六十五 リーナさんとエヴァさん
開幕、リーナさんが素早く私に駆け寄りながら叫ぶ
「なんでぇー!?ここに聖女様ー!?!?」
「ちょっ、リーナ!?ここでそれを叫ぶのは止めて!!色々とまずいから」
「あっ…ごめん。えっと…ヒカリ様、お久しぶりです」
「ヒカリさん、お久しぶり。」
うん、二人共変わんないねぇ…
…聖女って叫ぶの本来なら色々とまずいよね。しかも、このお店の場所って路地裏だし
「…所で、頭に乗ってるのって…白龍?」
エヴァさん…開幕それですかぁ
「…興味深い…白龍の鱗…爪…血なんかも…龍の…」
ちょっ…ぶつぶつ言い始めた。しかも、かなり物騒!?
「き…きゅ…」
きゅうも怖がってびくびくしちゃってるし
そんな獲物を見る目で、きゅうを見ないで…
「エヴァ、戻ってきなさい!」
すかさず、エヴァさんにチョップするリーナさん
「あたっ!?なにす…あっ…」
私ときゅうの怯えている様子にエヴァさんも言葉が詰まる
「ごめんなさい…」
すかさず、謝るエヴァさん。本質はいい人なんだよね
「きゅっ…」
ん?きゅうが私の頭の上から降りた。…って、何してるの?
鱗に爪を引っかけて…
無理矢理、ぶちっと鱗を剥がしちゃった!?
その鱗を、エヴァさんの前に…鱗をあげるつもりらしい
「きゅん!」
「…くれるの?」
きゅうは、まだ怖いみたいで少し離れてはいるけれど、エヴァさんの問いに頷いてから私の元に帰ってきた。今回は私の胸に…飛び込んで…
そのまま、抱っこしてあげよう。いい子だし
さて、きゅうの鱗に目を輝かせてるエヴァさんは、とりあえず置いとこう。自分の世界に入ってるから、しばらくは戻ってこないだろうし
だから、リーナさんに話を聞こう
「所で、二人はここで何してるの?」
これが一番気になる事。エヴァさんはともかく、リーナさんは錬金術師じゃないだろうし
「私達?私はエヴァのお手伝いね。ここエヴァのお店なんですって」
「…錬金術…師?」
黙って見守ってたメアが会話に入ってくる
「えっーと、誰?」
リーナさんとエヴァはメアとは初対面だよね
「…お供の…メア。…よろしく」
「あっ…よろしく、リーナよ。あれはエヴァ。」
自己紹介はその辺で…
「そう…ね、エヴァは錬金術師みたいよ?非常用の回復薬なんかはエヴァのお手製の物を使わせてもらってるし。」
ふむぅ…なるほど…。チラッとエヴァさんを見る
「凄い…魔力の濃度が…他の素材と圧倒的に違う…。これが…白龍の鱗…」
エヴァさんはまだあの様子。でも、きゅうを素材として見ないでね?
きゅうが、また怯え初めちゃったから…
後は…二人のパーティーメンバーの男性二人だよね。気になるの
「レオニートさんとアルバートさんは?」
「んー?まだ、王都にいると思うわよ?私達のパーティーはギルドからはお休み貰ったの。それで、私はエヴァにお手伝い頼まれたのよ」
あー、お休みか。リーナさん素材を確認しながら答えてくれてる
「…ねえ、エヴァ。薬草数種類、全然足りてないわよ?」
複数の草を見ていたリーナさんがエヴァさんに言う
…その草、種類違うの?私違い全然わかんない。
エヴァさんもすぐに反応する。流石に仕事だからね
「足りない?あっ…本当だ。血止め草と…治癒草…毒消し草…後は、月下草…。あっ!?…魔力花なんてほぼ無い…」
血止め草や治癒草、毒消し草なんかは名前でなんとなく分かる
でも、月下草と魔力花は分かんないね
「…月下草…月の光が…当たる場所に…生える草。…主に…治癒効果を…高めてくれる」
ふむ…なるほどね
「…魔力花…魔力を含む花。…草食の…魔物が好む。…魔力回復薬…の素材」
回復薬はあるの知ってたけど、魔力を回復させる薬もあるんだねぇ…
で、その素材が足りないのかぁ…
ん?なんでこっち見てるの?エヴァさん
リーナさんも、それが良い!って頷いてない?
「「ヒカリさん、素材集め協力して」」
やっぱり…そう言う事ですよねー
「…ヒカリ…お姉ちゃん。…諦めよ?」
メア…そんな哀れんだ顔してないで…貴方も巻き込まれてるからね?
「「いきましょー」」
あっ!ちょっ!?待って!?二人で両腕引っ張んないでー。引きずらないでぇー
…今居るところはレフリーダの東門から出て、近くの森の入口。
結局、エヴァさんのご依頼ってことで連れ出されたよ
この森、ドリアードの森と雰囲気が似てるね
妖精さんも普通に周りの木々の間にいるし…
まぁ私が分かるだけで、リーナさんとエヴァさんは気付いてないっぽいけど。
ん?なんで二人だけなのか?
メアが少し用事あるってきゅうを連れて離れた。…逃げた訳じゃないよ?ないよね?
「治癒草は割りとそこらに生えてるわね」
「生命力があるから何処でも生える」
エヴァさんとリーナさんが近くの草を採取し始めてる。
んー…私分かんないし、探索魔法で素材探知すればなんとかなる?
