七十 貴族のお屋敷へ
さて、なんか期待した目してるエヴァさんに悪いから
この痺れ薬を飲みます。本当は飲みたくないよ?
口の中へ粉薬を一気に放り入れる…。うへぇ…にがっ…
「あれっ…?…麻痺…回…るの…早…い…。…体…痺れ…やば…立って…られ…な…」
すぐに体が痺れ、足腰に力が全く入らなくなる
私はガクッとその場に倒れてしまった
「あっ…ちょ!ヒカリ様!?…エヴァ!貴女まさか…」
リーナさんがエヴァさんを睨む
あっ!リーナさん、様呼びに戻ってるよー
「なるほど…薄めないとここまでの効果がでる…か…」
エヴァさんは真剣にメモ取ってる
あれ?私もしかして、実験動物扱いされてます?
麻痺が強力すぎて指先一つ動かせない
声も出せないや…
意識はしっかりあるけど…動かせるの目だけっぽい…
この薬やばくない?天使って状態異常にそれなりに強いって話じゃん。そんな私が身動き全く取れないよ?
「ヒカリ…お姉ちゃん…立てる?…無理そう…」
メアに抱き上げられる私。少女に少女がお姫様抱っこ
「うーん…まさか、ここまで強い薬とは思わなかったわ…ごめんなさいねヒカリ様」
リーナさんは謝罪してる。知らないのは仕方ない
「これと……麻痺毒の…と……を………」
問題のエヴァさんは全く反省してない。
それどころか…新しい薬の調合を始めてる。すでにそっちに夢中になってるし、罪悪感とか無さそう
で、エヴァさんは二人の救出に行かないの?…行かないみたいだね
「こうなると、メアちゃんにはヒカリ様を任せるしかないわね」
「…ん。」
メア、本当に頼むよー。私…まじで何も出来そうにないから
いやぁ、動けないって凄い不便だねぇ…
エヴァさんをお店に残し、私を抱えたまま二人は貴族のお屋敷へ向かう
もう夜中なのに、未だ人々がうろうろと私を探してるっぽい…。
今、見付かったら私は全く抵抗出来ないねぇ…凄く怖い
メアにお姫様抱っこされたまま、私達は巨大なお屋敷の門前へ
凄く広い豪邸だね。私達のお屋敷とどっちが広いかな?
って、門番さんが四人もいるよ?…多すぎない?
「止まれ!何用だ!!」
門番の槍で止められる、メアとリーナさん
「領主様が捕らえる様にギルドに貼られた指名手配犯を捕らえたので、連れてきたのです。確認をお願いします」
リーナさん、丁寧に言ってる…。私的には複雑だよぅ
「「「なに!?」」」
「本当か!?」
門番達が二人の近くに集まる
「…こいつ」
メアにこいつって言われた…。泣きそう…痺れてて泣けないけど
「間違いない…」
「「「どうなされますか?兵長」」」
この人、衛兵長なんだね。確かに、少し鎧が違ってる
「私はブーダペス伯爵様に報告してくる。お前達は、二人は門番を…お前は」
「…メア…運ぶ」
兵長さんの言葉を遮ってメアが言う
「しか…」
「そうねぇ…犯罪人でも女の子だもの。さすがに男の人に任せるのは怖いわねぇ…!!」
リーナさんが言い返せないように割り込んで言う
…とりあえず言いたい!私なにも悪いことしてないからね!!
「そ…そうか、では…牢屋まで案内してやってくれ」
「り…了解です」
二人共、完全にビビっちゃってる
リーナさんの結構、迫力あったもんねぇ
そして、屋敷の中へ
通路を抜け…って、やけに私兵が多くない?
行く先、行く先で武装した連中が沢山居るんだけど…
『…傭兵…?…やけに…多い…』
メアも不審に思ってるっぽい
「はぁ…。衛兵になったのに、こんなに私兵増やしてなにする気なんだろうなぁ…伯爵様は…」
「…バカ!聞かれてたらお前処刑されるぞ!!」
おん?休憩中の衛兵かな?お話してる
「それにしても、朝来た少女も気の毒だよなぁ…」
「それなぁ…報告に来て濡れ衣だろ?」
…なにそれ?濡れ衣?恵殴ってないの?
「今は、地下牢で拘束されてるそうだ。」
「普通の牢屋じゃないのか?」
「なんでも…並大抵の奴じゃ相手にならない位の腕前なんだとか」
「だから、地下牢で拘束されてるのか…」
地下牢か…普通の牢屋とは場所が違うみたい…
「もう一人の獣人の子は?」
「そっちは、普通の牢屋だと思うぞ」
「あれは…伯爵様が気に入りそうだよなぁ…」
ラヴィさんは普通の牢屋なんだね。伯爵…女好きなのかな?
「ここだ。」
おっと、止まった。
メアにお姫様抱っこのままで周りの話とかに集中してたけど…
どうやら、牢屋に着いたらしい
ふむ…入れられてる人は…多いね
一つの牢屋に五人感覚で入れられてるのかな?
案内された牢は空っぽ…
私の牢にはまだ誰もいないの…?
「一応、拘束具つける様に言われてるからはめるぞ」
両腕を拘束するの拘束具。でも、魔力妨害の魔法はかかってないみたい。
私の後に、なぜかメアにも両腕に拘束具をはめた
「…メア…も?…」
あれ?なんでメアにも…?すでに、両腕動かせないのに…
「悪く思うなよ。これも伯爵様の命令だ」
これ…もしかして読まれてたの?
