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第七十一話 新兵器、新装備

 魔石を暴走させて爆発させることは依然行ったが、リュー達が作り出したこの道具はその威力も段違いだ。作動させると回路内を循環しつつ魔力が増幅し、最終的には炎と風の魔石を犠牲にして炎の嵐を爆発的に発生させる。その際に周囲の土を硬化させて細かく集めることで散弾のように爆発と同時に周囲に発射される。

 一度実験で使用してみたが、鉄製の盾だろうが近距離だと貫通するほどの威力だった。


「起動させます」


 装置を操作するとブウンと不気味な音を立てて起動する。

 すぐに部屋の内部へと投げ込む。

 その物音に魔物が反応したが、俺たちはすぐに壁際に身を隠し地面に伏せる。

 散弾は水平方向には飛ばないようになっているので使用時は必ず地面に伏せるようにする。

 もちろん遮蔽物がないような場所で使うのは、あほだ。


 しばらくするとボウッ! と激しい音とともに熱風が俺たちのところまで吹き付けてくる。

 さらにババババババババッと固いものが壁に打ち付ける音が続く。

 もちろんそれに魔物の悲鳴や雄たけびが混じるので、控え目に言って地獄絵図だ。


 轟々とした音が止んで内部をみると、かろうじて生きている魔物と、塩がそこら中に広がっている。

 酷いもんだ。兵器というものはこうも残酷に命を奪うのか……魔物相手とはいえ、惨状に心を痛める……


「惨いもんじゃの……」


 息も絶え絶えな魔物に次々ととどめを刺していく、数体は襲ってくるが、無傷ではない。

 空からも必死に襲ってくる。あちらもこちらも生存をかけて必死なんだなと、手を抜かずに相手をする。


「終わったの……」


「あの道具が無ければどうなっていたか……」


「……手心を加えればこちらがやられますからね」


 シャロンは少し顔色が悪いが、覚悟を決めた表情で魔石を集めている。

 

「ここは……像に変化が無いのか?」


 そう口にすると、禍々しい像が真っ赤に光りだす。

 まるで魔物たちの怒りを表しているかのような、血のように真っ赤に光っている。

 像はその光が血液のように少しづつ有機物としての体を作っているように変形していく。

 下半身は蛇の身体、上半身は4つ手、顔はまるでトカゲのように見える。

 穴の底からどす黒い液体がその体に巻き付くと、剣と斧、そして鎧に姿を変える。

 真っ黒な兜の下で真っ赤に光る瞳が怪しく光る。


【グウアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!】


 びりびりと大気が震える雄たけびを上げる。

 

「禍々しい姿じゃな」


「強そう。じいじ、気をつけて」


 すさまじい力で振り下ろされる剣と斧、地面はえぐれ吹き飛んだ土が壁を穿っている。


「一つの腕を俺たちで相手をすれば、プリテの矢が刺さる!

 矢に意識を回すなら、誰かの刃が届く! 行くぞ!!」


 まるで滑るように移動する間合いの取りにくさ、両手による苛烈を極める攻撃、戦闘は防戦一方になってしまった。


「や、やりずらい!」


「ふらふらふらふらイラつく……」


「下半身は打撃はダメじゃな、固いというか弾力でうまく力がつたわらん」


「攻撃の回転が速くて、うまく攻撃にうつれないです……すみません」


「なかなか多数で相手をさせてくれない、頭もいいですね」


 皆の評価はすこぶる高い。


「やるとすれば、これだな」


 俺は武器を二刀に持ち帰る。なんとかしてこれで敵の攻撃を受けて、味方に攻撃の機会を作らないといけない。


「ちょっと倍頑張れば二刀で四刀の相手ができる!」


「さすがメリウス様」


「任せたぞ!」


 だれも止めてくれなかった。

 

「うっしゃあ!! やってやるぜ!!」


 半ばやけくそで敵に一気に接近する。

 降り注ぐ剣と斧、しかもご丁寧に縦横違う角度で左右ずらして襲い掛かってくる。

 瞬時に避ける攻撃と受ける攻撃を判断して、剣を操る。

 

 ギィン!

 

 激しい衝撃が手に伝わる。

 まともに受け続けていれば先に手がいかれてしまう……

 うまく流して避けていかないといけない。


「まだまだぁ!」


 攻撃を流す方向を考えて避ける方向を考える。

 考えながら体を動かす、時間的な余裕がなくなるから、考えながら体を動かしていく。


 それでも俺に攻撃が集中する分、他のメンバーが攻撃する機会は確実に増えてきている。

 攻撃する際は敵もフラフラゆらゆらと動かないのでプリテの弓矢も敵を捕らえ始める。

 その結果防御のために攻撃が減って俺にも余裕ができる。

 俺も隙が出来れば攻撃を入れてさらに相手の注意を引き付けていく。


「でりゃぁああ!!」


 シャロンの一撃がついに敵の尾にクリーンヒットする。

 強化された彼女の斧から放たれる強烈な一撃で、尾からおびただしい体液を吐き出しながら中途半端に切断される。

 今まで動きの中枢を担っていた尾の損傷によって、動きはぎこちなくなりその厄介な機動力を奪った。


「よし! 流れが変わったぞいまだ!!」


「おおお!!」


 俺の双剣も敵の皮膚を裂き攻撃の時間が増える。

 気を抜けば振り下ろされる斧が俺の命を狩りに来るが、体勢を維持する重要な役割をしていた尻尾が破壊されたことは大きい、攻撃は腕を振るうだけになり軽くなる。


【ギャォオ!!】


 プリテの矢が敵の目を貫く。

 片方の視界を奪われたせいでさらに攻勢に拍車がかかる。

 ひとたび攻撃に火が付くと強化された武器の能力がいかんなく発揮される。

 敵の鱗に似た強固な天然の防具を俺の剣が剥がし、カインが斬りつける。

 身をよじればそこにフーの打撃がねじ込まれる。

 大きな隙を見せればシャロンの強大な一撃が肩からその腕の一つを奪い去る。


【グギャアアァァァア!!】


 ドクドクと脈打つ体液の噴出が止まらない。

 それでも狂ったように襲い掛かってくる姿に、何がそこまでそうさせるのかを考えてしまう。

 この世界に赤目という魔物を生み出す彼らの正体は……


「メリウス! 決めるぞい!」


「ああ!!」


 フーの掛け声で頭を戦闘に呼び起こす。

 余計なことを考えている暇はないな、今は目の前の敵を倒す。それだけに意識を集中させる。

 めちゃくちゃに振り回される武器の軌道がはっきりと目に映る。

 次の動き、その次の動きを予想し、それを制して反撃する。

 フーの一撃でくの字に折れ曲がった身体、無防備な首が目の前に現れる。

 俺の体はすでに動いている。

 その首が現れる場所に全力を込めた斧を振り上げる。


 斬っ……


 その感触が手に伝わるとき、敵は四肢の端から塩へと変わっていく。


 俺たちの勝利だ。

 




 



 

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