六十九 街に戻るよー
とりあえず、三人の合否はギルドでって事でお仕舞い。
それより、辺りが暗くなってきたし
急いで街に戻らないと…森で野宿することになるよ?
「がぅ!」
ん?きゅう、どしたの?
きゅうがいきなり地面に伏せる
「んー?」
「…がぅぅ」
きゅうの前で首を傾げてると、きゅうに咥えられて背中にぽいっと乗せられる
背中に乗れって事だったの?
その後、素直に背に乗るリーナさん、エヴァさん、ミリアちゃん
で、男三人はもたもたしてるから、雑に背中の上に放り投げるきゅう。私の時より雑だねぇ
全員を背中に乗せると、きゅうは飛び立つ。
「わぁー。凄ーい」
ミリアちゃん、本当に肝すわってるよねぇ?
「「「あばばばば…」」」
「お前ら…うるさい!」
少年二人とベテランさんは…うん、うっさい。
三人共、エヴァさんに怒られてるし
いい加減なれてほしいよねー
「龍の背に乗れるとか、人生で早々なさそうよね」
「…きゅう…速度…余り…ださない」
残りの二人は…メアはきゅうに指示してるし、リーナさんはそれなりに楽しんでる?
…ふと思ったんだけど、このまま街中に入ったら騒ぎになるよね?
仮にも龍種なんだし…
「…大丈夫…街の前で…降りる…から」
メアに呟かれる。考えてたの顔に出てた?
そこまで、速度を出してた訳じゃないみたいだけど…すぐに街が見えてくる
流石に龍種。それなりに速いみたい
「…そろそろ…陸に降りる…よ」
「がぅ!」
メアの指示に合わせて、速度を落としつつ街道の近くにゆっくりと降下する
ここからなら、東門まですぐだね
きゅうが、かなり気を使ってるのが分かるよ。着陸はなるべく揺れないようにしてくれたし
「がぅ…」
皆がきゅうの背中から降りたし、私も…あれ?きゅう、少し疲れちゃったのかな?ぐったりしてる
さっきまで、すごく元気だったのに…
…きゅうどうしたの!?…体から光を放ってる…!?
あっ…!小さくなった…?元に戻ったみたいだね。
「きゅ…」
きゅうはふらふらと、私の元に飛んで帰ってくる
…魔力切れかな?よしよし、抱っこしてあげる
「…すぴー…」
あっ…寝ちゃった。お疲れ様
さて…夜の暗さのお陰で、特に騒ぎになってなさそうだし
このままお宿に向かおうかなー。ギルド?リーナさん達が行くでしょ?
私達は恵とラヴィさんが、すでにお宿に戻ってるかもしれないから…
急いでお宿に戻らないと…恵に怒られちゃう
リーナさん達とベテランさん達と別れて、お宿まで路地を通り、最短距離で急ぎつつ向かう
ここの路地から、お宿のお部屋が見えるんだよね。…あれ?お部屋真っ暗だ
まだ帰ってないの?あれぇ?
流石に、帰るの遅すぎじゃない?おかしい…
「…ヒカリ…お姉ちゃん。…嫌な予感…する」
メアも…?私も嫌な予感するんだよね…
「…メア…宿の女将に…聞いてくる…。…ここで…待ってて。」
「…ここで?」
路地だよ?ここ
「…少し身を…隠してて」
うん?なんで?
「…もしか…したら…探されてる」
…え?私が!?
びっくりしてる私に、メアが呆れてる。
「…聖女…でしょ…」
「あっ…」
そうだった!忘れてたー!!
リーナさんに口止めさせてたから、すっかり忘れてたよ
「…じゃ…行って…くる…」
うん、気を付けてね
メアが、お宿に向かった。けど、私はどうしようかな…
ここに一人でいるのもなんか…ねぇ?
なにか身を隠せるもの…ないや
まぁこんな何処に誰も来ないよね。大人しく待ってよ
しばらくして…
メアが荷物を持って、急いで戻ってきた
「はぁ…はぁ…」
「メア…どうだった?」
息を整えると、メアは私をじっと見る
「落ち…着いて…聞いて…」
…うん、分かった。私は黙って頷く
「…メグミ…お姉ちゃん…貴族殴った…らしい。」
…はぁ?
「なにしてんのー!!むぐっ…」
「…駄目!」
メアは私の口を手で塞ぐ
ごめん…大声は不味いよね
「で…ヒカリ…お姉ちゃん…に…捕縛命令…でてる…みたい」
やっぱり…そうだよねぇ…
「…街中…お尋ね者に…なってる…白金貨…小三枚…だって」
私、すっごくたかーい!?…って、それやばくない…?
「ギルド…にも…依頼…でてる…かも」
おふ…それって街中で血眼になって私を探してるって事だよね…?
とりあえず、まだ大丈夫そうだし…それよりも
「…理由。恵が怒った理由は?」
理由あるはずだよ!恵はそうそう自分達が不利になる事はしないはずだもん
まして、私が困る事は絶対にしない
そんな恵が手を出すって…なにされたの?
