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つづき



人は生物の一種である。これは誰もが思うことであると思う。神様が知恵のりんごを与えなくても、人は生存競争の中で人になった苦労人である。現に人と他の動物の遺伝子を比べてもほとんど変化はない。

個人的に面白いと思ったのがゼブラフィッシュの実験である。この魚はインドに住む小さな淡水魚であり、脊椎動物のモデルとして使用されている。この魚と人のDNAにはcdk8と呼ばれる遺伝子が含まれていて、これが機能阻害されると人では頭蓋の変形が生じる(要は障害が生まれる)

ではゼブラフィッシュでゲノム編集を利用してcdk8を阻害したらどうなったか?  なんと同じように頭蓋の奇形が発生したのだ!

つまり人と魚という、全く異質な生物でも臓器の形成などで使われる遺伝子は同じであるというわけである。(生物を学ばれている方からするとあたりまえだと思われるかもしれないが)


ダーウィンの進化論は提唱されてから200年ほどしか経っていないが、ゲノム編集などの技術を見るとこれはもう本当のものとして思えてならない。


脱線したので脳と意識の話に戻るが、人間は頭蓋とおなじように脳(中枢神経系)の発達も魚などと同様に行われる。

受精したあとの少し分裂した状態を胚というが、ネットで各生物の胚の状態をみてほしい。どれもほとんど同様に見えるだろう。

脳の基本的な構造は人間も魚も変わらないのであるが、人間が特異である点は大脳皮質(脳の外側の厚さ数mmの灰色っぽい部分)が相対的に見て異様に大きいということと、初期の発達が遅いということである。


脳の他の構造として、大脳基底核・扁桃体・海馬などがある。これは脳の中心部分に鎮座している灰色の部分あたりである。このあたりは進化の過程で古くから存在し、主に情動や短期記憶、運動に関与している。人間が秀でている部分は特にはない(はず・・・)


小脳は?と思われるかもしれない。小脳も脳の大きな部分を占めるが、他の動物と比べてもそれほど大きいというわけではない。現代の脳科学では小脳とは運動を補佐する部分であると考えられている。

例えばあなたが机の上のコーヒーを取ろうとしたとき、普通に手を延ばすだろう。この手を伸ばそう、という大まかな命令は大脳が発する。しかし手を伸ばしてる間も視線は動くし、重心が移動するわけだから他の体の部分を動かしてバランスが崩れないようにしなければならない。こういった微細な動作を無意識に行ってくれるのが小脳である。

小脳は感覚や運動を処理することが主な役割であるので、体が大きな動物では必然的に体積が大きくなる。これは感覚・運動器官が多く処理を行うために多くの神経細胞や神経を結ぶケーブルが必要になるためである。(象の小脳は人と比べてかなり大きい)


ここまで言っておいてなんだが、最近の研究で小脳はもっと高度な処理にも関係しているということが示唆されてきた。

大脳と小脳は多くの配線で結ばれているので、脳のような複雑系で相互に影響しあっていると考えても理解できる。


中枢神経系を構築する細胞は神経細胞ニューロンと呼ばれる。ニューロンは基本的な構造は通常の細胞と同じであるが、情報を伝達することに特化した構造を持っている。

この場合の情報とは電圧と神経伝達物質のことである。通常の細胞でも知覚の細胞と、伝達物質を出し合って相互連絡をしているわけだが、ニューロンはブール演算のような特異的な振る舞いをする。

細胞には開閉できる小さな扉が無数についている。これをチャネルという。これはポンプに似た役割も果たし、ニューロンないは常にナトリウムイオンが少なく、カリウムイオンが多い状態に保たれている。同時に内部電圧は外部よりも小さくなっている。





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