五十三 ラフィー罠っぽいよね?
さて…次の街までに最低でも五日ほどかかる
魔物や盗賊なんかが現れると、さらに日数が増えるかもしれない
ラフィーの状態によっては急ぐ必要があるけど
とりあえず、ラフィーの状態がどうなのかだけは先に知りたいね
「洞窟の中の堕天使の様子はどうなの?」
エレーナさんが真剣な顔で私を見る
「眠ってる。ピクリとも動かないけど」
ふむ…生存に必要な魔力をぎりぎり維持してる状態かな
〈スリープ状態ですね。ラフィが自分でその状態にしたんだと思います〉
助けて貰える可能性にかけたのかな?…でも、姉…ラエルさんを殺ってしまった後にそんな余裕ある精神状態になれる?無理だよね普通
なんか、誰かにそうされた様にしか思えない…
…警戒しとくべき?
「…恵、この魔紅聖石のイヤリング身に付けといて。」
きゅうと戯れてる恵にイヤリングを渡す
最初はぽかんとしてた恵だけど、流石にイヤリングには反応する
このイヤリング、性能壊れてるからね
「いや、姉さんが身に付けてよ」
恵ちゃんはお姉ちゃん優先だもんね
だけど、お姉ちゃんは恵が心配なの
恵は渋々だけど身に付けた。瞳の赤とイヤリングの紅が良く似合うね
ちなみに、ティアラはラヴィさんに渡してある
精霊と契約するのに使えそうだったし
あと似合いそうだったからね
私?私は別に要らないよー。私自体そんなに強くないしー
天使なんだから普通より強いだろ?キニスルナ
「ヒカリさん。暗くなる前に野営の準備した方がいいと思いますよ?」
ラヴィさんから提案が入った
じゃあ、そろそろ野営の準備しますか
「広めの所に馬車停められる?」
ラヴィさんはこくりと頷いて馬車の走るペースを落とす
それから、街道から少し逸れて広めの平原に馬車を停める
これなら広めに場所使っても問題なさそうだね
さて、ここまでずっと走ってた馬達も休ませてあげなきゃね
馬車から外された馬達は木に繋がれて、草を食べてる
そうだ、ヒールでもかけといてあげようね
疲労にも効果あるだろうし
私は馬を撫でながらヒールを唱える
うん。馬達も嬉しいのか顔を擦り寄せてくる
「きゅ~…」
おっと、ヤキモチかな?
きゅうがそっと抱き付いた。大丈夫だよー
抱き付いたきゅうを撫でながら、恵達の元へ
魔族のお二人さんも相変わらず、恵が出したテントに口を開けてポカーンってしてる
皆、最初はそうなるよねー
「…天使様達には常識が通用しないの?」
「これは…例外じゃないか?」
「別にあんたには聞いてないわ」
「そ…そうか…」
相変わらず、エレーナさんはキディンさんには塩対応だね
でも、信頼はしてるみたいだし
ツンデレの素直になれない…的なやつなのかな?
「天使様…失礼な事考えてるでしょ?」
おぉう、鋭い目で睨まれてる
危ない危ない…
「と言うか、名前で呼んでよー!天使だって事は隠してるんだからー!!」
「姉さん。そんな大声で叫ばない」
あ…すいません…
恵ちゃんに怒られちゃった
エレーナさんすでに逃げてるし、私だけ怒られちゃったじゃん
許すまじ…。えっ?お前のせい?そうですかー
…さて、お料理中の恵とラヴィさんの様子でも見ようかな?
おっ?簡易な窯作ってあるね
恵がめっちゃ生地こねてる…
ラヴィさんは窯と焚き火二つの火を管理してる
同時になんてすごいねぇ…
「きゅ?きゅきゅー」
あっ…
きゅうがラヴィさんの所に行っちゃった
えぇ…風魔法で火力を調整してラヴィさんのお手伝してる…
…あれ?
もしかして、役立たず私だけ?
恵は窯に数個に分けた生地を入れて、ラヴィさんに後を任せて、次は野菜を切り始めた
…もしかしなくても、あれパンだよね
ついに、パンの手作りまで始めたよ
酵母菌はどうしたんだろうね…使ってないのかな?
その後、恵は野菜のスープを作り
焼きたてのパンと一緒に並べてる
パン…本格的なやつですね
私達は馴染みのあるあれです
食パンです
ちなみに、少し試食したよ
もちもちの食パンでした
恵曰く、この世界のパンでこのパンは王家とかの御用達レベル
だそうです。まぁ白パン柔らかかったもんね
本人は食パンの出来に満足そうにしてる
では、そろそろいただきますか
約二名が食べたそうにしてるし…きゅうも入れたら三名だね
「「「いただきます」」」
うん、パンはもちもちしてる
…約二名、凄い速さで食パンめっさ食ってる
三枚づつにしたけどあれ足りないよね
…きゅうちゃんもっちもっちって食べてるかわいい
ん?現実に戻ってこい?
