第二話 ドランの追放
「お前はっきり言って自分が迷惑かけているのがわからないのか!」
そういわれて俺はプロの名をはく奪された。
俺の名前はドラン・ビュー。
プロの剣士だ。
しかし俺はプロの名をはく奪された。
そして俺がプロの協会に言われたのはお前は迷惑をかけている。
俺は実はかなり鍛冶師に迷惑をかけていた。
実は俺は様々な剣を握ったが満足する剣がなかったのだ。
俺はかなり力が強い、そのため重くても性能が良い剣が欲しかったのだ。
しかしそんな剣をつくれと言われても鍛冶屋はプロのため使いづらい剣なんて作れない、作ろうとしてもやはり俺が求めているものにはならなかった。
俺は求めているものが作れないならいらないと様々な鍛冶屋を首にしたり、怒ったりして迷惑をかけていた。
その結果が協会から首を食らったというわけだ。
そんな時におなかがすいてきた。
ああもう最悪だよ。
俺は今お金がない。
今ある金額は2000ゼンぐらいだ。
こんな金額では家賃は払えないもう少し貯金や節約をしとければよかったと今では後悔している。
しかしそんなときに俺はたまたま2000ゼンの飲み放題を見つけた。
俺はお金がなかったが今の空腹に耐えられず、ついその飲み放題に行ってしまった。
その飲み放題の店はある意味大衆居酒屋に近いのかかなりの酔っぱらいがいた。
その酔っ払いの中、俺は一人で飲んでいた。
そして飲み始めて30分ぐらいがたつのだろうか。
目の前の客が持っている新聞からあるニュースが見えた。
それはトッププロの頂点にしかもらえない称号キングオブサクリファイスが決まったというニュースだ。
剣士のプロというのはリーグ式で5つのリーグがある。ノーマルリーグ、ブロンズリーグ、シルバーリーグ、ゴールドリーグそして最強のサクリファイスリーグだ。
そしてこのサクリファイスリーグの頂点に立ったものこそがキングオブサクリファイスだ。
それはまるでノーマルでずっと停滞していた俺からしてみれば夢のまた夢だ。
その新聞を見た後に俺はビールを口に入れた。
そしたらある男が入ってきた。
それはキングオブサクリファイスのジュランだ。
俺はその時、すごいパニックになっていた。
世界最強にふさわしい称号のキングオブサクリファイスのジュランが俺の来ていた飲み屋にたまたま来た。
俺は存在感を消そうとしながら一人で飲んでいた。
入ってきたジュランはあることを言った。
「皆さんちょっと企画があるのですがどうですか?」
その言葉を聞いてある客がどのような企画か聞いた。
「キングオブサクリファイスどんな企画ですか?」
「俺に勝ったら1000万ゼンをあげるという企画です。だれかやりたい人は手を挙げてください。」
その言葉を聞いて、みんなが驚いていた。
勝てば1000万しかしよく考えてみよう。
相手は最強の称号を得たキングオブサクリファイス。
勝てるわけがない。
そう考えたみんなは誰一人挑戦しようという雰囲気を出さなかった。
しかしそんな状況を見てキングオブサクリファイスはあることを言った。
「誰も挙げないなら俺が指名させていただきます。」
その様子を見ながらも俺は関係ないやと思い、会計をしようとレジに向かおうと立ち上がった。
するとある声が聞こえた。
「そこの立ち上がった君にしよう。」
俺はえっ?と思いながらも断ろうとした。
しかし周りは俺に期待していた。
「君頑張れよ。」
「勝てば1000万だぞがんばれ!」
その雰囲気に俺は耐えられず戦いを受け入れてしまった。
ルールは練習とかで使われる木の剣を使う。
普段の剣士のプロの試合では鉄の剣に特別なコーティングみたいなものをして切れないようにして試合を行う。
だが今回は木の剣を使うこととなった。
そして試合のルールはキングオブサクリファイスは剣を持たずに戦い俺は木の剣を使って戦うというものだった。
そして俺はいつものように剣を握った。
その姿を見たキングオブサクリファイスは俺に話しかけた。
「なあお前名前は?」
「ドラン・ビュー」
「なあお前もしかして?」
「なんだ?」
「なんでもねえよ。とにかく始めようぜ挑戦者。」
そして今回の試合が始まった
カン!
