六十六 水浴びしてるよー
ふぅ…水が心地いい…
灰色猿に酷い目に合わされたけど…
臭いも汚れも落ちたし、良かった
だけど、この泉の水…
魔力含んでるんだよね。…しかも、なんでか私に纏り付いてるし
だから、水から手を出しても、水滴が落ちない。不思議ー
『貴方、天使なんでしょ?』
おぶっ!?え!?誰!?!?
『あら?…うふふ。ウンディーナよ。今、貴方に纏わり付いてるわ』
あ…。この纏わり付いてる水、精霊さんか…
『まぁ、返事はしなくて良いわ。とりあえず、伝えとこうかな。って…。シルフィが独断で、貴方達を精霊の国に連れて行くつもりみたいなの。』
精霊の…国?
『本当は四精霊姫の許可がいるのよ。私は…賛同するけど。出来れば、残りの精霊姫に会ってほしいのよ。彼女達も貴方達に会えば間違いなく許可すると思うから…。シルフィの独断じゃ無く精霊姫四体が入る事を許可すれば正式に招待ができるのよ。』
あの精霊、勝手に行動してるの?
『正確には、三体で行動してるわね。光の精霊と風の精霊をお供にしてるみたいよ?』
あいつら…か。戻ってこないと思ったら…
『精霊姫の場所は…精霊使いの子が分かるから。出来ればで良いけど、お願いね。さて…次に、会うときは精霊の国で会いましょうねぇ』
ふわっと纏わり付いていた水が体から離れる…
水の中で水が離れるの不思議な感覚…
「ヒカリさーん。一人でなにしてるんですかー?」
「にゃぁ!?!?」
不意に後ろからリーナさんに抱き付かれた
「ほんと、お胸でっかいですよねぇ」
「あぅっ!?ちょっ…やめ…」
リーナさん、そのまま私のお胸を両手で鷲掴みする
「相変わらず…デカイ」
ねぇ、見てないで…エヴァさん助けてよー
「なにしたら、こんなに胸が大きくなるんですかぁ?」
「わひゃぁ!?」
そして、揉み始めるリーナさん
いや、そんなの知らないよー。あっ…待って…ちょっ…揉まないでぇ…
なんで皆して、私のお胸をおもちゃにするのー!!
私がリーナさんに弄ばれてると…
木々の合間から、呆れ顔でメアがひょっこりと現れる
「…なに…してるの?」
この様子をどうやら見ていたらしい
私達三人の視線が一斉にメアに向く
…メアで良かったね。男の人だった…ら……
「本当にこっちだった?」
「…しらん。」
「二人共ー。もう少し警戒しなよー」
「大丈夫だ。精霊の泉はこっ…」
「「どうしました?先ぱ…」」
「…わぁっ!?わわっ!皆、見ちゃだめー!!」
…メアの隣側の木陰から、ガサガサと草木を分けながら冒険者達が、話ながら次々と現れる…男三人女一人の四人組。しかも…知ってる顔が三人
私達と鉢合わせした、男三人は凝視したまま固まってる。その間でミリアちゃんがパタパタと慌てて遮ろうとしてるけど…それあんまり意味ない
「わぁぁぁ…わわわわ」
「きゃあぁぁぁぁぁ!?!?」
「おぅ、ラッキースケベ。」
私テンパる。リーナさん悲鳴。エヴァさん、え?…なにその反応?
「…ミリア…その二人…目潰し…。こいつ…メアが…やる」
目を逸らそうともしない男三人に対して、メアがミリアちゃんに指示を出す
「「えい!」」
「「「ギャッ」」」
ミリアとメアにより、男三人は目潰しされてそのまま連れていかれた
今のうちに着替え…
って、あれ?…私のワンピースないんだけど?
確か、干しといたはず…
木にかけて…。うーん…やっぱりない…
どっ…どうしよう…。下着だけとか恥ずかしくて死んじゃうよぅ
「ヒカリさん?」
「なにか問題起きた?」
リーナさんとエヴァさんが、下着姿で固まってる私に声をかけてくる
早く着替えなきゃいけないんだもん。下着姿で固まってるとか、声かけるよね
「ワンピース…無い。うぅ…どうしよう…」
二人共に、涙目の私の言葉に固まる
「と…とりあえず、今はこれで隠して」
リーナさんが羽織ってるマントを手渡してくれる。貸してくれるらしい
「ヒカリさんは、あたし達の後ろに隠れて」
「えぇ。エヴァの言う通りね。私達の後ろに居て」
うぅ…二人共…
さて、次は…正座させられてる男三人の前へ
って…すでに、ボロボロなんだけど…。…メア、何したの?そっぽ向かない。
「じゃあ、言い分聞きましょうか。」
「ここの泉なら、誰かが水浴びしてる可能性は普通にある」
「だから…警戒しようって言ったのに…」
…ん?ミリアちゃん、なんでこっち側にいるの?
「…ミリアも…同罪?」
「止められてないから同罪。」
「そんなぁ…」
そんなぁ…でも同罪です。
「「すいませんでした…」」
「冒険者ならこうした事故は付きも…」
「「「「黙れ!」」」」
「はい…」
こいつ…本当にベテラン冒険者?まだ素直に謝る少年二人のが好感持てるよ?
