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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

警察官の俺は田舎で親友と再会したのを機に

作者: 阿川竜一

GREEのコミュニティ『あなたは携帯小説を書きますか?』とpixivにも投稿しています。

 いきなりだが、自己紹介をする。俺の名前は『鬼雲タイゾウ』。都会の警察署に勤務している刑事だ。俺は今、他の刑事達と一緒に張り込み捜査を行っていた。それは893『阿川組』の検挙だ。拳銃やドラッグなどの売買などを行っており、執念の捜査の末にようやく奴らに繋がったってワケだ。俺は緊張する…。命を落とすかもしれない…。俺達は阿川組の事務所から離れた場所から検挙のタイミングを窺っていると…。


「おう!金髪美女!ワシらと遊ぼうかぁぁぁ!キャーを言え!ワシにキャーをくれぇぇぇ!」


突然!声がしたので俺はその方向を向くと…。


女性:いや!やめて!


金髪の長い髪の女性が複数の男達に組み付かれており、女性は必死に抵抗している。これは…暴行か!?どうするか…。今は阿川組の検挙が職務だ。しかし…男達は女性に汚い欲望を圧しつけようとしている…。


タイゾウ:女の人が暴行されようとしています…。


俺は仲間に暴行のことを伝える。しかし…。


「今は阿川組の検挙を優先しろ!奴らを野放しにすれば多くの犠牲が出るかもしれないのだぞ!」


確かにそうかもしれない…。でも女性が苦しんでいるのに見て見ぬフリをしていろとでもいうのか!?俺が今、警官として優先すべきこと…!それは決まっている!


「おい!鬼雲!」


俺は暴行現場の方へと駆け出していった。目の前で苦しんでいる人を助けられなくて何が警察官だ!


「やめてじゃねぇ!キャーを言えって言っているんだよ!」


男達は女性の服へと手を伸ばそうとする…。


タイゾウ:何してんだよ!コラぁ!


俺の声に男達の手が止まり、俺の方を見ようとするが。


「あべし!」


「ひでぶ!」


「ぴぇぇん!」


俺は間髪入れずに鍛えぬいた拳や蹴りで男達を倒し。


「何なんじゃ!?」


1人の大柄な男だけには逃げられてしまった。


タイゾウ:警察だ!テメェら!おとなしくしやがれ!


俺は倒した男達を捕まえた。すると…。


タイゾウ:しまった!


どうやら俺がしたことのせいで阿川組の連中に気づかれてしまったようで連中は拳銃とかを発砲して抵抗し始めてしまったようだ。俺達はなんとかして阿川組の何人かを検挙したが、おかげで俺は所長室に呼ばれてしまった…。女性は大丈夫だっただろうか…?逃げてくれたらいいんだけど…。



 署長室。署長は怒り心頭なのはわかる。でも俺は自分のしたことは間違ってはないと思っている。


署長:鬼雲。お前は阿川組の検挙という目的の職務を放棄したようだね?


タイゾウ:放棄?いいえ。私は警察官である以前に人間としての職務を全うしたと自負しています。


署長:人間の職務?奴らは拳銃を発砲して抵抗してきた。君のしたことに気づいた末にだ。周りに人がいたらどうだったのだ?


タイゾウ:仰る通りかもしれません。ですが、目の前で人が苦しんでいたのです!警察は犯罪という恐怖に震えている人達を助けるのが仕事ではないでしょうか!?


俺は自分の意見を言う。聞き入れてくれるワケないが、言わずにはいられない。


署長:鬼雲タイゾウ!しばらく君は謹慎処分だ!


俺はついに謹慎命令が下されてしまったのだった…。それから1週間。俺は実家の田舎に帰ることに決めた。今まで職務が忙しくて自分の時間が取れなかったし、今回の謹慎は少し自分を解放するべき機会だと考え直すことにしたからだ。俺は必要最低限の荷物だけを持って電車に乗って都会から離れて実家のある田舎へと着いた。同じ世界とは信じられないような風景だと相変わらず思ってしまいながら田舎の駅に着いた俺は歩き始める。



 変わらないな…。田舎には田んぼや川など自然で溢れている。俺は生まれたときから高校までこの田舎に住んでいた。高校卒業後に俺は子供の頃からの夢だった警察官になりたくて都会に上京して警察学校に入り、卒業して警察署に勤務し、犯罪を検挙して努力したことで刑事となった。しかし、組織というのは目先の事しか考えていないような気がする。俺は刑事には向いていなかったのだろうか…。俺は色々考えながら歩いていると…。


「もしかして?タイゾウ君?」


タイゾウ:まさか…お前…。


1人の男が俺に声を掛けてきた。俺はこの男を知っている…。


タイゾウ:まっちゃん!?


