1話 とりあえず現状整理ってこれやばくない?
「ちょっとサクラ声大きい……ってここどこ?」
私の声でリーダーのレイカちゃんが起きます。
それにつられて他のメンバーも起きだします。
良かった。私だけじゃ無くて全員いる。
「うわー、ここ何処だよ。ボク夢でも見てるの?」
ユウキちゃんは軽くパニクってる。けど大丈夫。その反応は多分全員同じ。
「ここってアニメで見る異世界? まさか私達異世界に飛ばされた?」
「ウチアニメの世界って始めてやねん。入れてちょっと感激やわー」
アヤカちゃんは意外と冷静だし、ミカミちゃんは能天気だった。ユウキちゃんの反応は全員同じじゃなかったね。
「とりあえず落ち着こう。みんな居る?」
レイカちゃんがリーダーらしく号令を出します。
「……全員いるね。じゃあ落ち着いて考えよう。まずここだけど……」
レイカちゃんは周りを見渡します。
私たちも周りを見るけど、……中世っぽい街並み、異種族も多数いる人混み……もう明らかだね。
「異世界……ってことは私たち異世界転生?転移?かどっちかしてるってこと?」
「そうでしょうね。時間も夜から昼に変わってますし、スマホも圏外です。ドッキリにしては規模が大きすぎますし、普通に異世界に飛ばされる事態に巻き込まれたのでしょうね」
アカネちゃんが眼鏡を傾けながら冷静に分析してる。
さすがアカネちゃん、メンバー1の知性派。
「ねえ、異世界って何?」
ミウちゃんがおずおずと手を挙げてる。
ミウちゃんはあまり深夜アニメとか見ないし分からないかな。
「異世界ってのは分かりやすく言うと、魔法とかがある世界かな。私たちの元いた世界とは違う別の世界。私たちはその異世界に来ちゃったってこと」
「ちょっと待ってーな。その異世界に飛ばされたんは分かるけど、どないして帰るん? ウチこんなけったいな世界からは早く逃げたいねん」
ミヤコちゃんが恐る恐る問いかけてる。
まあこんな状況じゃ怖いよね。
「それだけど、まず異世界転生か転移かで結構変わってくるんだけど……転生の場合帰るのは難しいと思う」
「うそっ! 帰れないなんてやだー」
「大丈夫ですよ、ジュンさん。それは転生の場合で今回は多分……」
「うん。転移だと思う。転生の場合、神っぽい人がいたりするし死んだ記憶あるはずだけど、みんなそんな記憶無いよね」
私を含め全員が首を縦に振ります。
「良かった。じゃあたぶん転移であってる。転移なら多分帰れる。特に集団での異世界転移物はラストは帰れるものだし」
「本当? 帰れる?」
「うん、大丈夫だから、ね!」
半泣きのジュンちゃんをレイカちゃんとアカネちゃんが慰めてる。
でも帰れるなら安心かな。