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現世の魔法使いは、異世界でも最強でした  作者: 大影 無
序章 最強の魔法使い
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第4話 現世の化け物

 セルルカとのショッピングを終えた俺は、自室でソウルカードを見ていたのだが──


「……大雑把だよなぁ」


 俺が見ているのは、《スキル》である。ちなみに筋力などは全て10くらい上がってた。既にありえないくらい能力値が高いのに意味無いだろと言いたいが、損は無いので異常種様々だと思っておく。


(四元魔法や光闇魔法にも派生はあるし、何より『極み』の魔法が書いて無い。帰るためにも転移魔法への進捗を確かめたいというのに)


 意外かもしれないが、紅蓮は元の世界に帰りたい。あっちの世界は理不尽こそあったが、なんだかんだで楽しかったのだ。そのためには座標の特定などもあるが、そもそも世界を超えて転移できなければ話にならない。


 ちなみに、分かっている限りでは転移魔法は確かに生命魔法と物質魔法と空間魔法の派生だが、それぞれの『極み』の魔法の派生である。


(……そういえば時流魔法はどうなんだ?あれにも『極み』はあるはずだが、情報源の魔法文字(ルーン)には転移魔法について書かれて無い。……まさか空間魔法の『極み』に情報があるのか?だとするとかなり面倒くさくなるのだが)


『極み』は、魔法の最終派生の奥で、派生とは別次元の魔法だ。一個あるだけでも一騎当千の力を秘めており、《火魔法》の『極み』ですら国一つを物理的に壊すことができる。ただし習得にはかなりの熟練度が必要で、習得できても扱いきれなければ自らの身を滅ぼす。そんな魔法だ。


(ソウルカードの細分化はできないのかねぇ──ん?)


 ──そう思った瞬間、ソウルカードに《スキル細分化》という項目が現れた。


(まさか本当に『ソウル』を読み取っているのか?《ヘルプ》の時もそうだったし──いや、とりあえず見てみよう)


 試しに《スキル細分化》を押してみると──


──────────────────────

 命夜 紅蓮 《スキル》


・火魔法〔←炎魔法〕〔←爆炎魔法〕〔≒破壊魔法〕

・水魔法〔←海魔法〕〔←氷海魔法〕〔≒温湿魔法〕

・風魔法〔←嵐魔法〕〔←雷嵐魔法〕〔≒天空魔法〕

・土魔法〔←草魔法〕〔←花草魔法〕〔≒魔力魔法〕

・光魔法〔←聖魔法〕〔←邪聖魔法〕〔≒精神魔法〕

・闇魔法〔←幻魔法〕〔←感幻魔法〕〔≒五感魔法〕

                      次へ→

──────────────────────


(多い多い多い多い多い多い!)


 やはり自分は化け物のようだ。こんなの人間ではない。恐らく『≒』は『極み』を意味しているのだろうが、それだと既に六個極めていることになる。まあ実際四元魔法と光闇魔法は極めているのだが。


(しかも何で「ちょっとコンビニ行ってくる」みたいな軽さで《次へ》なんかあるの!?おかしいだろ!)


『うわーすごいね』(ハーちゃん)

『……何これ』(コーちゃん)

『ラーちゃんこんなの見たこと無い』(ラーちゃん)

『人間族……?』(ナッちゃん)


 いつの間にか精霊達も見ていたらしい。というか四大属性が『極み』に到達しているならこいつらいらない気が……。


『『『『それはダメ!』』』』


 ……どうやら割と好かれているらしい。そろそろ落ち着いてきたので《次へ》を押してみる。


──────────────────────

 命夜 紅蓮 《スキル》


・生命魔法〔←魂魄魔法〕〔≒変質魔法・生〕

・物質魔法〔←重力魔法〕〔≒変質魔法・物〕

・空間魔法〔←結界魔法〕〔≒??〕

・時流魔法〔←固定魔法〕〔≒??〕

・補助魔法〔強化魔法〕〔弱体魔法〕〔防壁魔法〕〔回復魔法〕

魔法文字(ルーン)解読・魔法合成 ・魔法創成 ・魔力化 ・言語理解 ・精霊の愛〔四元・派〕〔←爆炎・氷海・雷嵐・花草〕

←戻る                   

──────────────────────


「……ははっ」


 これは酷い。ソウルカードのせいで俺は正真正銘の化け物だと否応なく理解させられた。まだ空間魔法と時流魔法が『極み』に到達していないのが救いか。それでも空間魔法は転移魔法には必要なのだが。


