第七話 遠足のギャンブル
僕は昔から学校というのが嫌いだった。
だから僕は遠足というのがあると聞かされるととてもうれしかった。
だっていつものように勉強があるわけでもない。
しかも運動というほどの運動をするわけでもないただ歩くだけであるため実際楽だし。
しかしそれを台無しにするかもしれない大切なことがある。
それは遠足で行く場所である。
もし行くところがとてつもなくつまらなかったらそれはつまりすべてのうれしさをぶっ壊すぐらいのものだろう。
そして僕はその遠足の行く場所を発表される前日というのは毎回眠れなかった。
なぜなら良い場所なのか悪い場所なのかそれだけですべてが大きく変わる。
まさにデッドオアアライブまさに生か死かの二択である。
その二択が決まるのは明日というその短さに僕は睡眠がとれなかった。
どっちだ?
いったいどっちだ?
そのようなことばっかりが頭の中から離れない。
そして朝が来る。
僕はその時眠れなかったため目の熊がかなりできていた。
「リューンどうしたの?」
「母さん昨日眠れなかった。」
「どうしてなの?何か悩み事?」
「今日遠足がどこに行くか決まるんだ。」
「それってそんなに大事なこと?だってあなた学校嫌いってまえからいってたからうれしいんじゃないの?」
「確かにそうだよ。でももしかしたら場所によっては学校のほうがましな場合もあるんじゃないかと僕は思うんだよね。だからどんなところなのかと考えると期待と不安で眠れなかったんだよ。」
その話を聞いて母さんは僕に言った。
「ねえリューン一つ言ってよい。」
「何?」
「どんなことでもわからないもんだよ。」
「どうゆうこと?」
「人生では意味のなさそうなことが将来的に役に立ったということがよくあるんだよ。だからもしかしたら一見面白そうじゃないところだったとしても実際行ってみたらとてもよくて結果的には将来の夢とかになったなんてことがあるかもね。」
そのような話をしてくれたが実際そんなもんかなと思っていた。
なぜから僕にとっては面白そうかつまらなそうかそれだけですべて決まったようなものだからと考えているからである。
そんなことを考えて学校に行き椅子に座っている。
そして先生が来た。
それは判決を受けているかのような状態だった。
もうあと数秒ですべてがわかる。
そして先生は口を開ける。
「ええ…皆さん。今日は待ちに待ったどこに行くかを決める日です。行く場所なのですが…」
その瞬間僕は口の中に含んでいた唾液を呑み込んだ。
「鍛冶屋の見学です。」
僕はその言葉を聞いて絶望しかなかった。
なぜなら僕はなりたくない職業一位が鍛冶屋だったためである。
それはなんでかというと鍛冶屋というのは努力をしてなるがその努力を無限に積んだとしても成功できたり、目に付く可能性というのはほんの一握り、米粒に書かれている字で使われるペンの先端以上に難しいものである。
そんな努力をしてまでもなりたいものではないし、まさにそれこそ鍛冶屋になろうとしている人は無謀なギャンブルに挑戦している人とも僕には見えてしまう。
まさにギャンブルで負けて今まで思った希望の窓ガラスがすべて粉々に破片として崩れていく感じだった。
その後はあんまり記憶がない。
多分、放心状態となっていたのだろう。
その後家に帰るときには足が重かった。
一歩一歩がまるで足にダンベルをつけながら頑張ってあげているかのように僕は感じる。
そしてその日は眠れなかった。
それから1週間がたち、僕は遠足に行くことになった。
そして遠足に行くときは歩いていたがその歩くときも意味がないと感じている。
僕は今、今日の1日はもうドブに捨てたと思っているようなものだった。
そして歩いて30分ぐらいがたったのだろうかそして来たのは伝説の鍛冶屋といわれているデネン・ブレンっさんの工房だった。
そしてこの時こそが僕の今までの人生の中での大きなターニングポイントだったのだ。