第七十四話 魔道具革命
各国の首都をつなぐ転移と竜車は俺たちの移動を飛躍的に向上させる。
新しい国でも龍脈さえあれば高速移動が可能で、村などは大抵龍脈上に存在している。
新たな国は3か国、調査団を派遣してほどなくして村人たちが保護された。
ヘビに手足が生えて、どちらかといえばトカゲに似ている巳の国。
フワフワとした体毛がかわいい未の国。
鍛えられた脚力によって魔物から身を守ってきた午の国。
二国は家畜として馬と羊を飼育していた。
獣人も家畜も大切な仲間となる。
それぞれスクナの村、ホクス村、シプの村。三つの村もすぐに我々の保護下に入ってもらい、物資の供給、防備の強化、衣食住などの充実に当たっていく。
赤目との戦いも散発しているが、わが軍の精強な戦士たちによって打ち倒されていった。
「各国の状況報告が上がってきています」
「調子はよさそうだな。けが人も出ていない……家畜も状態が上がってくれば増やしていけるだろう。
機動力の面からも馬は大変有用だし、羊の毛から繊維を取ることで衣服はさらに向上するな」
「すでに村人共に技術班がいろいろな改良に乗り出して居るようじゃ」
「敵の抵抗や襲撃は予想の範囲内だそうですメリウス様」
「準備をしっかりとしておいたから、順調だね」
「先住民もすぐになじんでくれていて、今ではこちらの技術にも興味津々です」
「いやー巳の国の人たちの気配察知というかレーダー的な能力はぜひ魔道具で再現したいねー」
今日はアンとドワ、それにリューも訪れていた。
属性弓の性能試験に使ってほしいとシャロンとプリテ用の弓を持ってきてくれた。
闘気や魔力を矢として放てる最新型だ。ただ消耗が大きいのでそこは今後の課題だそうだ。
「ためて放つと非常に強力な一撃を放てる。あんまり溜めすぎると壊れるからこの魔石が光ったらやめてほしい」
弓の魔石を指し示しながらリューが解説してくれた。
「もちろん消耗も大きくなるのでお気を付けください」
補足説明はアンかドワがやってくれる。3人も今では立派な研究員だ。
それからしばらくは新しく現れた国の地図作成や住人達の生活環境の改善などに長い時間を当てることになる。巳午未の3獣人の加護はそれぞれ気配察知、薬草学、縫製となっている。
レーダーは非常に使えるスキルで周囲の生体反応、魔力反応を察知することが出来る。
奇襲を防げたり効率よく良いアイテムを探したりと大活躍だ。
午が草食動物だからか午の一族からは豊富な薬草学の知識とそれを利用した薬の知識を得られた。
今までも簡単な薬草や薬は用いていたが、圧倒的なその知識量は後々魔道具と組み合わさりポーション作成などに生かされていく。
縫製は服飾の概念が大きく変化するほどの変化をもたらした。
外観だけの問題ではなく、性能や、魔石から抽出した物質で染めた繊維を利用した魔道具化した布の開発などの革命をもたらせた。
「凄いなこの服の効果は……」
「はい、下にこの服を着て鎧を着てもらうことで、もう限界だと思っていた強化の道がぱあっと開けたよ!
上下の組み合わせ、さらに鎧と下着の組み合わせでいくらでも強化方向が変えられる。
ああ、やはり奥が深いな! また試作品が出来たら持ってくるよ!」
リューは大興奮だった。アン、ドワの話では一週間ぐらいまともに眠っていないで戦闘服作成に没頭していたらしい。
「これだけでも以前の鎧に勝るとも劣らぬ補助機能がついておるのぉ、さらに鎧を合わせると……」
「相乗効果ってやつですね……まさに別の次元です」
体にぴったりと吸い付く様な肌着は、闘気や魔力を通すと複雑な魔紋が浮かび上がって様々な効能をもたらしてくれる。その上に鎧を着るとそれぞれの魔紋が立体構造を作り出してさらに強力な効果をもたらす。
空間魔方陣は単純な一枚の面に作られた魔方陣よりも複雑で強力な効果を引き出すことが出来る。
下着と鎧だけという空間でもその理論を活かして空間魔方陣を構成させるのはリュー達研究員たちの不断の努力の結晶と言える。
武器においても持ち手に用いる布に魔紋を織り込んだりと随所に工夫がなされている。
またマントなどの装飾品や手袋などにも特殊効果を持たせられるために、その発展性は無限大に広がっていた。
「しかし、敵さんの本拠地に建築物があるとはな……砦に、城か……攻めづらいのぉ」
「今までのような奇襲は無理でしょうね。俺たちだけで落とすのは、限界が来たみたいだ」
「軍として、戦う必要がありますね」
「皆優秀、装備も充実してきている。赤目に引けは取らない」
「即効性の高い薬剤もたくさん生まれてきています。日常医療にも革命的な変化が起きています。
それに最近は調味料も増えてプリテと張り切ってるんですよ」
「最近の食事は食べるとこう力が湧いてくるからなぁ、あれはいいものだ!」
「薬膳料理という物らしくて疲労回復などだけではなく一時的に力を強めたり様々な効果があるそうです!」
「……このあいだメリウスに食べさせたのは失敗だった、私もシャロンも翌日からだがきつかった……」
「……プリテ、いま世間で一番好評なのはあの料理……」
「ほっほっほ、またベビーラッシュは間違いなしじゃな」
新たな技術は混ざり合って変革をもたらしていた。




