三十九 聖女狙われる
引き続き、恵の視点
姉さんに抱き締められてる間に
予選B、Cは特に問題なく終わった
レオニート達は、なんとか予選を通過した
アルバートが複数人からの猛攻を耐えるのがぎりぎりだったらしいけど
姉さんは私をずーっと抱き締めてたから試合を良く見てない
特に大きな怪我とか今の所無さそうだし、姉さんの出番無い。このまま姉さんの出番なければいいけど…
「そろそろDグループの予選始まる」
見てない姉さんに私が聞こえるように呟やく
ん?なんかフード被ってる奴が何人かいる?…
十人近くいるみたいだけど何か嫌な感じする…
…こっち見てる?遠いから良く分かんないけど
〈予選を開始します〉
試合が始まった
うん、フード被ってる連中、バラけて仲間同士戦わないようにしてる
私より遥かに弱いけど、人族よりは強い
獣人の戦士とかと真正面からやりあってるし
数人の固まってる連中が魔法の詠唱してる…
…待って、こっちに魔法放った!?
真っ直ぐこちらに氷槍が向かってくる
狙いは姉さんか!?
「恵、お願い!」
流石に氷槍が飛んできてるのには姉さんも反応した
姉さんが私を離すと、即座に抜刀して氷槍を斬り捨てる
私は飛んできた方向を睨み付ける
駄目だ…固まってた奴ら散ってて分かんない…
でも絶対、姉さんを狙った奴は許さない…
「おかしいですね…試合中は障壁が展開してるはずですのに…?」
レティア姫様は姉さんが狙われたことよりも障壁が展開されてない事が気になってるみたい
あれは、意図的に障壁を停止させて魔法放ったんだろう
王族の特別席付近に魔法が飛んできたせいで、試合は一時的に止まってしまっているけど、奴らの狙い通りか?…うまく他の参加者に紛れてるし
〈障壁が一時的に停止してたようです。確認出来ましたので、試合を再開します〉
剣舞祭を止めることはないようだけど、その代わりに王族の護衛の数がかなり増えたな…
さっきの完全に姉さんが狙われたんだけど…
「すいません…すぐ動けなかったです…」
ラヴィさん一様は護衛してる事になってるけど、あまり期待してなかったよ
て言うか、姉さんがピンポイントで狙われるとか想像してないし
「聖女様を狙うとかなに考えてるのかしら?」
「案外、聖女守れなかった王族を非難する為だったり?」
「ありうるわね」
「…え!?それで、私が狙われたとしたら酷くない?」
リーナとエヴァの会話に姉さんが反応してる
でも、それしか姉さん狙う理由無いんだよね。国の専属でも無いし
試合の方は、フード被ってる奴ら三人が予選を通過したようだ
あの中に姉さん狙った奴がいるはず、まぁなんかの組織だろうけど許さない
私は、姉さん守れれば他は別にどうでも良いんだけど
姉さんは王族も守ろうとするだろうしなぁ…
トーナメントで、どの道奴らに当たるだろうし
そこでボコボコにすれば良いか
〈本選のトーナメントが決定しました。出場者は受付にて確認お願いします〉
おっと、確認に行かないと…
このまま姉さんを置いとくの少し不安だけど
ラヴィさんは、反応出来なかったことでしょんぼりしてるけど護衛しっかりやってね
受付にて、私はBグループに入ってた
Aにレオニート、私の所にいたボロボロの剣士
Bに私、フードの女…名前はセレナーデ?多分奴らの仲間
Cにアルバート、フードの男
Dに獣人の戦士、人族の剣士
Eにルーファ、フードの男
Fに人族の剣士、人族の戦士
ん?EとFは一戦少ないみたい
…ドミニカがルーファの戦闘回数減らしたんだろうな
隣でルーファがふくれてる…
「まぁ良いわ。メグミちょっと来なさい」
ルーファにいきなり腕を捕まれて、引きずられて運ばれる
少し離れた所にある部屋に連れてこられた
中で、ドミニカと女の子が待っていた
「…で、なに?」
