でいい
「待て、ヒカリ落ち着けっ!?」
「ひょえー」
私は問答無用で襲いかかる
「大丈夫…命までは取りませんから。大人しくボコられてくださいね?」
「完全に切れてる…?」
「ひぇーお助けー」
私は聖杖剣を抜き、二人に斬りかかる。手加減なしの全力。
エヴァさんとツインテールは私の聖杖剣を巧みに避ける…。
二人共、私の速度に反応してる…くそっ当たんない。
でも、距離を取ると無詠唱で発動した光矢が複数本が襲いかかるよ?
「ウヒョー!?なにこれぇー!!話が違うー死ぬー!!」
「冗談抜きにやばっ!?」
エヴァさんは光矢を自身の無詠唱の火球で相殺し打ち消す
ツインテールはひーひー言いながらも全部避けてる
「てやぁ!」
火球を放つ隙を狙って聖杖剣を振り抜く
「あっ…イタッ!ああ…もう、いい加減にしろよぉぉぉ!!」
エヴァさんが聖杖剣を掠り、ぶち切れた
「…えっ?」
エヴァさんは私が反応できない速度で近寄ると、私の首を掴み
そして、そのまま床に叩きつける
「がっ…!?」
全身からメキャッ!っと変な音がして激痛が走る
「ぐおぉぉぅ…い…たぁ…い…ぁぁ…」
おぉぉ…やばい体がめっちゃくちゃ痛い…いたいよぅ…
しかも、めきゃってぇ…全身の骨がぁ…
エヴァさんは私を床に叩きつけてなお、仰向けに倒れて呻き声だしてる私の前に仁王立ちしてる…
私は痛みに耐えながらエヴァさんを見る。…体から魔力を放出してる?あの感じた魔力はエヴァさんだったの…?
「クソがっ!暴れんな!!」
エヴァさん私の顔を強引に掴む。ふぇ…口調変わってるよぅ…
それに…目の色変わってる?白目がまっ黒くて、瞳が赤くなってる
「あー、死ぬかと思ったー。流石、エヴァっちー」
ツインテールさんは恵を抱っこしたまま、とんとんっと陽気に戻ってくる
「メグミに酷い事したのあたし達じゃねえ!そいつらはもう死んでんだよ!!」
「そうだよー。アタシっち達はむしろ、助けた恩人ー」
あ…そうなの?勘違いだったのか…
「…ごめんなさい」
でも、叩きつけられた影響で体中まだ痛い…しばらく動けそうにないよ
「ったく…むやみに誰にでも襲いかかるなっ!自分より強かったらどうする気なんだ!!」
うぐぅ…ごめんなさい…
「そうだよー。エヴァっちだから、これで済んだんだよー。アタシっちはただの雑魚だけどー」
ツインテールさん、自分の事弱いって言ってるよ?自虐?でも、私の攻撃を全て避けてたよね?
「後、余り天使の姿にならないよーにね」
私の輪っかをツンツンする、ツインテールさん
わひゃっ!?ちょっ止めて!体がビリビリする。全身痛い上に痺れるのは勘弁
「…ふぅ。二人共、天使ってバレてた。気を付けないとまた捕まる」
エヴァさんの口調が戻った?あっ目の色が戻ってる
って、…え?なんでバレたの?
後…エヴァさんは驚かないんだね。知ってたの?
「…あたしは見ての通り、悪魔だから。だいたいの事は知ってる。」
再び目の色を変えて見せるエヴァさん。確かに白目が黒くなってる
「本当ーは肌の色とかも違うんだけどねー。」
そっか、天使と一緒で姿隠してるんだね
当たり前かー。
「とりあえず、七大罪の悪魔には襲いかからないよーにね。エヴァっちの強さ見たでしょー?」
「…七大罪?」
「そう。あたし以外に後、六人居る…と思う。」
「エヴァっちはー他のメンバーにはー興味ないっぽい?」
「一応、傲慢には従う。…理不尽じゃなければ…」
七大罪?七つの大罪って事みたい。確か…傲慢、憤怒、暴食、強欲、嫉妬、色欲、怠慢だっけ?
「エヴァっちはー強欲ぅ」
「だから、言い方ぁ!」
うは、それだとエヴァさんが強欲だと思われるね
「あたしの正式名称は、エヴァンジュ・アモン。悪魔名は強欲のアモン。でも、別にあたしは人族とか魔族とか興味ないから気にする必要はない。あたしはエヴァそれでいい」
「ほんとーに、ここまで興味ないの珍しいよねー?」
いや、私に言われても…
まぁでも、エヴァさんは敵にならないって事だよね?なら良かったー
私だって知り合いと殺し合うとか嫌だもん。えっ?今やってた?忘れろー!
