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第七十三話 与えられた力

『メリウス君だね』


 見事なドラゴンが目の前に座っている。


「はい、竜の神様ですか?」


『そうだ。おかげでこうして君と話せるよ。今日はもう一人』


 大きな竜の頭から小さな、しかし、美しいウサギが飛び降りてくる。


『やぁ! 僕も君のおかげで外の世界を満喫しているよ!』


「卯の神様」


『これで12の国のうち5つの国が復活した。

 しかし、ここからが大変だよ』


『あんまり怖がらせないであげなよ! 竜のは体が大きいのに慎重なんだから!

 彼らなら大丈夫! 皆で力を合わせてどんどん力を手に入れている!

 僕たちも君たちのお手伝いをするよ!』


『私は大地に流れる龍脈を利用して移動できる力を与えよう』


『僕はいくつかの魔石の画期的な技術を我が眷属に与えてあげるよ!』


「ありがとうございます。早くほかの神様も皆様の元へ返せるよう頑張ります」


『ありがとう、みんなで応援しているよ!』


『最後に私と卯の神から武器を与えます。私からは槍を、卯の神からは弓を与えます。

 また激しい戦いになると思います。頑張ってね』


「はい」


 神たちはそれだけ伝えると霞のように消えていく。

 額の石が優しく温かく変化する。

 龍脈に沿っての高速移動、そして、天啓を受けたアン、ドワは魔石同士が深淵で同じ空間を利用していることを突きとめ、それを利用して遠隔地を音声でつなぐ技術を開発するに至る。


「メリウス様、新大陸が現れたことが確認されました。

 以前のような敵であふれているような事はないそうです」


「わかった、すぐに行く」


 朝、カインに起こされる。眠っているプリテとシャロンを起こさないようにそっと寝室の外へ出る。

 手早く朝の準備を済ませてカインの待つ会議堂へと向かう。

 外の早朝の澄んだ空気を深呼吸をして肺に取り込むと、思考がはっきりしてくる。


「お待たせ。どんな状況?」


「事前の予想通り地図のこの場所に広大な敷地が現れました。

 現在斥候部隊がすでに探索の任に着いています」


「二人とも待たせたの、また、新しい場所が現れたらしいの?」


「ええ、かなり広い範囲、ただ予想通り子、丑、寅の国と対角に現れましたので予定通り対応しております」


「まったく、少しくらい休ませてくれてもいいじゃろうに……」


「自分たちだけで全部やっていたころに比べたらだいぶ楽になりましたよ」


「そうじゃったな。皆に感謝じゃな」


「出来る限り早く住人を見つけて安全を確保しないとな。忙しくなるぞ。

 あと……詳しくは実践しながら話すけど、強力な移動手段が手に入った」


 外に出て、御紳像を飾っている社の隣に見慣れないものがあることを発見する。

 竜をモチーフにした牛車の後ろ側みたいな作りになっている。

 不思議そうに村人が調べていたが、うんともすんとも言わない石みたいな不思議な素材でできたその車の謎は解けなった。

 ちょうど竜の頭にまたがるように座るとまるで握ってくれと言わんばかりに取っ手が付いている。

 後ろ部分は荷台のようになっていて15名くらいの人員なら乗れそうだ。

 俺がまたがるとほのかに額が温かくなり、そしてそこから光が発せられる。

 その竜の車、後に竜車と呼ばれるものが俺の額からの光を受けて薄黄緑色に発行し始める。

 すると同時に足元に緑の炎が沸き起こる。


「な、なんじゃこれは……この炎熱くない……」


「う、浮いてますね。すごい、どんな仕組みになっているんだ」


 結論としてはこれが龍脈の上を走行できる竜車だった。

 龍脈は街道沿いなどに存在しており、偶然にも各町をつなぐように存在している。

 龍脈から外れると非常に鈍重な動きになってしまうが、龍脈のある場所はまるで炎で滑るように高速移動が可能になった、


「何がすごいって、俺の中にしまえるんだよね」


 俺が念じると、竜車は額の石に吸い込まれていく。

 同じように念じれば目の前に現れる。なんという便利な……


「メリウスは完全に人間ではない者になったのぉ……」


「自分でもそう思ってるんですからあまり言わないでください……」


「便利だからいい、早くて楽しいし」


「新しい武器も凄いですよねメリウス様」


「魔石の魔力を利用した弓は戦闘の幅が広がりそうですね」


 新しく手に入った武器の弓、これは魔石とセットで用いると魔石の属性の弓を撃てる。

 実際の矢に属性を乗せることもできるし、魔力を矢として放つこともできる。後者のほうが魔石の魔力を消費していくが、自分の魔力を用いることもできるので、その方法なら魔石で属性だけを変化させられる。


『その弓はいつか実現させるのでプリテさんとシャロンさんは待っていてください』


「頼んだよー」


 アンとドワが作ったこの通信機も凄い、今俺たちは新しく現れた大陸との境にいるのだが、子の街にいるリューたちと会話が可能だ。

 これによって各国の情報伝達ネットが作り上げられた。

 前線からの情報なども逐一俺たちのところに伝えられるようになり、部隊間での通信も可能になった。


「メリウス様中央の国で住人を保護した模様です。村では家畜として利用されている動物もいて、非常にかわいいそうです」


「なんだって!? すぐに向かうと伝えてくれ正確な座標を教えてもらって」


 俺は竜車を出して出発の準備をする。

 新世界始まりの街午の村への出発だ。


 


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