第六話 サイコな傍観者
その言葉を聞いて僕はものすごく驚いた。
そして僕はドランさんに気になって質問した。
「なんでですか?」
「えっ?」
「なんで僕なんですか!僕は学校を退学させられた奴ですよ。そんな奴が作る剣よりももっと良い剣なんてごまんとある。それなのになんで僕を鍛冶屋にしたいとか言っているんですか?」
するとドランさんはハアと息を吐きながら僕に話しかけてきた。
「お前の剣を使ったときに思ったんだよ。すごい使いやすかった。」
その言葉を聞いて僕は驚いた。
そしてドランさんはさらに続けて言った。
「確かに普通の人ならかなり重くて使いづらいのかもしれない。でも俺にはこれぐらいがちょうどいいんだ。実際使いづらいといわれたときにはちょっと驚いたんだよ。俺にとってはこんなに使いやすいのになんで評価されないんだと。だって切れ味とかはとても良いし。これならたとえ重くても退学にはしないでほしかったと思った。そんぐらい思っているからこそお前じゃないとダメなんだ。」
そのようなことを言われた僕は確かに自分も思っていた。
確かに僕の剣とドランは相性が良いでもそれだけが理由の感じがする。
「ごめんそれでも無理。」
そういって断ろうとした15秒ぐらいがたったらまたドランはつづけた。
「俺はキングオブサクリファイスの称号が欲しいんだ!そのためにはお前じゃないとダメなんだ!」
その言葉を聞いて僕は驚いた。
その声は明らかに本気の声だった。
そして僕の一つの夢、世界一の剣士の鍛冶屋になりたいという夢、それが叶えられるいや叶う、それぐらいの覚悟でドランさんは言っている。
一緒に頂点を目指そうとその思いが声からはきはきと伝わってくる。
だがそれでも僕は自分に自信が持てなかった。
「わかった。少し考えるよ。」
そういうとドランさんは何も話さなかった。
そして少し歩くと僕はあることに気づいた。
ここはどこだっけ?
僕は気まずかったがドランさんのほうに行って聞いてみた。
「ドランさんすいません。帰り道はどちらでしたっけ?」
その後、ドランさんは言った。
「俺もどこかわからないんだよね。」
「はっ?」
僕はついそう言ってしまった。
「いやだって俺はお前が飲み物を探しに行ったすぐ後にリュックサックを偶然見つけたから面白がってついていったらこんなことになったわけでその追跡に集中していたから自分自身もどこにいるのかわからないんだよな。」
そんな言葉を聞いて、僕ははっきり言って怒りがわいた。
なぜならすぐに見つかったなら見つかったぞと言ってちゃんと話しかけてくれてもよかったのにふざけてついていってしかもどこにいるのかわからないという現状。
自分にももちろん問題があるが僕が腹立ったのはドランさんがこんなピンチなのにもかかわらず大丈夫だろうと自信満々なそんな様子だったからだ。
僕はどんな時でも自信満々な人物が嫌いなところがあるのだ。
なぜならそんな人間は自分からしてみたら根拠のない自信は傲慢にしか見えないからである。
昨日なんかは食事がとれなくてものすごい怒っていたのに今となっては、へらへらしている感じとかに腹が立ったのか僕は怒ってしまった。
「もういいです!自分で探します。」
そういうと僕は一人で歩いてわからないまま進んでいった。
その時、その様子をがれきの上から眺めている男がいた。
「フーンあの男が僕の部下二人を殺したんだね。しかも戦い方…面白い!」
僕はドランさんの気分屋な感じなところにとても耐えられなくなっていた。
僕はそんな状態で一人になりながらあることを考えた。
それはなんでこんなにも自分に自信がないのだろうということだった。
僕は一人になりながらそのルーツとかを考えていた。
僕の幼少期とか剣を作るようになった経緯、学校に入るときの受験勉強や学校生活などいろいろなことを思い出していった。
そしてその中で一つの回答に行きついた。
そういえば僕はあんまり人に褒められたという経験が少なかったな。
僕は幼少期のころから周りと劣っていた。
走っても遅いし、頭も悪いし、そして学校の先生からは見離されていた。
「お前は本当にダメだな。」
そんな言葉を聞くのは当たり前。
そんな中で僕はきっと委縮してしまったのだろう。
でも僕の両親は僕にこんなことを言ってくれた。
「お前はだめなんかじゃないすごいんだ。」
「大丈夫あなたならきっと何かできることがある。」
そのような言葉を投げかけてくれたため僕はその言葉が救いだった。
そんな時に僕にある出来事が起きた。
それは学校の遠足だった。
遠足の先は人気の職業のプロの剣士を支える鍛冶屋の見学だった。