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第六十九話 竜の国攻略

 ようやく、念願の、新しい武具が完成した。

 まずは俺をはじめ、カイン、プリテ、シャロン、フーの分だ。

 俺とカインはハイブリッド型、闘気魔力ともに使用しやすい。

 プリテは魔力に傾けているし、シャロンとフーは逆に闘気特化だ。

 以前と比べると使用する魔力や闘気の量は少なくても全体に行き渡る、ロスがなくなってスムーズになった感じだ。さらには各部位に設置した魔石によって力の蓄積、増幅などが可能。

 この改良は、装備革命と言っていいだろう。


 各国の戦士たちにも少しづつ配布されていく、俺たちみたいな特化ではないが汎用装備ってやつだ。

 それらがそろい、戦力としてレベルアップしたら、竜の国の攻略を開始していく。

 鉱石の産出、加工分野ともに効率化が進んできている。

 軍事面への貢献も大きく、また一般生活にも鉄の使用が普及し始めている。

 魔紋武装の理論は加工炉などから日常的なコンロ、上下水道処理設備などへの転用もされており、より少ない燃料を効率よく利用する技術、不純物の選別、乾燥分離など様々な利用方法が急速に研究されている。

 

「魔紋科学の奥は深い……」


 リューはその理論と結果に酔いしれて、マッドサイエンティストのように研究に没頭している。

 

「メリウスさん私はここで研究したほうがみんなの役に立つ、それにアンとドワも私にはかけがえのない助手だから一緒に置いていってほしい」


「僕からもお願いします、戦いの場よりもここのほうがみんなの力になれます」

「一生懸命研究してみんなの力になります!」


「頼んだ」


 三人の決意の籠った目に俺は快く応じることにした。

 こうしてリュー、アン、ドワは研究所から俺たちの旅を支えてくれることになる。

 結果として、世界全体に莫大な利益となる選択になることは疑いようもなかった。



「さて、みんなに集まってもらったのはほかでもない。竜の国の攻略を3日後に開始する」


「おお、まっておったぞ」


「国境部隊の兵装も一新した。俺たちも十分に装備に慣れてきたしな」


「すでに先行部隊が目標地点を監視しています」


「確か山の上にあるんだっけ?」


 プリテは地図上を眺めて位置関係を考えている。


「そう、ここの山中腹に洞窟がある。やっかいなのは敵に飛行部隊がいることだけど、洞窟に入れば関係ないだろう」


「接近の時に問題になりますね」


「シャロンの言う通り、今回は少数で夜間に一気に侵入して制圧を考えてる。

 接近を把握されて挟み撃ちが一番困るからね。ありがたいことに飛行部隊は夜目が効かない。

 さらに三日後は小雨が降る。夜は暗闇に包まれるはずだ」


「つまり、条件は整ったわけじゃな。わしらには暗闇でもアレがあるからの」


「と、いうわけで夜襲に向けて体調を整えながら明日から移動します。

 荷物は最小限、早鼠隊と一緒に監視部隊と合流して突入。頑張ろう」


「うむ」「はい」「はーい」「頑張ります!」


 すぐに出立の準備が始まる。

 動き出せば早いのは俺たち。すでにほとんどの準備は終わっている。

 武器防具の管理と魔石や道具忘れに注意して荷づくりをする。

 牛車のような大型な輸送はできない背負える程度にとどめておく。


「メリウス様いいですか?」


「カインか? いいよ」


「失礼します」


 カインが部屋に入ると何やらいい香りがする。


「お夜食にと思いましてまだ試作ですがフルーツと小麦を練りこんだ生地を牛乳と混ぜて焼いてみました。あと紅茶も」


「おお、あの硬かった奴か」


「ええ、あれは失敗しましたがある果物を使うと少し柔らかくなりましていろいろと試して結構よくなりました」


 以前作ったものはパキパキと割れる感じで、あれはあれでおいしかったが、今回のはふっくらとしている。


「おお、旨そうだ」


「皆さんにも声をかけているのでそろそろ……」


「カインー来たよー」


「お邪魔するぞメリウス」


「メリウス様お邪魔いたします」


「いらっしゃい。さぁ、一息つこうか」


 皆をテーブルに招く。

 カインの作ってきた菓子を取り分けて用意された各種果物のソースを試している。


「うん、柔らかくて、旨いな!」


「カインもやりおるな」


「プリテ、あとどうすればいいと思う?」


「うーん、鳥の卵入れたらコクが出そう。あと果実は別に入れたほうがいいかも」


「なるほど」


 カインとシャロンはプリテの助言をメモしている。

 こと料理に関してはプリテは天才だからな、気分屋だけど。

 フラッと新しい料理を作り出して、それがまぁうまいんだからすごい才能だ。

 カインもシャロンも努力で作るタイプだからそれをベースにさらにおいしいものを作ってくれる。

 紅茶も最初に比べると素晴らしい香りだ。


「こういう時間が、幸せだあ……」


「うむ、もっと多くの者にこの時間を与えてやりたいのぉ……」


「フーは最近子供たちに会えてる?」


「大丈夫じゃよ、定期的に帰らせてもらってる。みな立派になったぞ、今では隊長格を任されている」


 子供のことを語るフーの目じりは下がりっぱなしだ。

 そういえば、プリテもシャロンも子ができる感じはないな……


「メリウス。私たちは戦いに身を置くもの。

 今はできないようにしている。早く世界を幸せにしようね」


 俺の目線ですべてを把握したかのようにプリテが答える。

 ときどき恐ろしいほど鋭い。シャロンを見ると静かにうなずく。

 改めてそこまでの覚悟を二人にさせていることを知って、少し俺は情けなくなる。


「ああ、頑張る。すまない」


「謝らないでくださいメリウス様、一緒に幸せな世界を作りましょう」


「そうそう、まだまだ私たちの力が必要でしょ?」


「ああ、頼りにしてる。ありがとう」


 あとでフーに謝られてしまったけど、俺はこの事実を知れてよかったと思う。

 みんなを送ると外は満天の星空。

 

 この美しい世界を平和にして、自分の子を自由に遊ばせたい。

 俺の夢がまた一つ増えた気がした。






 



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