だって、恵が焼いたパンの大半を二名に食われたんだもん
私が一枚食べてる間にだよ?
そのスピードには恵も驚いてたよ
ちなみに、食い過ぎで恵に怒られてたよ
結構パン作るの大変みたい
さて、次は水浴び…はできないから体を軽く洗う位か
問題のエレーナさんはこっちのテントに居ます
て言うか、もう普通にお顔見せてるんだよね
人族じゃないから大丈夫なのかな?
お肌も青白いねぇ
「ちょっと…皆で触るのやめて…」
おぅ凄くお肌綺麗…ぷにぷにしてる
恵、ラヴィさんも興味津々で触ってる
ふむ…触る側も良いもんだねぇ
「もう、いい加減にして!」
皆でぺたぺた触ってたら、エレーナさん怒っちゃった
だからって…おふっ!?なんで私!?
ちょっ…いきなりお胸の鷲掴みは止めて
それ結構痛い
そして、それを狙ってたかのように当然参加する恵…
もう滅茶苦茶だよー…ちゃっかりラヴィさんも参加してるし
こうなると、揉みくちゃにされるだけな私…
結局こうなったか…
その後、特になにもなく
ラヴィさんと恵の二人はもう寝てる
きゅうは恵に抱き枕にされて眠ってる
その隣のベッドでエレーナさんも寝てる
熟睡してるよ。疲れてたみたいだね
ん?なんで私は寝ないのかって?
んー…何て言うか…ちょっとね
私はテント出て、少し風に当たる…
ん…風に髪が靡く…
「…ルーファさん、居るんでしょ?」
私の前の空間が歪む
「うふふ、気づいたかしら?」
やはり…分かってて言わなかったのか
「ラフィーは天使を誘き出す餌じゃないのこれ?今まで隠されてたんでしょ?」
天使を餌に天使を釣る…予想できるよね?
少なからず、第三天使達は確実に釣れるよ
「んふふ…。」
はぐらかす気だな
んー、なにか隠してそうだね…
「最近姿見せなかったし、なに企んでるの?」
私、ジト目で睨む
毎回なにか起きる時にルーファさんが毎回いるし関係あるよね?
剣舞祭の時は私は意識が曖昧で良く覚えてないけど、ルーファさんが裏で色々となにかしてたのは予想できるよ
困った時は手を貸してくれるから困らせたい訳じゃないみたいだけど
「そうねぇ…ラエルなら相手が分かるんじゃないかしら?」
ルーファさん、腰に差してある聖杖剣を指先で触る
〈え?私ですか?…ま、まさか…でも、あの時の奴らは確かに全員…〉
確かに、なにか知ってるみたいだねラエルさん
けど、私だけ話についていけてない…おとなしく聞いていよう
「ラエル達…第三天使はあの時、確かに全ての悪魔を倒した。それは事実よ。けど、天使が補充されるのに悪魔が補充されないわけがないでしょ?」
あ…悪魔?…まぁ天使がいるなら悪魔もいるか
…ん?ちょっと待って…
第三天使の戦いって魔族の反人族派による戦争だよね?
悪魔関係あるの?
…もしかして、引き金引いたの悪魔?
〈ヒカリさん、第三天使の戦いの詳細教えますね〉
おっと、心読まれた
〈えっと…戦争前に私を含む十体の天使が先に先駆けとして地上に降りました。
その時は、まだ平和で女神に言われた大規模な戦争の様子は一切無かったです
それから数年経ち…、各地に散った天使達が各地で情報を集めつつ情報交換をして日々過ごしてたんです
問題は…急に起きました
一体の下級天使が重症を負って戻ってきたんです
下級天使と言っても龍種とも戦えるのが天使…
不意討ちでも、怪我する事はまずあり得ない
その天使に重症負わせた相手が…悪魔でした
そこから、展開は早かった
悪魔が反人族派の過激なトップ達を洗脳し、動かした
表向きは、人族への戦争…
ですが、実は悪魔による天使への宣戦布告だったのです
それからは、本や言い伝えの通り…人族側で戦って、魔族と悪魔から勝利したんです
その時、悪魔は全て倒したはずでしたが…
…まぁ、私はその後、洗脳されたラフィーに刺されて死んだんですけどね
あっ!そう言えば、ラフィーを拐ったのも悪魔でしたね。〉
なるほど…結構複雑だったんだね
所で、悪魔って天使と同様に強いのかな?
下級天使が重症負わされるくらいだし、弱くはないよね
そっかー悪魔かぁ…
…ん?待って、そう言えば、ルーファさん聖杖剣の中にラエルさんが居るのなんで知ってるの?




