二十二 初日から盗賊ですかー
……馬車で揺られながら、せっかくだしラヴィさんのお話を聞こう
「って言っても、私は旅しながらあっちこっち見て回ってるだけですよ?」
ラヴィさんの兎人は強い種族ではないんだって
兎さんだしね
「色んな所に行って、お手伝いとかしてまた旅に出る感じです」
うん、冒険者って言うか、旅人さんですね
本人も旅人ですよねぇ…って言ってるし
見た目も皮の服に木の杖、鉄の短剣って武装だし
強そうには見えないね
天使の瞳で観てもいいかな?良いよね
ラヴィ
兎人 獣人族 17歳
冒険者D 職
魔法使い 戦職
Lv13
ステータス
HP 350 MP 360
力 120 魔力 150
素早さ 300 知力 180
運 150
スキル
兎の逃げ足 魔力操作 器用 気配探知
魔法
火魔法Lv1 風魔法Lv5 水魔法Lv3
武器スキル
杖術Lv1
E木の杖 E皮の服 E鉄の短剣
足速いね
兎だからかな?
おっ?耳がピコピコ動いてる
気配探知かな?
「あれ?囲まれてる?」
ラヴィさんが呟くと、同時に恵が刀に手をかける
「姉さん、盗賊。二十人近くいる」
おぅ、初日から盗賊に絡まれるとか
ついてないねぇ
馬車が止まる
多分道塞がれたね
一台目の馬車の前で冒険者パーティーと盗賊の頭?が言い争ってるね
これは戦いになりそう
先に動いたのは冒険者のパーティー、弓矢持ちの女狩人さんが弓矢持ちの盗賊を射ぬいた
そこから、盗賊達が一斉に動き出す
こっちも十人位はいるね
あまり強そうなのが居ないのは、生きて捕まえる気かな?
こっち皆女の子だしね
でも、舐めすぎだよ
「抵抗しなければ、痛い思いしなくてすむぞ~」
私達を降伏させたいんだろうね三人だし、数で囲めばすると思うよね
「ただの寄せ集めじゃ連携もない」
恵が先に飛び出し、近くに居た剣持ちの盗賊を斬り捨てる
おぉう、恵は容赦ない。私はまだ人は斬れそうにないかな…
「何だこいつ強いぞ!?囲め!!」
先に飛び出した恵に盗賊が群がる
よし、私は魔法で援護しよう
「<ライトアロー>もっかい、<ライトアロー>」
魔法は下級なら無詠唱で使えるから楽だね
「なっ魔法!?ぎゃ!!」
「くそっ!ぐわぁ!!」
光の矢は恵を囲むように動いていた盗賊二人に刺さる
恵が突っ込んで、私が援護する何時ものパターン
「わー!来ないでくださいー」
おっと、ラヴィさんの方に四人向かってる
「先にこの兎を捕らえるぞ」
「仲間捕らえれば、抵抗しなくなるはずだ」
「逃げんな!!?」
「くそ、足速い」
ラヴィさんの足の速さに盗賊ついていけてないね
「<エアーエッジ><エアーエッジ><エアーエッジー><エアー…」
うわぁラヴィさん逃げながら、風の刃を盗賊達に手当たり次第に放ち始めた
近付いたらこっちも危ないよ
っと、恵が残りの盗賊を斬り捨てた
冒険者パーティーと盗賊の頭達は…冒険者側のリーダーさんが大剣を使って斬りつけてる
盗賊の頭が捌いてるけど受けきれてないのか傷だらけになってる
他の盗賊は…メンバーの女狩人さん、女魔法使いさん、男片手剣士さんが全て処理したみたいだね
私達より早く処理したみたい
こっちの様子見てたみたいだし、やばそうなら援護くれたのかも
あっ盗賊の頭が大剣を受けた
ん?女狩人さんがこっち来る?
「貴女さっき光の魔法使ってたわよね?神官かしら?」
あっ治癒魔法お求めですか?
「みたいなものです。治癒魔法必要ですか?」
「そう。いくら位かしら?あの馬鹿一人で頭とやるとか言い出したから…」
あっ苦労してる人だ、恵ちゃん哀れみで見ちゃダメだよ
ん?こっち見てない?自由気ままで迷惑かけてる?そんなー
「で?いくら?」
おっと、少し不機嫌に
「銀貨小一枚で良いですよ。見てた感じ、重症は無いようですし」
女狩人さん、あら?安いって反応してるし
「じゃ、お願いね」
私は恵に目で合図してから、狩人さんに着いていく
恵とラヴィさんには馬車内で休んでて貰おう
ん?恵が心配そうな目してる?大丈夫だよー
「レオ、治療できるって言うから連れてきたわよ」
おう、切り傷すごーい
盗賊の頭も強かったんだねぇ
「おぅ、神官だったのか嬢ちゃん。治療頼むわ」
たははって笑ってるリーダーの男大剣士さん
女狩人さん、ため息吐いてるよ?
「じゃ治療します<ヒール>」
男大剣士さんに治癒魔法を使う、天使の体のせいで効果高いんだよねー光魔法と治癒魔法は…
うん、光が大剣士さんを包んでる
周りパーティーメンバーが目を見開いてるよ
うわぁ目立ってる…ヒールだもんねこれ…
「ヒールにしては、効果が高すぎる!こんなのは初めてだぞ」
「ハイヒール?いや確かにヒールって言ってたわ」
「貴女本当に神官?もしかして司祭とかじゃないわよね?」
男片手剣士さん、女魔法使いさん、そして隣の女狩人さんが私を一斉に見てるよー
そんなに高いのかー
「凄いなこれは、切り傷全てに古傷まで治ったぞ」
えっ…そんなに?それは私も想定外です
この男大剣士さんの発言で、さらに視線が強くなる
私、冷や汗が止まんない…恵助けて…あ…馬車で休んでてって合図してたわー
「もしや、聖女では?」
うん、行き着いたよねそれに…
「聖女なら確かに治癒魔法の効果が高くなる…」
男片手剣士さんはガン見、女魔法使いさんはぶつぶつ言ってるし
「貴女、聖女なの!?」
女狩人さん近いです。至近距離です。少し離れて…
恵…本当に助けて…
「姉さんは聖女です。ですが、お忍びですから騒がずにお願いします」
恵ー来てくれたー…それ答えちゃうの?
『姉さんが聖女なのは確かなんだから問題ない。ここまで騒ぎになるなら言った方がいい』
私がなるほど…と思ってたら、女狩人さんが私の手を掴んでるんですが
「聖女様は、欲が余り無いんですのね」
ん?なにこれ?
『姉さんが要求した金額安すぎたんだよ。多分』
恵が、呆れてる
私、治療の金額知らないしー
結局、商人さん達にも話が行っちゃって、私が聖女だと皆知っちゃったよー