男の名前は『橋本昌樹』。俺とは高校時代の親友だ。高校卒業後に俺はこの田舎を出て行ってから連絡を取っていない。俺にとって驚きの再会だった。


昌樹:そうだよ。まさかこんなとこでタイゾウ君と再会するなんてね。


タイゾウ:いやぁ…。俺もビックリだわ。


昌樹と再会した俺はここへ帰ってきた経緯を話す。


昌樹:そんな…。タイゾウ君は間違ってなんかないよ!目の前で犯罪が起きてたワケだし。


タイゾウ:ありがとう。まっちゃん。


昌樹はイヤな顔1つもしなく、俺のしたことをわかってくれた。高校の頃から昌樹はよく俺の相談をイヤな顔せずに受けてくれたな…。それだけでも俺は今日帰ってきて良かったと思えた。


タイゾウ:まっちゃんはどう?最近。


昌樹:ああ。俺は…。


昌樹は現在、通っていた母国の高校で体育教師をやっているらしい。俺達はお互いに体育は得意で球技大会とかで一緒になると誰にも負けやしなかったくらいだ。


昌樹:せっかくだから一緒に飲まない?


タイゾウ:おっ!いいね!


俺と昌樹は港の方にある小さな食堂へと行き、そこで漁港飯とお酒を飲み食いしながら昔の話とかを久しぶりにして楽しんだ。そして、時刻は夕方へと差し掛かってきた。俺と昌樹は風に当たりながら夕焼けの道を歩いていると…。


「キャーを言え!イヤーじゃない!女の基本がなっていなーい!」


昌樹:タイゾウ君!あれ…。


俺達の前に金髪女性が大柄な男にマムシを見せびらかされ、「イヤー!」「やめて!」と女性は嘆いている。


昌樹:アレってもしかして…。


タイゾウ:何だ?まっちゃん?


昌樹が言うには、この田舎で最近「ファイヤーおじさん」という変質者が出没しているらしい。名前は『大牟田厚』。名前まで割れているのに捕まらないのは、田舎の警察がヘッポコ+被害者女性はマムシを直視してしまったトラウマで顔を見ていないということから…。


昌樹:タイゾウ君…。


タイゾウ:………。


俺は今謹慎中だ…。迷っていると…。


昌樹:俺達が組んだら…!


タイゾウ:…!


昌樹の言葉に俺は自分の正義を思い出す。目の前で人が苦しんでいる…。俺は警察官である前に人間だ!人間として職務を全うするだけだ!


タイゾウ:俺とまっちゃんに勝てる奴なんかいない!いくぜ!


昌樹:おう!


俺と昌樹は高校時代の球技大会でコンビを組んだときを思い出すように互いに拳を合わせてから大牟田の元へと駆け出した。


大牟田:こうなったらお前のBでワシのマムシをPI…。


タイゾウ:何してんだ!?コラぁ!


昌樹:お前の勝手にはさせないぞ!


大牟田:なっ…何じゃ!?お前ら!?


大牟田は駆けつけた俺達の存在にうろたえる。


タイゾウ:ちょっと話させてもらってもいいか?


昌樹:動画で撮ったから逃げようなんて思うなよ。


ナイスだ!昌樹は大牟田の悪事をスマホの動画で録画していた。状況的に追い詰められた大牟田は…。


大牟田:男にワシのマムシを見せる趣味はないんじゃぁぁぁ!


昌樹:待て!


タイゾウ:待ちやがれェェェ!


大牟田は逃げ出し、俺と昌樹は全速力で大牟田を追いかける。俺達は体育は得意で球技大会は最強だ。そんな俺達に大牟田は逃げられるワケがなく、追いついた。


大牟田:しつこい奴っちゃ…。


大牟田は息があがっている。すると…。


大牟田:くそ!


大牟田はバッドを取り出し、昌樹に向かっていくが…。


昌樹:体育の先生をなめるなよ!


ガシッと昌樹は片手で大牟田のバッドを持つ腕を抑えつけ。


昌樹:タイゾウ君!


タイゾウ:暴行の現行犯だ!オラぁ!


