七十一 皆と脱獄するよ
貴族さん、期待した目してるけど
もう少し待っててねー。
まだ椅子に座って呑気に喋ってる牢番が四人ほど居るんだよね
出入口と近いから逃げられたら非常に不味いし。
でも、流石に罪のない人を殺る気はしない
この屋敷の衛兵さん達はただ仕事してるだけだし
魔法で対処すると殺さずはできないし…
素手でまとめて?いや無理、私には武術とか以前にそんな器用な事できっこない
メアと二人でも四人同時は流石に厳しいよね?
チラッとメアに目を向ける
「…殺る…なら…いける」
うん…メアちゃん殺すのは止めよーね?
…これは駄目っぽい。メアと一緒でも四人は無理みたいだね
あの四人は呑気に喋ってるからまだ大丈夫そうだけど、見回ってる牢番が帰ってこないのに気が付いたら流石に動き出すよね
そうなったら、強硬にでるしかない…
「にゃー?なに考えてるにゃ?」
私が複雑な表情してると、猫人族さんが話しかけてきた
「んー…出入口の牢番四人をどうするかで悩んでるの」
「にゃんだ。それならにゃーも手伝うにゃ。」
「四人なら、私も手伝う」
おお!獣人のお二人が協力してくれるなら頼もしい
「私も…」
ラヴィさん、そんな小さい声で…。自信ないなら別にいいよ?
て、訳で
二人の入ってる牢の錠前を、指先の火で焼き切る。次は…ラヴィさんの方…あっ…すでにメアが水圧で切ってる…
「にゃー達、再びにゃ!」
「黙れ、見つかるだろっ!」
牢から出て調子に乗る猫人族さん。そして、その頭を叩く狼人族さん。これ漫才かな?
この二人仲良いよね。獣人二人で旅してるみたいだし
「ヒカリさん…ごめんなさい。メグミさんを助けようとはしたんですけど無理でした…。」
ラヴィさんが私の元にやってくる
格好は朝の出た時とほぼ一緒。ティアラだけがない
ラヴィさん自身はアクセサリーとかで、お洒落しない人だから…精霊女王のティアラは余計に目立ってたんだけど…
「ラヴィさん、ティアラどしたの?」
私の問に、ラヴィさん少し申し訳なさそうな顔をする
「えっと…ですね…。…伯爵に取り上げられました…。罪人には勿体無いとかで…」
あー…なるほど。奪われたのか…
私達の所有物に手を出したのか…。ラヴィさんと恵に濡れ衣着せただけでも許せないのに…。これはもうお仕置き必要かな?
…ん?ちょっと待って…ラヴィさんは特に酷いことされてなさそうだけど、恵は別の牢屋に連れていかれたんでしょ?
それって…他と違うことされてても可笑しくないよね…?
ラヴィさんと同じく身に付けてた物が奪われてるなら、イヤリングは間違いなく奪われてるだろうし…
恵が抵抗出来ないんだとしたら…魔力妨害の拘束具つけられたって事。
つまり、無抵抗な状態なはず…
私…恵に酷い事されてたら怒り抑えられるか分かんない
とりあえず、まだどうなってるのかは分かんないし。
心配なのは変わらないけど
どの道、早く助けないといけないんだから急がないとね
それじゃあ、四人の牢番さんにはしばらくお休みして貰おう
「にゃーはあの真ん中の奴絞めるにゃ」
「んじゃ、俺は隣の奴」
獣人二人は喋ってる二人をやるらしい
「メア…右の…」
メアはその喋ってる奴らより右側のただ聞いてる奴ね
「私は残った左の奴か」
左側の奴、こっくりこっくり舟漕いでるけど…牢番の自覚あるの?
「よっしゃー!いくにゃー!!」
「とりあえず、鬱憤はらさせろ!!」
獣人二人はなにも考えず突貫する…。凄く脳筋です
「「「何事だ!?」」」
三人慌てて臨戦体制に
「脱獄かっ!?応援をよ…」
「…逃が…さない」
メアはすでに目標の背後から奇襲する。いつの間に…背後に?
おっと、舟漕いでる奴も慌てて起きたね。
「…寝てたら苦しまなくて済んだのに」
私も即座に起きた牢番に駆け寄り、首に腕をかけ締め上げる
「ぐっ…ぎぎ…」
お?この牢番さん意外と耐える…。めっちゃ足掻いてるし。抵抗すると余計に苦しいのにね
…ふぅ。やっと動かなくなった…。…死んでないよ?
さて、皆は…
「やったにゃー」
「ふぅ…」
おうっ!?獣人二人のお相手…ズタボロじゃん…やりすぎだよ!!
