第七十二話 戦いの日々
「終わったのぉ」
「ふぅ……強かったですが、こっちの装備のおかげでいつもよりは余力がありますね」
「でも、疲れたよ~」
プリテが俺の背中に乗ってくる。
俺もつかれているんだが……プリテの素晴らしい援護で楽に戦えたんだ、これくらいは許してあげよう。
「最後のメリウス様の動きは凄かったですね!」
シャロンが嬉しそうに近づいてくる。
「ああ、なんか体が自然に動いたなー」
「無我の境地というやつか……」
「疲労から動きが最適化された感じですかね」
「今っぽい言い方をしおってからに……」
「メリウス様、竜の像が……」
禍々しい像から生まれた魔物が塩へと変わり魔石へと変化し、さらにそれが竜の像へと変化していく。
俺はその像をつかみ懐にしまう。ほのかな温かみが疲れた体に染みわたるような気がした。
普段は這う這うの体で帰り道を行くことになるが、今回はもちろん楽な戦いではなかったが、余裕はある。強力な武器防具をしっかりと整えて挑んだ結果だ。
少しづつ各村・町の技術も発展している手ごたえを確かに感じる。
「さて、帰ろう」
外に出てすぐに討伐成功の発行弾を打ち上げる。
しばらくすると外で敵の目を引いてくれていたメンバーが一人もかけることなく招集する。
「ありがとう、おかげでうまく行った」
一人一人にしっかりと礼をする。
こういった仲間の援助が俺たちの戦いを支えてくれている。
竜の村ドラグに戻り、久しぶりに自分の手で御紳像を祀る社を作る。
久しぶりの建築は工作気分で楽しかった。
プリテやカインと一緒になかなかの出来の社が完成し、そっと像を置く。
「いいね、ずっと昔からここにあったみたいだ」
「そうですね。しっくりくるってやつですね」
「ねぇねぇメリウス! 今日は祭りでしょ?
準備するね!」
「あ、プリテ私も手伝うよー」
「メリウス! わしらは先にやるぞ! ほれ、酒をだせい!」
久しぶりの大仕事を終え、皆の気分も解放される。
各町をめぐって、今回の作戦の成功を伝えて喜びを分かち合う。
リューやアン、ドワは一緒に竜の村でお祝いに参加する。
「メリウス殿改めてお礼を言わせてほしい。
変わり者で何の役にも立たなかった私に研究所での仕事を与えてもらい、さらに生まれ故郷をこんなにも豊かにしてくれた。イケメンはたくさんいるし、たくさんの種族との出会いも刺激になる。
ショタが二人も近くにいるし、研究は豊富で優秀な人材と思いっきりやらせてくれる。
本当にありがとう」
ところどころ変なことが入っていたような気もするが、感謝の気持ちは本当だろう、ありがたく受け止めておく。
「まぁ、堅苦しい挨拶はこれくらいにして、今日は大いに祝いましょう!!」
今日は各村で盛大に祭りを行っている。
来るべき新たな世界がどんな戦いを呼び込むのかはわからないが、それでも今日ぐらいは心から楽しんでも罰は当たらないだろう。
会場に用意された料理もかなり研究がすすめられ、見た目にも華やかで目を楽しませてくれる。
もちろん漂ってくる芳香は鼻腔から胃袋をねじ上げてくる。
肉、野菜、魚介類、果物、様々なものを利用して豪勢な食事を大量に用意してもらっている。
飲み物も、酒も研究中な様々なものが用意され、酒が飲めない者のためにも各種果汁を用いた飲み物、お茶、そしてシュワシュワとのど越しの楽しい新しい飲み物が女性や子供、結構大人も好評を博している。
食文化が発達することは国が平和である証だ。
正直、平和かと言われれば戦いの日々だが、少しづつ人々に余裕ができ始めている。
俺は、こういった宴を行うとそういったことを感じられて、自分のやってきたことが評価されるような気がしてとても心地よい。
「メリウス、なんでそんなところでニヤニヤしながら一人で飲んでるの?」
「プリテか。いや、いいもんだなぁと思って」
「そうだね、みんな楽しそう。この笑顔はメリウスが取り戻した。
みんな生きることだけ、殺されないことだけに必死だった。
それがこうして笑って食事と酒を楽しんでいる。全部メリウスのおかげ」
「俺のおかげじゃないよ、みんなのおかげだよ。
今回の戦いでもみんなが作ってくれた武具が俺たちの戦いを楽にしてくれた。
全員で勝ち取った勝利だよ」
「……うん。そうだね……」
プリテが隣に座り身を寄せてくる。
「メリウス様~たすけてください~」
「シャロン様待ってくだされ! 誤解です!」
なにやらシャロンが若い男の子たちに終われて逃げてきた。
「変態どもシャロンに何をした?」
「ああ、プリテ様の冷たいお言葉も……、ではなくて我々は何もしていません!」
「うーん。何もしてなくてこうはならないんじゃないかなー?」
仕方ないので俺も注意をするか。
「ただこちらの我らの考えた料理を食べていただこうとしただけで……」
「あれ? 変態どもにしてはまともな……」
「な、なんか、みんなの目が怖くて……」
それは、料理を見れば判断が付く。
野菜を肉で巻いて筒状にしたもの、逆に肉を野菜で巻いたもの、細長いパンの間にいろんな具材を挟んだものなど、一見するとよく考えられたおいしそうな料理の数々、しかし、すべてなぜか棒状だ。
「最低だな、やっぱり変態ども……」
「な、なにをおっしゃいますかプリテ様、われわれもいろいろと料理を考えまして……」
プリテは無言で棒状の料理を刀で細かく切り分ける。
「こうすればおいしく食べられるね。シャロンもどうぞ。……うん、変態どもの考えは最低だけど料理はおいしい。こうすればみんなでも食べられるし、うん! よくやったぞ変態ども」
「ははぁ、プリテ様のありがたいお言葉!」
「あ、ほんとだおいしー」
過程はともかくできた料理はとてもよくできていた。
この料理は宴などの人気料理になっていく。
このように各人がこの日の宴を心から楽しんだ。
俺も久しぶりにプリテやシャロンとのんびりとした時間を過ごせてリフレッシュした。
そして、その日も夢を見るのだった。