…けど、恵居なくて良かったね君たち。
恵居たら、問答無用で顔の原型無くなるくらいボコボコにされてるよ?
「ねぇ貴女。こいつ教育係でしょ?」
「あっ…はい、そうです。再教育でグレイモンキー討伐の試験中です」
少し小さくなってるミリアちゃんにリーナさんが聞く
「グレイモンキーなら普通、女性のベテラン冒険者なはず。こうした事故を阻止するために」
うん、ギルドで教育してるなら普通そうだよねぇ…
「それが…。たまたま担当してくれそうなベテランの女性冒険者が居なくて…」
ふぅん…。で、こうなったのかぁ。…ギルドに苦情入れとこうかな…?
「…たまには…事故も起きる…けど…開き直り…駄目」
メアの言ってる事が正しいよね?
「…すいませんでした」
やっと謝ったよ。このベテラン冒険者
…そう言えば、きゅうはどうしたんだろ?メア連れてったよね?
「メア、きゅうはどうしたの?」
「…えっと…グレイモンキー…追いかけていった…」
ん?もう少し詳しく
「…きゅう…が突然…威嚇して…逃げた猿を…追いかけていった…」
ん…?急に追い掛けて行ったの…?きゅうはそんな事する子じゃないよね…?どうしたんだろ…
メアも、さぁ?って反応だし。まぁ…きゅうならこの辺りの魔物程度大丈夫だろうけど…
「さて…この四人どうしましょうか?」
「研究材料にでもする…?」
「ひぇ…!?何する気ですか…!?」
「エヴァ…」
ミリアちゃんは二人の会話に反応してるけど…。男三人はもう好きにして…状態だね
「んー。なら、グレイモンキーの討伐してもらおうかな。私達も恨みあるし」
「ヒカリさん…それ彼らの討伐依頼でしょ…」
「でも、他になにもないし…。薬草ならもう十分でしょ?」
「薬草数種類は問題ない。それにヒカリさんのお陰で、珍しい素材も沢山…ふへへ…楽しみ…」
おっと…エヴァさんが自分の世界に行こうとしてる
「エヴァは置いときましょ。」
放置ですか…
「それに…。多分、群れのボスいるわよ?あれ」
群れのボス…?灰色猿の?
「最初会ったとき、やたらと行動が速かったわ。本来の群れならあそこまで速くない…多分指揮してるのがいるわ」
「グレイモンキーのボス…。ブラックモンキーか…?」
ベテランさんが反応する。流石に詳しい?
と言うか、灰色猿のボスは黒色猿なの?へんなのー
「ブラックモンキーはランクD++の魔物。グレイモンキーを指揮する上に、奴本体は好戦的な上やばくなるとグレイモンキーを囮にして逃げだす、ずる賢い魔物だ」
ふぅん、なるほど…それは面倒そうだね
「見習い三人には、ちと荷が重い…か?」
まぁ群れのボスと戦うならグレイモンキーも逃げないだろうしねぇ
でも…
「私は協力しないよ?」
「「同じくしない」」
おぅ?リーナさんとエヴァさんも同時に賛同してるね
「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」
三人めっちゃ驚いてる。手伝ってくれると思ったの?
私、武器持ってきて無いし。今こんな状態だからねぇ…
リーナさんとエヴァさんはやる気無いだけみたいだけど
「だろうな…。いや、冒険者だからって常に協力関係な訳ではない。それに、報酬関連でゴタゴタが起きるからな」
ベテランさんの答えに、リーナさんとエヴァさんが頷く
「討伐依頼は基本、自分のパーティーだけでやるものよ。報酬があるんだもの。他人に頼るのはいけないわ」
そっか…確かに、依頼で来てるのに関係ない冒険者に協力させて自分だけ報酬貰うとか…誰だって怒るよね
「まぁ協力はしないけど…。いざとなったら、助けてはあげるわよ?」
「ヒカリさんもいるから、無茶していい」
「えぇ!?そこ私なの!?」
二人の言ってる事には賛同するけど…私ありきな考えだよね?
「…あっ!?思い出した。この少女…見た目が二日前にギルドで絡んだ荒くれ冒険者達を一方的にボコボコにしたBランクの少女とほぼ同じ…。て、ことは…」
「お姉さんの方よ。」
「こっちも桁違いに強いから気を付けた方がいい」
ねぇ…なにその話…初めて聞いたんだけど…
恵、なんで暴れてるの…
「恵、なにしてんの…」
「街中で噂になってたわよー。」
「女の子にボコボコにされる荒くれ冒険者…」
リーナさんとエヴァさんが若干笑ってるし
「…見てた。…一方的…だったよ?」
「あれは、師匠に絡んだ愚か者達です!かわいいからって…舐めすぎです」
恵って舐められると容赦しないからなぁ…
「あれを…止める側の事も考えてくれ…」
え?ラヴィさんが止めたんじゃないの?
「…ラヴィも…止める気…なかった…」
あの優しいラヴィさんが?
「…喧嘩の…発端が…ラヴィが…からかわれた…から」
あぁ…なるほど、それで…。恵はラヴィさんの事好きだからねぇ…
「…ラヴィは…苦笑いしてた。」
想像できる…。それはボコボコだわ
私が居たら止めるのは楽だっただろうね。一言で止まるし
とりあえず…恵には後でお話決定だねぇ…




