七 違います!私達は誘拐犯じゃありません
街の門に私達が歩きながら近寄る
「開けてくれるかな?」
「どうだろ?遅くなりすぎたし」
ちなみに、マリアちゃんはうとうと始めちゃったから、恵が背負ってる
私?ひ弱な私にマリアちゃんを背負って歩けるわけないでしょう
…天使の力なら余裕だろ?キコエマセン
「すいませーん!門開けてくれませんかー?」
門の前に着いた私は、とりあえず頼んでみることにした
「ん?」
門の反対側に居た門番のおじさんが気が付いてくれたらしい
「ちょっと待ってろ」
開けてくれるらしいやったね
門番のおじさんは門を少し開けて入れてくれた
けど、恵の背負ってるマリアちゃんを見て眼の色が変わった
「お前ら誘拐か!?」
「「は?」」
私達がポカンとしてるうちに、
門番のおじさんはマリアちゃんを奪い取ると、私達はいつの間にか集まった他の門番と衛兵に囲まれていた
「へ?」
「な!?」
私が間抜けな反応すると同時に、衛兵と門番は武器を構えて私達に詰め寄る
「武器を捨てろ」
私達はやむを得ず、剣を鞘ごと腰から外して地面に落とした
「拘束する」
抵抗しないから滅茶苦茶にしないでー
うん、普通に拘束されたよ?
そんな冷たい目でみないで恵…
衛兵達によって私達は街に入ると同時に捕まるという事になってしまった
「あのー私達、誘拐とかしてないんですけど…」
「無駄だ、どのみち明日取り調べになる。それまでそこで大人しくしとけ」
牢番のお兄さんは聞く耳を持ってないようです
「当たり前。牢番が罪人の話なんて、聞いてたら仕事にならない…でしょ…ふぁぁ」
流石の恵も、眠くなってきたのか欠伸をして、うとうとし始めていた
「恵、ベット使いなよ。私より疲れてるだろうし」
「でも…」
「良いから」
「うん…」
恵はベットに横になるとすやすやとすぐに寝てしまう
うん、恵は夜にきっちり寝る子だからね
私はあまり寝なくても問題ない…天使になったら余計眠気来ないし…
恵は習慣だから?それとも私がおかしいの?
分かんないけど、まぁ良いかな
そうだ!牢番のお兄さんを天使の瞳で観てみよう
レーン
人族
牢番 職
槍士 戦闘職
Lv15
ステータス
HP 250 MP 80
力 150 魔力 60
素早さ 128 知力 70
運 20
スキル
槍術Lv4 対話Lv1 対眠Lv3
魔法
火魔法Lv1 風魔法Lv1
E鉄の槍 E鉄の鎧
えぇー…よわ…
弱すぎない…人族がこれなの?
それとも、この人が弱いの?
仮に人族が皆これくらいなら、私達捕まらないよぅ
あっ今捕まってた
まっまぁ今はよく分かんないけど理不尽で捕まったし、明日には解放されるでしょ
結局、私は朝まで起きていた
牢番のお兄さんを観察してたら薄気味悪く思われてたっぽいけど、暇だったから仕方ないよね
「ん…姉さんおはよ」
「恵おはよ」
恵が起きたから、今は六時かな
この世界も一日が二十四時間ならね
「で、姉さんどうする?」
「とりあえず、取り調べは受けよう」
「子供の誘拐でも起きてるのかきくの?」
「それもだけど、マリアちゃんが起きたら無実わかると思うし、ついでに、色々聞こうかなって」
「なるほど」
それから一時間位で朝食が渡された
『…ざんぱ』
「それ以上はいけない」
私達はざんぱ…を一口も食べずにそのまま返した
まぁ牢番は捕まってすぐは食わねぇよなとか言ってたしやっぱりざんぱ…
周りの皆さんは普通に食べてる
ざんぱ…
おっと、言い過ぎたのか周りから鋭い視線が注がれる
ごめんなさい…
それから、数時間後に最初に会った門番のおじさんとマリアちゃんが私達に会いにやって来た
「すまんね。まさか、マリアちゃんを助けた命の恩人を誤って捕まえて仕舞うなんて、いやー早とちりしちまった」
「ヒカリお姉ちゃん、メグミお姉ちゃん大丈夫だった?」
「マリアちゃん、大丈夫だよー」
「て言うか、門番なら子供が出てかないように、しっかり見てなさいよ」
「いやー、全くその通りだ。すまなかった」
「…はぁ、分かったなら良いけど」
門番のおじさんが平謝りでしょうがないから恵は許したようだ
結局、取り調べは無くなった
色々と聞こうと思ってたのになぁ
まぁしばらくはこの街に居るだろうし、自然と耳に入るよね
子供誘拐とかは
そんなこんなで、牢からでて、マリアちゃんと孤児院に向かう途中
うん、マリアちゃんは人気者だね
色んな人に手を貸してあげてる
食材とか雑貨のお店の人に声をかけられて、はーいとお店に入って数分後に戻るとお礼を一杯貰って帰ってくる
「マリア、連れてたから捕まったのかもね…」
「一日居なかった訳だし、連れてたら捕まるか…」
「お姉ちゃん達、早く行こうよー」
私達がマリアちゃんの人気ぶりに冷や汗かきながら、後を追う
しばらく、進むと離れにこじんまりとした小さな教会がぽつんとたっている
「ここが孤児院で教会だよ」
マリアちゃんは両手のお礼を持ったまま、ただいまー中に入っていく
うん、私達もあとに続こう
扉を開けると、マリアちゃんをシスターが抱きしめていた
それはそうだよね一日居なかったんだもん、心配かけたよね
「お姉ちゃん達だーれ?」
「だれー?」
入口でマリアちゃんとシスターを見てたら外から戻ってきた子供達が集まってきた
「ね、姉さんお願い…」
「恵はわらわら来ると耐えられないの、かわらないね」
恵が私に隠れるように子供達から離れようとするけど、子供達は逆にどうしたのーと寄っていく
「ね…姉さん助け…」
「はーい、皆お姉ちゃん怖がってるからこっちに来てねー」
私は、涙目の恵を助けるために、子供達を自分に誘導する
うん、見た目そっくりのお姉ちゃん達が全然違う反応してたら気になるよね
少し違うけど…
あっシスターとマリアちゃんのハグが終わったみたい
マリアちゃんはお礼を奥に運んで行く
シスターはこちらに気が付いて近付いてくる
ん?シスターの顔色青白い、確か病気って言ってたよねマリアちゃん
んー、薬効いてないんじゃないかな
恵に目を向けると、頷く
うん、恵も薬効いてないと思ってるみたい