「これは……絶対に隠さないとなー」

『『『『……』』』』


 精霊達が声も(実際には喋ってないが)出なくなってる。ちなみに精霊はとても長命で、様々な人間を見てきたらしい。つまり、そういうことだ。


 とその時、部屋の外から声が聞こえた。


「グレン様、ロード様がお呼びです」

「……?分かった、すぐ行こう」


 一体何のようだと思いながら、俺はロード国王の下へ向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 時は遡って、紅蓮とセルルカが外出した直後。ロード国王は、王室でグレンについて考えていた。


(いくら弱い部類とはいえ、あの者──グレンは、異常種を簡単に倒したという。それも慣れた手つきで。これは、育てれば──優秀な()()になるかもしれない)


 私は優秀であると言われているが、同時に、手段を選ばない残酷さも持っている。そもそもこれを考えるために紅蓮を外に出した──セルルカがついて行ったのは想定外だが。


(捕らえるには兵をこの部屋に集めて取り囲むのが良いだろう。いくら勇者でも数には勝てまい。問題は奴をどうやって呼び出すかだが──)


 ちなみにこの作戦は、想定通りの強さだと魔王国との戦いに勝てない。ロード国王は気づいていないが。


 その時、リョウマと名乗る勇者が謁見したいという報せを聞き、すぐに連れてくるように言った。あの者は性格だけ見れば野蛮なのだが、筋力は優れていそうなので魔王国との戦いに期待が持てる。


「勇者リョウマ様の入室!」


 リョウマ殿が来たようで、ゆっくりと王室の扉が開いてゆく。そして扉が開ききり、リョウマ殿がこちらに来て、開口一番とんでもないことを言った。


「ロード国王!勇者命夜は第二王女様を誑かした疑いがある!」


 私は、内心で笑みを浮かべた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 王室に入った時、俺は微かに違和感を感じた。


(やけに人が多い……。それに、うちのクラスの奴らもいる。一体何が──まさか龍馬か?)


 生命魔法と魂魄魔法で周りの生物を探知できるのだが、あまりにも人が多い。それに──


(物質魔法でも探知──!?俺の周囲だけ明らかに兵士が多すぎる!武装して包囲か?だが何の意味が──)


 内心結構焦ってると、ロード国王が話しかけてきた。


「勇者グレン──いや、ミコトヤ グレンよ」

「は、はい」

「貴様が第二王女を誑かしたのか?」

「──は?」

「しらを切るか……」

「いや、は?」

「近衛兵!不届き者を捕らえよ!」

「はあぁぁぁ!?」


 おかしい。話が一方的すぎる。確かにセルルカに好かれているとは思うが、あの子は見た限りまだ6歳程度だ。恋心など持つわけも無いだろう。


「ちょっと待て!セルルカに聞いたのかよ!」

「貴様が第二王女を呼び捨てにしているのが証拠だ!」


 話が噛み合わない!そもそも呼び捨てなら親しいだけじゃないかよ!もうちょっとマシな証拠出せよ!


 国王に話をする気が無いのは分かったが、今の俺は包囲されている。しかも見ただけでも精鋭と分かる兵士達に、だ。普通の人間ならば、抜け出す事は不可能だろう。


 ──人間(・・)ならば。


「……あんたに話をする気が無いのは分かった」

「うるさい!それ以上喋ると仲間が死ぬぞ!」


 なるほど、そのためにクラスの奴らがいたのか。

 ……日本の奴らと何も変わらない。人質をとって、俺を動けなくさせようとする。俺は、頭が急速に冷えていくのを感じた。能無しとは言わないが、俺の一番の対処法を知らないなら──


「現世の魔法使いを舐めるな」



 ──時流魔法 月読(つくよみ)──



 ──雑魚だな。俺の一番の対処法は、そもそも敵対しない事だ。敵対したら──物理的に、社会的に、精神的のどれかで死ぬ。今回は──精神的に殺すか。

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