大牟田:キャー!


昌樹が大牟田を抑えている隙に俺は大牟田にドロップキックを喰らわせてやり、持っていたタオルで大牟田の腕を拘束した。


タイゾウ:お前…。どこかで見たような…。


昌樹はスマホで警察に通報し、駆けつけた警察官によって大牟田は逮捕された。


女性:あの…。


さきほど大牟田の被害に遭った金髪女性が俺達に駆け寄り、俺の方を見る。


美晴:ありがとうございます…。私、『白石美晴』っていいます。実は…貴方に助けてもらうのは…これで2度目なんです。


タイゾウ:えっ!?思い出した!あのときの…!


女性は『白石美晴』という名前で、阿川組の検挙のときに暴行されそうになっていた被害者女性だったのだ…。つまり、俺は2度も彼女を助けた。何よりも…。


タイゾウ:そうだ!あの後に893が…。大丈夫だった!?怪我とかは…。


美晴:大丈夫です。心配してくださったのですか?嬉しいです。


美晴はぱあっと笑顔を向ける。ヤバい…。スッキー!夕焼けに映えて余計に綺麗だ…。


昌樹:タイゾウ君?何を2828しているの?


タイゾウ:違ェよ!


美晴:ふふふ。


昌樹:これはタイゾウ君の連絡先。大丈夫。彼は警察官なので。


タイゾウ:まっちゃん!何勝手に俺の連絡先を…!


俺は口では昌樹を怒っているかのように言うが、感謝している。だっておかげで美晴の連絡先をゲットできたのだから。それから1か月後に謹慎が解けた俺は早々に署長室へと呼ばれてしまった…。



 署長室。俺は気分を重くしていると…。


美晴:お待ちしていました。鬼雲さん。


タイゾウ:白石さん!?


なんと…!美晴がそこにおり、彼女の後ろから署長が現れ…。


署長:鬼雲…。あのときはすまなかった!


なんと!署長が俺に謝ってきた…。


署長:あのとき私の娘を助けてくれて…しかも娘が旅行していたときも!


タイゾウ:娘!?


俺は驚きが隠せなかった。美晴は署長の娘だったのだ…。それから美晴は俺に色々と説明してくれた。阿川組の近くにいたのはたまたま歩いていたときに大牟田率いる男達に絡まれて暴行されそうになったのを俺が助けたこと。っていうかあのときに逃がした暴行犯は奴だったのか…。2度目は旅行で田舎に行っていたときに大牟田と再び会ってしまい、奴は美晴の顔を覚えていたようでリベンジしようとしていたのを通りかかった俺と昌樹が助けたのだという。こんな偶然って…。


美晴:本当にありがとうございました!鬼雲さんこそ警察官の鏡ですよ。


タイゾウ:俺はただ…人間としての職務を全うしただけで…。


美晴:素敵です!世間体ばかり気にしているお父さんよりも。


署長:美晴~…。



 俺が捕まえた大牟田は美晴の証言と昌樹がスマホに録画していた動画が決め手となり、美晴への●姦未遂、暴行、俺達への暴行未遂で検挙されることとなった。昌樹はとある社長令嬢と結婚することとなったらしい。


昌樹:ゆかりん♪


実は大牟田は会社の関係で社長に気に入られ、社長の娘と婚約していたのだが、俺達が奴を捕まえたことで社長が昌樹の職場の高校へとやって来て昌樹に「大牟田の本性と悪事を暴いたおかげで娘を不幸にしなくて済んだ」と感謝し、それがきっかけで昌樹と社長令嬢の『ゆかり』さんは付き合い始めたらしい。その後にその社長はウチの署にも来て俺に同じことを言って感謝していた。


タイゾウ:白石さん。俺は警察官だ。いつでもお前の傍にいられるワケじゃない。でも俺にチャンスがあるなら…この鬼雲タイゾウを白石美晴のSPにしてもらえませんか?好きです!付き合ってください!


美晴:はい!私は警察官として、人間として職務を全うするヒーローの鬼雲さんが大好きです!


俺の方はというとあれから美晴と会う機会が増え、一緒にいるウチに惹かれ合い、付き合うようになった。それからは俺と美晴、昌樹とゆかりの4人のダブルカップルでグループのようになり、結婚して子供が出来た後でも親しくしている。俺と昌樹はいつまでも親友だ。



 ~ Fin 完 ~



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