私がぶっきらぼうに聞く
「はぁ…なぜお主は姉の事じゃないとそんなに興味なくなるんじゃ…」
ドミニカが何故か呆れるけど、私が姉優先なのは今に始まったことじゃない
「お姉ちゃんが一番大事なのよね。でも今回は貴方も関係あるから聞きなさいね」
ルーファが隣の女の子のフードを取る
女の子は額に赤い宝石がある…人族じゃない
そして、女の子はマントを開くと背中から蝙蝠の羽のような翼が現れる
「この子は、女魔族…サキュバスね。本来温厚な種族なんだけど、この子が魔人族に拐われて、あのお姉さんが無理矢理協力させられてるらしいのよ」
あぁ…私の相手か
「…あたし孤児だったの…でもお姉ちゃんが…」
女の子が今にも泣き出しそうにしてる
「まぁ簡単に説明すると、身寄りの無いこの子をあやつが世話をしてたらしいんじゃ。あのサキュバスは中々に有名なやつでな、優しい子なんじゃ」
つまり、助けたいから協力しろと?…まぁ姉さんなら協力するだろうし、まぁ良いか…
「で?どうするの?」
私の問いに、ドミニカはうーむ…と悩み数歩ほど歩く
「別に、試合中に話せば良いんじゃない?彼女はこの子が人質にされて仕方なく協力してるんだろうし」
ルーファが、女の子の頭を撫でながら答える
ドミニカもそうじゃなって頷いてるし
「それにしても、あの子面白いわよね。本来のサキュバスは男から精気貰うのに、あの子頑なに貰わないでいるのよね~」
ルーファの言葉に女の子が反応する
「お姉ちゃん、魔力で押さえてるっていってたよ?」
女の子の答えに、ルーファがう~んって悩んでる
『それとなく聞いてみてくれないかしら?本来ならこの子にも精気の取り方とか教えないといけないのよ。死活問題になっちゃうから』
ルーファが私に耳打ちする
サキュバスが私達の知ってる通りの奴なら死活問題になるだろう
まぁここまで話聞いてしまったなら、出来ることはするけど…
姉さん狙った奴じゃ無さそうだし…
「後、私はトーナメント棄権するから後は頑張ってね?」
私とドミニカが同時に、は?って顔をしてる
いや、なんで予選終えたら棄権するんだよ!?
ルーファは特に気にする様子もなく、女の子を抱っこしてる
「ん~…その方が楽しそう。だからかしらね」
こいつ…にやにやしてる。なに考えてるんだ…
ドミニカの方を見ると、ため息吐いてる
あっこれが普通なのか…
「この子の面倒は私が見とくから。ドミニカも安心しなさい」
ルーファは、ドミニカ解説するんでしょ?と続ける
予選は実況とか解説無かったけど、本選はあるんだ?
ドミニカ渋い顔してるけどね
〈これより、本選Aの試合を開始します〉
ドミニカがあっやばい!?って慌てて走って出て行った
「とりあえず、教えとくわね。セレナは飛ぶ斬撃を使う双剣使いよ。ただ気を付ける点はそれを混ぜ合わせた剣術、離れたら飛ぶ斬撃、近づいたら双剣による連撃。」
まぁ天使の動体視力で考えたらたいして意味無いけど。とルーファが最後に呟いてから、女の子を抱っこしたまま空間を割って消えた…それ空間魔法?
まぁ良いか
私はとりあえず、セレナーデって奴と戦いながら話するしかないし
近くの観戦席から本選Aの戦いを見る
レオニートとあの剣士…中々良い戦いしてる
大剣を上手く剣で捌いてるねあの剣士…
人族の中だとそこそこ腕前あるみたい
て言うか、レオニートもかなり腕前あるよね…なんでDランクにいるんだろう?
アルバートもそうだけど本来ならBランク位にいそうなパーティーなんだけど…?
まぁ彼らにも事情があるんだろう
おっと、レオニートが大剣の腹を使って剣を弾いてから、手のひらで顎を揺らした
近接用の武術かな?
あの剣士…脳を揺らされてそのままダウンしたよ
やっぱり、Dランクじゃないよね…
決着みたいだし、私もそろそろ準備するかな…




