幼馴染
「ローテ、おばさんが・・・って何やってんだよ」
「あー、カルロ。いらっしゃい」
玄関から入ってきたのはお隣さんのカルロ。って、やっぱり変な目で見られたー!どうにかして誤解を解かないと。まずはやってたことを誤魔化して、違う話題にそれとなく振って・・・よし。
「ちょっと喉が渇いたから水を飲もうと思って。それでね・・」
「テーブルの上にコップがあるけど?」
カルロはテーブルの上に手荷物を置いてジト目でこっちを見てくる。いきなり出鼻を挫かれた。同じ年の子供とは思えない観察眼ですね。くっそー。
「むぅ、あとで取ろうと思ったの!それより何か用?」
「ああ、エマおばさんが昼食について話してくんの忘れたって言ってたから伝言」
「え?もうそんな時間?」
窓から外を覗くと太陽が真上に登っていた。そんなに長く精霊さんたちと話してたのか。全然気づかなかった。そして、お昼と聞いて即座に鳴る僕のお腹。うー、現金な体め。こんなにタイミングよく鳴らなくてもいいじゃんか。
「ははっ、昼飯って聞いて反応したのかよ。正直な奴」
「うるさいな!それより今日のご飯なに?」
「俺が持ってきた。一緒に食べようぜ」
「うん!」
僕が椅子を引きずっていると、カルロがみかねて手伝ってくれた。というか、軽々と椅子を持ってい移動させたんだけど。同じ年なのにおかしくない!?そりゃあカルロの方が身長も頭半分ほど大きいし、なんか体格も一回りぐらい大きい感じだけどさ・・・むぅ。
「なんだよ?」
「カルロって年誤魔化してないよね?」
「何言ってんだよ。むしろお前の方が生まれは早いだろ?」
「そうだけどさぁ・・・」
確かに僕が春生まれで、カルロは夏生まれ。僕の方がお兄さんのはずなんだ。なのに、全体的に色素の薄い僕と違って、カルロは深緑の髪に黒に近い青の瞳となんか濃くてで見た目がかっこいい。僕も男に生まれたからには強くてかっこいい頼れる男を目指したいのに。いや、僕はまだ諦めていないぞ。
「また小さいの気にしてるのか?」
「小さくないよ!」
「はいはい、早く飯食おうぜ」
僕の返事をいつものように受け流し、さっさと椅子に座るカルロ。くそぅ、絶対にカルロより大きくなってやるんだからな!そのためにはいっぱい食べなきゃね。まずは目の前の食事だ。カルロと一緒にお昼を食べる。食べる量だけでも勝ってやるんだ。
「そんなに急いで食うなよ。喉詰まらせるぞ」
「うっ、げほっ!」
「ほらな、ったく。ほら、水飲め」
またもやタイミングよく喉を詰まらせた僕に水を差しだして、背中までさすってくれる。うぅ~、僕情けない。そしてカルロ良い奴。いつも僕の面倒見てくれてるもんな。
「ふぅ、ありがとうカルロ」
「ローテはいつも焦りすぎ。ほんと目が離せないやつだよな」
お小言を言ってるけど、カルロの表情は仕方ない奴だなって感じの顔になっている。呆れられてるんだと思うけど、それでも付き合ってくれているカルロには感謝しかない。いつか下克上してやるけどね!
いろいろと主人公と正反対の幼馴染です。