ドランはまず最初に片手で持っていた剣を槍のように投げた。
それをあっさりとよけてしまうキングオブサクリファイス。
「なんだよこの挑戦者。いきなり剣を投げて期待外れだったか。」
さらに周りの人々もあきれたような表情をしていた。
いくら挑戦者でもいきなり剣を投げてしまう挑戦者なんて聞いたことない。
その様子を見てやじ馬たちはあきれていた。
しかし挑戦者のほうを見るとそこには挑戦者の姿がなかった。
やじ馬たちは「えっ?」と思っていた。
次の瞬間、キングオブサクリファイスの目の前には挑戦者のドランの姿があった。
ドランはちょうどキングオブサクリファイスの目の前で剣を握りそれを顔をめがけて振った。
その瞬間を見たやじ馬は「これはもしかして」と思った。
しかしそんな甘いものではないキングオブサクリファイスはその振り回した剣をしゃがんでよけて前のめりになった。
すると曲げた膝をばねのように使い、ドランの腹を殴った。
「ぐほっ!」
その拳の後にドランは腹を抱えて動けなかった。
その拳はただの拳ではない、まさに何かを武装して加速しているような強力な拳だった。
その拳と腹を抱えるドランを見てやじ馬たちは言葉を失った。
何だこの拳はまるで化け物のようなスピードじゃないかこんなのに勝てるわけないと。
だがドランはその痛みに悶えながらもまた反撃に出ようとした。
右手で剣を振り回して頑張って当てようとするがしかしそれをキングオブサクリファイスはまるで分っていたかのようによけてカウンターを当てまくっていた。
しかしそのカウンターをドランは根性で耐え続けていたしかし限界を過ぎているのは誰の目から見ても明らかだった。
ドランは限界のまま倒れてしまった。
その姿は明らかにボロボロでもう無理なのがわかっていた。
しかしそれでもドランは諦めまいと動き出そうとする。
そんな様子を見たキングオブサクリファイスはかなり不安視しながらこう言った。
「もうやめだ。このままではこいつの体がもたない。だからもうやめよう。」
そういった瞬間ドランは悶えながらも行った。
「もうやめるだと…ふざけんな!」
そういうと同時にまた剣を投げた。
また同じことをするのかそうおもいながらキングオブサクリファイスは同じようによけた。
そしてまた同じように剣を振った。
しかし今回は違った。
なんと今回は腰にめがけて振ったのだ。
キングオブサクリファイスは「何っ!」と言い、手で剣をガードした。
しかしその衝撃に腕では耐え切れず腕から思い切り大きな音が聞こえる。
バキン!
それはまるで骨が折れたのではないのかともいわせるような音だった。
さらに手を見ると明らかな内出血ができていた。
キングオブサクリファイスはその腕を抱えるとそれを追うようにドランは頭を狙って盾に剣を振る。
もしこの一撃が加わればもしかしたら勝てるかもしれない。
やじ馬たちはそう思っていた。
しかしそれをキングオブサクリファイスは許さなかった。
キングオブサクリファイスは体制を低くして足で膝あたりを蹴りドランのバランスを崩した。
そのバランスを崩されたことによりドランの体制は大きく崩れた。
さらにそれを追うようにキングオブサクリファイスは一回転して崩れた体制のドランの頭を狙い、ハイキックを食らわせた。
その一撃はまさにドランの頭にぶつかり、倒れてしまう。
キングオブサクリファイスは激しく息をしながら、こう言った。
「なめるなよ。俺はお前なんかよりはるかに強い。わかったか!」
そういうとキングオブサクリファイスはいつものように帰っていった。
キングオブサクリファイスが帰ろうとすると誰かの声がした。
「おーい!ジュラン!何やってんだ!」
「おう!ゼメンどうした?」
「どうしたじゃないよ!何ストリートなんかやってる!しかもかなり追い詰めやがって!もし一歩間違えれば危なかったんだぞ。馬鹿野郎!」
「ふん!だがいいものを見せてもらった。」
「どういう意味だ?」
「この右手を見ろ。かなり損傷がひどいもしあの振りが頭にぶつかっていれば危なかったな。」
「危なかったじゃないよ。お前死んでたぞ。」
その頃、ドランは気絶していたままだった。
俺はどうなった。
「…み…っと…丈夫…ちょっと!君!」
「うわ!」
ドランは目を覚ました。
どうやら野次馬の一人が起こしてくれたようだ。
そしてやじ馬はドランにどうなったのかとかの事情を話した。
「そうか。俺は負けたのか。くそっ!」
ドランは人々にやらされた感はありながらもぎりぎりまで追い詰められたかもしれないということでとても悔しかった。
「お前これからどうするんだ?」
「どういう意味だ?」
「お前お金ないだろ。なんかお金取ろうとした輩がいたんだがどこにも金なんてないと言ってたぞ。家とかあんのか」
「ああ。家は追い出されたよ。」
「そうか。なら俺の家に来るか。少しの間泊めてやる。」
その日はやじ馬に甘え、その日は泊めてもらった。
そして翌日になった。
ドカン!
その大きな音にドランは起きた。
外を見るとそこには大きな煙が舞っていた。