五十四 盗賊退治に行くよ?
私がじーっとルーファさんのお顔を眺めてると
ルーファさんがにこっと笑って私の顔に近づく
近い!?凄く近い!?!?
私の慌てようにルーファさん、くすくす笑ってる
くそぅ…遊ばれてる
…ん?なんかこれ既視感あるような…昔に同じ事をされたような…はて…?
「あら?どうしたの?」
さっきまで笑ってたルーファさんが心配そうに私のお顔を覗いてる
んー?なんだろう…ルーファさんのお顔なんか見覚えあるような…
私、この世界来てまだ日が全然経ってないし…すごく気になるなぁ…
私が、その違和感にルーファさんのお顔をまたじーっと眺めてると
ルーファさんの様子が少し変わる…冷や汗かいて、そっぽを向いた
おやー?いつもと少し違うねー?いつもの余裕はどうしたのー?
私から距離を取ってから、一旦落ち着くルーファさん
「…恵に感付かれつつあったから、距離置いておいたのに…光にまで感付かれ始めた…このままだと近くにいれない…」
おや?ぶつぶつ言ってる…距離のせいで聞こえないけど
〈ふふ…私はヒカリさんの精神の深層に入ったので、だいたい予想ついてますけどね〉
ラエルさん、つまり分かってると…教えてー
〈駄目ですよー。これは本人からいずれ教えてもらえますから〉
ちぇっ…駄目か…
まぁそんなこんな、気が付くとルーファさん居なくなってるし…
逃げたな…ラエルさんの事も聞きそびれた…
後、困ったら逃げる…これも既視感ある…
あ…日があがってる…もう朝か…
後、あれだね…私起きてたからあれだけど、キディンさんまで寝てたら、無防備だったね。…寝込み襲われたらやばかったわ
キディンさんすぐにテントから出て来た。あれは寝てないな
まぁ女の子達が寝てるテントの隣で男が寝てるわけないか…
それに、キディンさんはなんだかんだ気が回る人みたいだし
すでに、テントをテキパキと片付けてる
ちなみに、女の子達はまだ寝てるっぽい
そろそろ起こすかなー
テント内…おぅ…凄いことになっとる…
まず、ラヴィさんは起きてる
そのラヴィさんの頭の上にきゅうが乗って耳をはむはむしてる
で、そのラヴィさんを恵が抱き付いてる…腕ごとぎゅーってしてる
そして、エレーナさんが反対からラヴィさんに寄り掛かってる
あっ…ラヴィさんこっち見た…そんな目でこっちみないで…
これは助けようとすると巻き込まれるな
ごめんねラヴィさん…
「おーい、起きた…なんだこれ」
キディンさんがこっちのテントに来た。けど中にまで来るのは駄目でしょ
外にぽいってしとくね
さて、キディンさんを外に捨ててから、テントに戻ると
エレーナさんは起きてた。身支度してる
…ラヴィさんから目を逸らしてるね
きゅうはラヴィさんのお耳をお口に入れたまま、頭の上で今度は寝てる
恵はまだ抱き付いてる…そろそろ解放してあげなさい
ラヴィさんの目から光が消えてるから
「んー…嫌ぁ…」
おっと、恵がこっちに抱き付いて来た
寝坊助さんだねぇ…これ動けないわぁ
…ラヴィさん?
なんで、きゅうを私の頭に乗せたの?
え?見捨てた仕返し?そんなー
そんな状態は、ラヴィさんが身支度し終わるまで続いた
ラヴィさんのお耳、きゅうの涎でべちゃべちゃになってたよ
でも、お耳を強く噛んでないのは良い子だね
流石に、かじったりしたら止めてるけど甘噛みだから許す
ラヴィさんも、うわぁ…べちゃべちゃです…位しか反応してないし怒ってもない
そして、皆で朝食なんだけど…
野菜と干し肉のスープ、黒パン…
野菜と干し肉のスープは恵の料理を真似たラヴィさんのお手製だから美味しい
問題は黒パン…恵曰く、昨日のパンは朝食用に多めに作ったらしい
昨日全部食われたけどね!
お陰で、恵ちゃん機嫌悪い。黒パン美味しくないからね
二人はめっちゃ反省してるよ。…いや、後悔だね
ちなみに、ラヴィさんは黒パンをスープに浸けて普通に食べてる
きゅうは黒パンを囓ってる…めっちゃかじかじしてる
ふぅ…そろそろ再出発しますかー
ラヴィさんに馬車を任せて、中でのんびりするかなー
恵はまだ機嫌悪い。馬車操ってるラヴィさんの隣に座って、はぐれの魔物とかが出ると瞬時に斬り刻んでる。ほんの数秒で
あれ、本気で八つ当たりしてる…魔物無残…
…ねぇ?二人共、恵ちゃんが誰に怒ってるか分かってる?
