開拓の時
プロローグ
そこは真っ暗な空に灰色の太陽が浮かぶ世界。何かが腐ったような嫌な臭いと爆炎の煙につつまれ、広がる大地は真っ赤に染まっていた。
地獄があるならこんな所だろうかと思う世界で一人空を飛び、恐怖と言うなの汗をながし命を奪う。夜になれば今日は生き残れたかと、明日のことなど考えることを諦めたように目をつぶるような日々だった。
でも、眠れそうにない。
そんな時瞼の裏によく描いていた。
遠い世界を。
青い空に澄んだ空気、甘い香りと透明な泉を。大地は緑に包まれ、多きな木々と色とりどりの華々に囲まれてどこまでも広がっているんだ。ちっぽけな僕は土の上でキラキラした汗を流している。
そう。今度は人を生かすために。
家族と生きるために。
空など飛ばずに僕は飛んでいるんだ。
どこまでも自由に、優しさと愛を持って、生きている。
目を閉じながら、僕は思っていた。もし、明日、また明日と生き残れたら、僕はそんな風に生きていくんだと。
空想や願望のような易しいものではない。
この地獄に、いまの僕を置いていく。
時代に流される僕を置いていかなきればならない。
そう強く願う。
まだ出会っていない仲間や家族と太陽の下でいきる自分を。
新しい命の燃えかたを。
乾くことのない泉のような生き方を。
そして、僕は満足げにゆっくりと眠りにつくのだった。