「それにしてもー、天使って弱点晒してるよねー。これー」
ツインテールさん、また私の輪っかをツンツンする
あわわわ、ビリビリ痺れる…
「それ、普通なら割れないから。天使の輪っかは魔力を安定させて蓄積、維持する機能があるから異常に硬い。無いあたし達は常に自分で魔力を維持する必要がある訳だけど…」
エヴァさんツンツンされてる私をチラッと見て放置する。いや、助けてー。
「その代わりー、これ割られたらー魔力の蓄積出来なくなってー動けなくなるんでしょー?厄介じゃーん」
ふぇ!?初耳なんですけど!?!?
「そう。あたしが以前、敵勢の天使にやったことある。動けないから凄い絶望してた」
さらっと、エヴァさんとんでもない事言ってるよ!?
「エヴァっちってー、何世代の悪魔だっけー?」
「第一世代。所謂、初期型」
…悪魔にも世代あるの?
〈…え?待って…私達が相手したのって…〉
あっラエルさん。珍しく反応した
「お?おっふー黒女神が言ってたの、この剣かー。」
あっ!…ちょっ…勝手に持っていくなぁ!?
「噂の剣ー。天使の核が融合してるってー」
ほいって、エヴァさんに聖杖剣を渡す
「ふーん。って事は、ラエルって天使か。お前達と戦争した第二世代の悪魔は全滅してるから安心しろ。今残ってるのは第一世代と第三世代の悪魔だけだ。私含む、初期型は七体の悪魔。第三世代は…」
「んーっとねー、十体かなー?」
「だ、そうだ」
言い終わると、エヴァさんは聖杖剣を私の手のひらに乗せる
「ちなみに、あの戦争の時に天使に被害出してたのは、あたし達七大罪の悪魔が大半だ。天使と悪魔、質は天使のが上だから…。あの時は、あたしも天使の事を色々と知りたかったから戦闘に参加して戦闘中に捕まえて色々弄くってたし…」
〈…なっ!?〉
ラエルさんもびっくりしてる。
「弄ってて瀕死になったら他の無事な奴に返してたから、そこまでの被害はなかったはず…?」
いや、考えが…軽いよ!?軽すぎだよ!?!?
「軽く考えすぎだよぅ…」
弄ばれた天使がかわいそ過ぎる…よぅ…
「いや…翼を千切ったり、輪っか割ったらどうなるのか気になったからつい…」
って、結構エグい事してるー!?
〈あぁ…両翼千切られた子や輪っか割られて動けない子が、一ヵ所で多発したのって原因…貴方だったのですか…。奇跡的に死者が出なかったのって、生かされてたんですね…〉
ちなみに、ラエルさん翼を千切られた場合と輪っか割られた場合…そのあとどうなるの?
〈翼は数日経てば、また再生します。問題は輪っか…です。こっちは一年以上再生に時間かかりますから…〉
「えぇ!?輪っか再生に一年以上かかるの!?!?」
〈はい。でも、動けないだけで意識はちゃんとありますけどね〉
マジですか…そうそう、割られ無いって言っても気を付けないといけないね…
「一年か…まぁ、そんなもんか…。数週間位で再生するもんだと思ってたけど…」
エヴァさん…研究者みたいな顔してる。でも、私達で試したりしないでね?
「後…まぁ、あたし達悪魔には同族意識みたいなのはないから、第二世代の全滅は気にしてない。…それに、戦争にはあたし達は興味なかったから、天使側が勝ったんだ。あたし達が一体でも興味持って戦争に本格参加してたら天使を虐殺して終わってた。お前ならその強さが分かるだろ?」
エヴァさんが聖杖剣に問い掛ける
〈確かに…私は強さが桁外れな悪魔とあの戦争で殺り合いましたけど…。あれって七大罪だったんですか…?私ですら軽く弄ばれてたんですけど…〉
本にはそう言う事は書かれてなかったね。大天使を軽く弄ぶとか…
少し考える、エヴァさん
「確か…大天使と殺り合ったって言ってたのはレヴィだった…はず。凄い弱かったって文句言ってた…」
〈ふぇ!?あぅぅぅ…〉
あっ…姿は見えないけど、ラエルさん涙目だ絶対。
でも、聞きたい。ラエルさん、そのレヴィ?ってどんな強さだったの?
〈…ぐすっ…えっとですね…確か、槍使いの悪魔でした。強さについてですが…ぶっちゃけ分かりません。私が何しても余裕で対処されて…終いには槍を使わず、私の体を触って反応を楽しんで弄ばれてましたから…〉
おう…それ、私なんか同情できそう…
「そう言えばーレヴィっち、黒女神に天使を一匹ペットに欲しいーって言ってたよーな…。」
「あれ冗談じゃないのか…?はぁ…」
ツインテールさんの言葉にエヴァさんはため息を吐き、私を哀れむ表情で見つめる
…え?なんでエヴァさん私見てるの?
「ヒカリは…多分気に入られる…。」
ふぁっ!?…え?私なの?私、ペットにされるの?
「がんばれ…」
えぇー…やだぁ…