メアには特に身体検査もせず、そのままで衛兵さんは牢を閉める
私とメアは閉じ込められた感じ…
「…閉じこめ…られちゃった…。…ん?…ベッド…ある…よい…しょ…」
とりあえず、メアは私をベッドに寝かせる。両腕あまり動かせないから、やっとこだね…
それにしても…
ベッド…めっちゃ硬いし埃やばい…
不衛生だよここ…牢屋だから仕方ないかぁ…
『…しばらく…様子見…』
メアはベッドで横たわる私の隣に座り、私にだけ聞こえる様に小さな声で呟く
だねぇ…。そう言えば、ラヴィさんもこの場所の牢に囚われてるんだっけ?んー…目しか動かせないの不便だな…
『リーナ…心配…』
リーナさん…一人で貴族に会ってるけど…。多分、なにかしら濡れ衣着せられてると思う。否定しても意味なさそうだし
ここの貴族、結構やばそうだね
叩いたら色々と出てきそう…
…おん!?いきなり目の前が緑色に!?
え!?な…なにこれぇ!?
「…顔に…乗っちゃ…駄目」
メアが私の顔に乗ってた低級の風精霊をひょいっと持ち上げる
…精霊さんが乗ってたのか…死角から来たんだね…
っと、風精霊さんが居るってことは…
目を動かし、周りを見る
…牢の一つから、また低級の風精霊さんがふわっと出てくる
あの牢にラヴィさん居るみたい
…ふわふわと飛んでる風精霊さんは一直線に私の元にやって来る
でもさ…顔に乗るのは止めて…
んー…そろそろ、麻痺治してここ出ても良いんじゃないかな?
ぶっちゃけ、私飽きたよ…動けないのつまんないし
ラヴィさんを助けて、早く恵に会いたい
「…薬。どう…飲ませる…?」
あっ…飲み込む力すらないね…今
「…んー…」
メア…ちゃん?…なに考えてるの?
ねぇ?メアちゃん…。待って、魔法で指先に水集めてどうする気…
「…あーん」
ちょ…口こじ開け…
メアは私の口に薬をぽいっと放り込む
「…えい」
ちょっ!?…口の中に指先の水を突っ込まれた!?!?
がぼっ…溺れ…。あっ!?別に私達、呼吸する必要なかったわ
普通に生活してると天使の体の事忘れちゃうね
「…どう…?」
んー…
「まだ違和感あるけど…動くことはできそう」
この薬も即効性やばい…エヴァさんの薬、本当にやばくない?
体…まだぴりぴりしてるけど、これなら問題ないね
でも…
「メア…いきなり、お水を口に押し込むのは止めて。私じゃなかったら溺れちゃうよ」
とりあえず、まず怒ります。
「…ごめんなさい」
素直なのはよろしい。
さて…この程度の拘束具は…。っと、引き千切るのはまだ無理か…
なら、火魔法は初めてだけど…熱を圧縮して…指先に集めて…
こんな感じかな。見た感じ…指先から高出力のガスバーナー
…熱くないのかって?自分の魔法だからか、全く熱くないよ
焼き切るには十分過ぎたね。一瞬だったよ
メアも…って、…水魔法の水圧で牢の錠前切ってるぅ…!?
「…終わった」
あはは…お仕事早いですね…
とりあえず、牢からでるのは牢番を気絶させてから…
ふむ、見回ってるのが三、椅子に座ってるのが四…
合計七人か…
すぐ近くを見回ってる牢番をまずやりますか
「…あの」
メアに、見回ってる牢番を呼ばせる
「なんだ?」
すぐに私達の牢の近くに…警戒してないね。好都合
「ごめんね」
即座に、私が牢の中へ引きずり込む
多少、牢番が暴れて抵抗するけど…
抵抗してもほとんど無駄だよ。多少麻痺残ってても、人族ごときに私が力負けするわけないし
「ぐっ!?…がっ……」
牢番の首を絞め落とす。そのまま、寝ててね
…でも、この首を締める感覚は私苦手だな…。
恵だったら余裕だろうけど…
「…後…二人…」
残りの見回ってる牢番は別々に離れてるね…
「…メア…右の…やる」
「じゃあ私は左かな?」
メアと同時に牢を出て、別々に動く
座ってる牢番は気付く気配もない。あれじゃ役に立たないね
っと、バレる前にさっさとやらないと…
死角から見る…さっきの奴より体格が良い…
私じゃ首に手が届かない…叫ばれたら厄介だし…
不意討ちで気絶させる?
『ヒカリさん!』
ぬお!?…ビックリした
…ラヴィさんか…、この牢の近くだったのか
『ちょっと待っててね。あれ気絶させるから』
ラヴィさんがこくりと頷く。
ラヴィさんと一緒に入れられてる人達…若い女の人が四人だね
あれ?…ラヴィさん、ティアラどうしたかな?肌身離さず身に付けてたのに…
「ふぁ…暇だな…」
あの牢番…あくびしてるし
こっそり…近付いて…
ていっ!、足払い!
「ぬおっ!?」
よし!すっ転んだ
じゃそのまま、寝ててね
首に腕を回す、そして絞め落とす
「ぐっ…が……」
ふぅ…気絶したか…
メアの方は…どうなったかな?…って、うえっ!ボコボコじゃん…
絞め落とすより、殴って気絶させたの…?
しかも、声あげる余裕もあげないで…一気に…
あぁ…最初から顔面に行ったのか…。もう顔が原型とどめてないよ?少し哀れ…
残りは…あの四人か
その前に…牢屋の中を全部確認しよう
…ふむ、若い女の人が大半。これ濡れ衣で入れられてるのが大半なのかな?
「にゃー達…牢屋が似合うにゃ…」
「馬鹿な事言うな…」
おっと、盗賊の砦で助けた獣人のお二人も囚われてるみたい
報告にでも来て捕まった感じ?
後は、老執事と…若い青年
…その青年が期待して私を見てる。この青年…いい服着てるよ、もしかして貴族?