「…詳しく…分かんない…けど…ヒカリ…お姉ちゃん…馬鹿に…された?」
「おぅ…」
それ恵には禁句…まさに逆鱗だよ…
とりあえず、このまま路地にいても危険だし
何処かに避難しようか…
っと、人気を避けて進むんだし
路地を進んだ方がよさそうだね
えーっと…。大通りとかは…
少し覗いてみようかな…。うへっ…夜遅くなのに人が沢山いる…
松明やら、ランタンやら持ってうろうろしてるよ…
これ、探してるのって私だよね…?
冒険者とか街人とか…冒険者さんはとりあえず、武器は置こうね?危ない
「…余り…人通り…見ない。…見つかるよ?」
メアに忠告された。
その通りだし、見るのやめます
見覚えのある路地裏だ…
「…ここ」
ん?あっ、ここはエヴァさんのお店か!
「…二人は…信用…できる?」
「二人は大丈夫。信用できると思うよ」
それなりに付き合いあるし、いい人なのは確かだよ
少なからず、街の人よりは信用できる
とりあえず、隠れる場所にも適してそうだし入ろうか
扉をそーっと開けて、中を確認する
二人は、お店のカウンター奥に居るみたい…
「エヴァ…あの街中で騒ぎになってたお尋ね者の話どう思う?」
「大方、メグミ怒らせたのが原因」
「はぁ…貴女は興味なさそうね…。ヒカリ様が心配よ…」
中でリーナさんとエヴァさんお話してる?
こっそりお邪魔しまーす…
「リーナ、お尋ね者来た」
え!?エヴァさん気付いてたの!?
でも、逃げるわけにもいかないし
とりあえず、二人にここまでの経緯を説明しようね…
「…っで、ここに逃げてきた訳ね?」
「うん…お宿には戻れそうにないし…」
一応、持ち物はメアが回収してくれたけど…
きゅうはまだ寝てるし、逃げ回るにしても私達じゃ厳しいよ
「そうね…。まず、二人を救出しないといけないわ…」
「二人とも武具着けていかなかったから、そのまま牢屋だと思う」
恵も最初は話だけのつもりだったから…
「最悪、メグちゃんは拘束具付けられてる可能性もあるわね」
「殴ってるから間違いなく腕を拘束されてる」
エヴァさん、確定みたいな事言ってる
それにしても…私の事なに言われたの?恵がぶちギレるとか、正直分かんないんだけど…
「二人を救出したら、すぐ街から出た方が良い」
「そうね、街中でここまで話が広がってるし…」
本当、何でこんな事になったんだろうねぇ…
一日で盗賊団壊滅させたヒーローから、指名手配犯に急降下だよ!
「姉妹…揃って…問題…起こす…双子…」
私は起こしてないよ?周りで勝手に起こるんだよ!!
…え?首を突っ込む?すいませんでした
でも、どうやって二人を救出するの?
領主の貴族の屋敷って、それなりに大きいし衛兵も多いよ?
侵入は素人の私達じゃ間違いなく無理だし
「侵入するなら、リーナだけ」
「いや…侵入は私でも無理そう…。衛兵が多過ぎて隙がなかったわ」
「リーナにしては、弱気」
二人の会話…なんでリーナさんは無理だって分かってるの?
まだ屋敷見てないでしょ?
「なんで無理って分かるの…?」
私の呟きに、エヴァさんとリーナさん同時にこっち見る
「リーナは大体の建物の侵入経路把握してる」
「把握だけね。…侵入はしないわよ?」
えぇ…なんで把握してるの…?
「理由はリーナが、むぐっ」
「はい!終わりっ!」
リーナさん、すぐに手で口塞ぐ
結局、理由分からないまんまだよ…
「…で…どうする…の?」
「そうね…。いっそ、捕まってみる?」
「ふぇ!?」
リーナさんのまさかの裏切り!?
「侵入が無理なら、中に連れていって貰うのよ。例えば…」
うーん…と少し考えるリーナさん
「ヒカリさん、これ飲め」
なにこれ…?…薬?
「痺れ薬」
…へ?
「動けなくして、リーナが牢まで運ぶ。その後は…任せる」
「そうね…それが良いかしら」
待って…痺れ薬を飲むの決定事項なのぉ!?
「…待って…それは…危険…過ぎるよ」
メアが割って入る
私の味方してくれるの…?
「んー?そう?痺れ薬だけで済むのよ?」
「無傷、無抵抗は怪しまれる」
「…むぅ」
あら…言い負けちゃった
「それに…元から捕まえる気なら、二人まとめて薬飲ませてるわよ」
エヴァさんが頷いて、続く
「メアはともかく、ヒカリさんは飲み物でも渡したら間違いなく飲む」
私なら警戒しないで飲むよね…間違いない…
「…後、これ解毒薬。これで大丈夫」
メアにエヴァさんが、小さい丸薬を渡す
「私も同じ薬、持ってるわ」
リーナさんが、同じ丸薬を取り出して私達に見せる
私には無いんだね…。…って、痺れてたら自分じゃ飲めないか
…飲まないと駄目?拒否権はなさそう…もう飲むしかないみたい…
もういいや、私が動けない間の事は皆に任せたよー!