でも、二人は凄く満足そう。爽やかな笑顔してる…
「…ん。…終わった」
メアは…私の真似したのかな?牢番が無傷で気絶してるっぽい
おや?剣落ちてる。獣人二人が相手した牢番さんは剣を抜いたんだね。ズタボロにやられたみたいだけど
…ん?あれ?…この剣なんか見覚えが…
魔銀の剣…?はて…。なんか最近見たような…
可笑しいよね?盗賊が使ってた魔銀の剣と瓜二つの物を貴族の衛兵が持ってるのって…
「ここに…来るまで…の傭兵…も同じ…剣を身に…付けてた」
つまり、あの盗賊って…
「にゃー?なに考えてるにゃ」
「こいつら、なかなか良い剣を使ってるな」
猫人族さんは私達に絡んでくる、狼人族さんは牢番の剣を手に取ってマジマジと見てる
もう少し、獣人のお二人も考えよーね?
「まっ良いにゃ」
「この剣少しの間、借りるか」
二人して牢番から鞘ごと剣を抜き取る
借りるんなら、後で返すんだよー?
んじゃ、次は牢の中の人達を助けますか
見た所、犯罪者みたいな人は居ないし
ここは濡れ衣で投獄された人達が入れられてるみたい
まぁ中には、ここのメイドさんも何人か居るみたいだし
助かった。って泣いてる女の人も割りと居る
そして、気になるのは老執事と貴族の青年。
この二人だけ女性じゃないし、入れられていた場所が一番奥の牢に錠前が二つも付けてあった
まるで絶対に出さないようにしてたみたいに
「いやぁ助かりましたな…」
「ふむ…助かった。礼を言う。いや、まさか…父上が盗賊とグルになって王国に楯突こうと考えているとは…」
ん?この青年、ここの伯爵の息子さん?
…待って、さらっと凄いこと言ってない?
「このまま、黙ってはいられん!王都に向かうぞ」
「では、この爺やめに…お任せを」
この二人、なんか勝手に話進めてるんだけど…
「出来たら、ここに囚われてた女の人達も避難させてあげてね?私達はまだ用があるから連れていけないし…。お願いねー?」
まさかと思うけど拒否ったりしないよね?
「うむ、分かった。僕がしっかり避難させよう。任せてくれ」
お?この青年貴族は話わかる人だね。良かった
それじゃ、私達は恵の救出に向かおう
「ヒカリ…お姉ちゃん…はい」
メアに聖杖剣を渡される。うん、私にはこれだよねー、凄く落ち着く。腰に無いとやっぱり違和感あるよね
〈魔法のポーチの中って時間止まってるんですねぇ…。って、この現状は一体…?〉
あぁ…ラエルさん困惑してる。ここ牢屋だもんね…しかも牢番気絶してるし
でも、説明してる暇もないからね
さて、次は探索魔法で恵の位置探ろうか
…んん。広い上に赤い点多い…赤い点は傭兵と衛兵かな?
…お?地下に青い点発見!場所は屋敷の中央の地下か…
む…?赤い点も三つほど近くに…
後、その周りの赤い点やたらとでかいんだけど…まさかね?
場所は分かったし。さっさと助けに行くよー
屋敷の中央の部屋に隠し階段あるみたい。まずそこだね
「にゃー達は、囮やるにゃ!」
「まだ暴れ足りねぇし、な!」
二人共…嬉しいけど…
「無茶だけはしないでね?」
「大丈夫にゃー」
「もう引き際はミスらない」
なら…大丈夫かな?
とりあえず、獣人の二人が私達とは別の所で暴れてくれるみたい。だから、私達は特に苦労なく中央の部屋に向かえる
っと、廊下を衛兵さん達が前から走ってくる。物陰に隠れて…様子見よう…
「獣人二人組が脱獄したらしい!!」
「ここの囚われてた執事が暴れてるって聞いたぞー!!」
「とりあえず、向かうぞ!あっちだー」
獣人のお二人は私達とは反対に進んでるみたいだね。
そして、老執事さんと青年貴族さんもどうやら動き出したらしい
…あの老執事一人で無双しながら進んでるっぽい…凄いねぇ…
さて…衛兵と傭兵が獣人達と老執事に釣られてる、今の内に…
ここが中央の部屋?…広い部屋だね。色んな物が沢山飾ってある
キラキラ光り物ばっかり、悪趣味な感じ。
まだ衛兵?傭兵?が二人ほど見張りしているけど、問題はないね
私とメアで、素早く処理して終わり
〈ヒカリさん…鞘で力任せに殴らないでください…。曲がります〉
おっと、ラエルさんに怒られちゃった。
でも、ラエルさんは置いといて
〈こらー!置いとかないでくださいー!!〉
…隠し階段探すよ。でも、手探りは面倒だから左目を使う
意識して、左目に魔力を流して…周りを観る…
ふむ…飾り棚?のある所が若干…光ってる。あそこか
大きな飾り棚を退かすと、狭い通路が現れる
この通路、下に降りる階段になってるみたい…
この先に恵が囚われてる場所なはず
無事だと良いけど…