本来、魔物じゃなくて貴方達だよああなるの
あっ!分かってるぽいね顔色青いもんね
まぁ仮にやっても死なないから安心してね
私が治療するから。瀕死でも治るよ
そんな、道中…
街道で馬車が襲われる…ない事もない
ん?いや私達が襲われてるわけじゃないよ?
簡単に説明すると…街道に、馬車の残骸、馬の死体、男冒険者の亡骸、数体の盗賊の亡骸、男商人の亡骸…と散らかってる
つまり、盗賊との戦闘跡…
本来なら、遺体は遺品を回収して焼き、埋葬するのが常識
それもされてないから、常識の無い盗賊に負けて放置されたのかな…
「姉さん、遺体は…」
「…無理。時間経ってる」
まだ、死んで直ぐなら蘇生出来たんだけどね…
残念…腐敗が始まってる
でも、冒険者の数や商人側の遺体が少ないよね
冒険者に至っては一人だし
んーと、ギルドカード…ランクDか。…ん?四人パーティー組んでる?
て、ことは…拉致られたパターンか…
とりあえず、遺体は焼き処理して…埋葬しとく
遺品も回収…商人さん、親子だったみたい。
お子さんは見当たらないから連れてかれたんだろうね
これは…放っとけないよね
放置されてるのも許せないし
盗賊退治しますかね
「姉さん…助けに行く気?」
ん?恵は助けに行く気はないの?
「冒険者としたら、冒険者ギルドに報告して討伐隊に任せるんですけどね」
さすが、ラヴィさん熟練の冒険者。でも、放置はしたくないから行くよ?
なんか…皆助けに行く気無いみたい。薄情なのかな?
「恵ちゃんそんな薄情でしたっけぇ?」
皆が助けに行く気が無いから、ちょっとイラッとした
「ね、姉さんが少し怒った…。い、行くから怒らないで…」
ふむ…恵含む四人全員びびってる…
きゅうに至ってはラヴィさんの腕の中で震えてる
まぁ良いや。助けに行くよー
「ヒカリ様…怒ると怖いわね…」
「雰囲気が変わってたな…」
「ヒカリさんの怒る所始めて見ました…」
「姉さん、怒ると一番怖い…あれはまだ序の口。本気で怒るとやばい」
皆して、こそこそなんのお話ー?
そしてー、恵ちゃんは何が言いたいのかなー?
「んー?なにー?」
言いたいことあるなら聞くよー
「「「なんでもないです…」」」
まったく…さて、盗賊の住み処は何処だろう
探索魔法の範囲広げれば見つかるかな?
試したことないけど、最大にしてみるかな…
あ…やば…これ…頭パンクする…
一旦、探索魔法解除…
最大駄目だこれ…ほぼ全域は処理しきれない…頭パンク寸前…まだくらくらする
ふぅ…少し落ち着いてきた…
でも、一応確認できた。少し離れた所に生命反応が複数ある所がある
そこかなー。住み処は…
そこから、馬車にキディンさんときゅうを残し
残りのメンバーで、盗賊狩りへ
きゅうを置いていく理由?
私を怖がって震えてるから。私そんなに怖い?
一応、馬車守るように言ってあるから大丈夫。
さて、盗賊の住み処…
ふむ…破棄された砦みたいだね
「これは、帝国と王国の戦争時の砦ですね。かなり前に作られたものです」
ラヴィさん物知り
今や、盗賊の住み処か…なんとまぁ…
今私達が居る所は、丁度その砦を上から見下ろせる崖の上
「…姉さん、来て正解だったね」
恵ちゃんなに見てるの?
んー?指の先はー…
「うわぁ…最悪…」
見たくないもの見たよ…恵ちゃん、私そういうの嫌いなの知ってるでしょ…先に口で説明してよ…
「あ…ごめん、姉さん」
ちなみに見えたの二つ…
一つは多分、捕虜を魔物と闘わせて見物してる。つまり、剣闘士擬きをやらせてる…胸くそ悪い
もう一つは、捕虜の女の子達を襲ってる…本当に最悪…
「姉さん、私は捕虜の女の子達を助けに行くね。姉さん行ったらキレそうだし」
んー。妥当かな…私行ったら間違いなく怒る。私そういう事する奴嫌い
「んじゃ、私はラヴィさんとエレーナさんと共に剣闘士ごっこ潰してくる」
ラヴィさんとエレーナさんがこくりと頷く
「じゃ、行ってくる。気を付けてね、姉さん」
恵は言い終わると、トントンと崖から降りて行く。凄いなぁ…
「ヒカリさん早く行かないと、今闘わされてる子が死んじゃいますよ?」
そうだったね。早く行こう
ゆっくり落ちないように…だけど、なるべく早く崖から降りようね