とりあえず、試してみよう。
ん…。おぉ、うっすら光って見える。これ…治癒草だ!
「薬草全部持っていかないでねー」
「多少なら持っていって良いよー」
「魔物もいるから気を付けてー」
妖精さんが、私に声かけてくれる
全部は持っていかないよー。少し貰うだけ
「こっちー良いのあるよー」
ん?なにかあるの?
妖精さんに連れられて、私は二人から離れる
道中、妖精さんが薬草が生えてる場所を通ってくれたからそれなりに集められた。
そして、森の少し奥まで進み…。案内された先に、ぼんやりと光る草原が…
「なにあれぇ…」
思わず呟く…。光る草原だよ?初めて見た!?
妖精さん達は、その草原の真上に集まる
「聖光草だよー」
「ここにしか生えないのー」
「秘密の場所ー」
えぇ!?それって採っても良いの?
「全部じゃなければ大丈夫ー」
「お土産ー」
「秘密にしてねー」
採っても良いみたいだし…少し貰うね
聖光草を十束ほど採取し、妖精さんにお礼して二人の元に帰る
「せ、せせ聖光草ぅ!?!?!?」
「え、エヴァ落ち着いて…ね?」
エヴァさんがテンパって、リーナさんが落ち着かせてる
うん、エヴァさんが超テンパっちゃってます…
どうやら、聖光草は非常に希少な物らしい。それを十束…
それでこのようになってます。私のせいです。ごめんなさい
まぁそれ以外にも、割りと希少な物を採取してたらしくて、それにも驚かれてたけども
「喜んだー」
「うれしー?」
「良いの選んだー」
妖精さんは意図的に希少な物の場所を選んでくれてたみたい。
悪気の無い純粋な好意だからね。嬉しいけど
「ウッキーー!!キー!」
え?なに!?…お猿さん?
「あっ!グレイモンキーだわ!?」
リーナさんが直ぐに弓を構える
が、それより早く灰色猿の群れが…わらわらと現れる
「まっ…まずい!!猿達の方が…」
「「「「ウッキー!」」」」
リーナさんが言い終わる前に、灰色猿の群れは一斉に手に持ってる物を私達に投げつける
「うわぁ!?なにこれぇ!?!?く…くさい!?!?!?」
「やめてーっ!くさっ!!?」
「うぁ!?くさい!やめろぉ!!」
うぇ…なにこれぇ…腐った果物?
うわっ…腐った卵まで…うぷっ…
「Dランクのグレイモンキー…は、侵入者に群れで、腐った物を投げつけるって特徴がある…。先手を取ると奴らは臆病だから一目散に逃げるけど…遅れるとこうなる…」
灰色猿の説明をするエヴァさん。
な…なるほど…。それにしても…うへぇ凄い臭い…これ無理ぃ…
「水浴びしたいよぅ…」
「激しく同意するわ…」
「同じく…」
女の子三人、腐った物まみれ
「泉に案内するー?」
「先に行ってー、水精霊姫のウンディーナに説明するー」
「頼んだのー」
妖精さん先ほどより少し離れてる…。まぁ良いや…泉?に早く連れてって…
と、まぁ…妖精さんに案内されるままについて行く
リーナさんとエヴァさんも気持ち落ち込んでるのか、特に疑問も無くついてくる。
こんな状態じゃ、仕方ないよね
私だってなにも考えたくない。臭くて堪らないし、ぬちゃぬちゃしてて気持ち悪い
「着いたー」
「ここなのー」
しばらく歩いた先…木々の間に広く泉が広がってる…
その泉の中から女性が姿を現す。…精霊?
「ウンディーナ連れてきたー」
「汚れ落とすのー」
すぐさま、その精霊さんの周りに妖精さんが集まる
「あらら…。汚されちゃって…原因はグレイモンキーね。泉をあまり汚さなかったら好きにして良いわ」
精霊さん、手を振りながら泉の中に戻る…。…あれ?一瞬、私を見た?
「早く水浴びしましょうよ!」
「早く…脱ぎたい。気持ち悪い」
二人はすでに限界みたい。すでに、脱ぎ初めてる
まぁ私も限界近いから分かるけどね…
私も早く水浴びしたいし、脱ぎますかぁ
うへぇ…ワンピースも下着も、べとべとぬちゃぬちゃ。
とりあえず、洗ってから木にでも干しとこ…
さて、水の中に入ろうか…
二人はすでに水の中にいるし
おっ!?そんなに冷たくない…?森の中だから凄く冷えてると思ってたんだけど…?
「ウンディーナが温度調整してくれてるー」
「凄くやさしー」
「ふふふ…普段通りだと冷たすぎると思って…ね」
なるほど、私達の為に気を使ってくれたんだねぇ
「ありがと」
お礼言っとかないとね
「ふふ…どういたしまして。」
優しい笑顔の精霊さん
「それに…シルフィが世話になったみたいだしね」
シルフィ?…あっ!?そう言えば…あれ以降、精霊さん三体見てないや
何処行ったんだろう?また気が付いたら、現れそうな気もするけど…
さて、精霊さんも妖精さんも私にしか見えてないし
リーナさんとエヴァさんも楽しそうに水浴び満喫してるし
私も水浴び満喫しよっと…




